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KADOKAWA・DWANGO合併の影響?「DENGEKI HIME」が休刊

 KADOKAWA アスキー・メディアワークスの発行する18禁ゲーム雑誌「DENGEKI HIME」が2014年度中に休刊した。 「DENGEKI HIME」は、1997年にゲーム雑誌「電撃王」の増刊枠「電撃姫」として発刊。その後、月刊ペースとなり、2007年からは「DENGEKI HIME」としてリニューアルされ、発行されてきた。   18禁ゲーム業界に詳しい関係者によれば、休刊は「販売不振」と「社内整理」の2つの理由によるものだという。  右肩下がりの話ばかりが聞かれる18禁ゲーム業界だが、関連産業である18禁ゲーム雑誌はさらなる苦境が続いてきた。史上初の18禁ゲーム専門誌だった「パソコンパラダイス」(サンデー社)は2013年11月の発行をもって雑誌としては休刊(2014年6月にムック扱いで復活)。 現在、18禁ゲーム雑誌は、オタク向けに特化した「TECH GIAN」(KADOKAWA エンターブレイン)とグラビア的志向の「BugBug」(富士美出版)の二強となっている。そこに「メガストア」(コアマガジン)「DENGEKI HIME」などが続く形になっていた。 2014年に入ってからは、「BugBug」が元々発行していたサン出版の方針変更により編集部ごと富士美出版へ移籍するといった動きも見られた。いずれにしても、今後も業界自体の縮小が止まらないことについては衆目の一致するところだろう。  KADOKAWAのグループ内では、2014年10月1日の株式会社KADOKAWA・DWANGOの設立を契機に、重複する部署の整理統合を進めていたが、18禁ゲーム雑誌についても、売り上げの良い「TECH GIAN」のみを残す形となった。  ただし、18禁ゲーム雑誌が冬の時代である以上、トップの地位にある「TECH GIAN」も順風満帆というわけではない。また、株式会社KADOKAWA・DWANGOの設立によって、エンターブレインは現在の千代田区三番町から銀座への移転も決まっている。現在の社屋も周囲に店もない都心の陸の孤島にあるわけだが、今回の東銀座への移転について同社社員からは「またオタクから遠いところへ……」といった声も聞こえてくる。  年々と規制が厳しくなり、新業界からも次々と新しい風が吹き始め、流行りを変えながら時代も変わっていくのは、避けようがない事実であり、そこをどのようにして乗り越えていくのかというのが古い業界が新しい時代を生き続けるカギとなる。  いずれにしても、いよいよ18禁ゲーム雑誌はどこが最後まで生き残るかの決戦が始まったようだ。

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『咲-Saki-』で儲けてるから懲罰なし?『ハイスコアガール』事件の対応

2014年8月、著作権侵害の疑いによる大阪府警による出版元のスクウェア・エニックスへの家宅捜索を受けて休載中の『ハイスコアガール』。 同月、連載再開に関してのアナウンスはなされていない。そうした中、大阪府警ではスクウェア・エニックスの関係者を大阪まで出頭させて事情聴取を行っていることが、関係者への取材でわかった。  大阪府警に近い消息筋によれば、関係者への取り調べは週一回程度、関係者を大阪まで出頭させて事情聴取を行う形で継続しているという。 しかし、捜査の中で大阪府警内部では、捜査に対する熱意は次第に失われているという。ある新聞記者は次のように語る。 「当初、大阪府警では大企業が著作権侵害を犯しているということもあり、ともすれば会社ぐるみの悪質な犯行ではないかとも想定し、かなり力を入れていたようです。ところが、実際には数人の担当者の失態に過ぎなかったということがわかってきていて、“大々的に家宅捜索までしなくてよかったのではないか”という声も出ているようです」  今回の著作権法違反の妥当性については、起訴・不起訴処分および起訴となった場合には判決を待たねばならない。 しかし、すでに報じられているとおり、スクウェア・エニックス側は作品内で起用されたゲーム・メーカーの一部からは許諾を得ており、今回の件がトラブルに発展しかねないことを認識していたと察せられる。 結局のところ、かかる事件を防げなかった原因は担当者のミスということで事件は収束しそうな様子だ。一方、スクウェア・エニックスでも、前代未聞の失態を犯した担当者らに処分を下す動きはみられない。この理由を同社の関係者はこう話す。 「『ハイスコアガール』の担当編集者は、アニメ化もされた『咲-Saki-』の担当でもあるんです。ドル箱の作品を抱えている人物ということもあってか、人事的な懲罰はないままに終わりそうです」  事態は「つい、うっかり」では済まされない事態に発展してしまったのに、ほかに功績があるからですまされてしまう。これでは、会社のモラルも問われることになってしまいそうだ。当時はまだ著作権についてのはっきりした線引きというものが曖昧であったこともあり、非常に戸惑い様子を見ながらの判定だったそうだが、今後も新しい溶媒が出てくるにつれて、混乱を招きかねない未来がくるであろう。

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スクウェア・エニックスの著作権侵害はグレー?ハイスコアガール問題

2014年8月の忘れられないニュースといえば、押切蓮介氏の人気マンガ『ハイスコアガール』がゲームキャラクターを無断使用したとして、SNKプレイモアが出版元であるスクウェア・エニックスを刑事告訴した問題だ。  一連の流れはこうだ。同年8月5日、スクウェア・エニックスが著作権法違法の疑いで大阪府警の家宅捜索を受け、翌日6日にSNKプレイモアがこの件についての文書を発表。文書によるとスクウェア・エニックスに対して、電子書籍・単行本・月刊誌などの即時販売停止を再三申し入れたが「なんら誠意ある対応がなされなかった」として、刑事告訴に踏み切ったとしている。 一方、スクウェア・エニックスも同日文書を発表しているが、捜査に全面的に協力するとした上で、本件に関する詳細の公表は控えるとコメントした。  その後の進捗については双方とも発表しておらず、現在は続報が待たれる状態だ。  今回、『ハイスコアガール』の件についてスクウェア・エニックスは著作権法に触れているのか検証すべく、著作権のエキスパートである骨董通り法律事務所の福井健策弁護士にお話をうかがった。  現在、同人誌などの二次創作やゲームプレイ動画の実況などが多くの視聴者の中で人気を集め、著作権の“グレーゾーン”が広がりを見せる中、SNKプレイモアが刑事告訴に踏み切った理由や、法律的な問題点、そして裁判の行方について、弁護士から見たこの騒動はどのようなものなのだろうか。 ――『ハイスコアガール』には、SNKプレイモア作品のロゴやゲーム画面、キャラクターが使用されています。これは告訴の趣旨である著作権法第119条1項の、どの部分に該当するのでしょうか? 福井健策弁護士(以下、福井氏) 119条1項の「著作権…を侵害した者」に該当し、そこから21条の「複製」、27条の「翻案」が問題になります。 また、今回の告訴状を拝見していないのですが、通常は、これに加えて119条2項1号の「著作者人格権…を侵害した者」から、19条の「氏名表示権」と20条1項の「同一性保持権」が問題になります。このあたりが、盗作、あるいは限度を超えた引用の論争で問題になる条文です。 ――今回の件は、批評や引用、パロディの範疇には含まれないのでしょうか? 福井氏 まず、法律を離れた一般用語としての“批評、引用、パロディ”の範疇に含まれるかというと、含まれる可能性はあると思います。ただ、問題はそれが著作権法的に許されるかということで、次のような順番で考えていきます。 (1)「複製」「翻案」に当たるか 「ドラえもんっぽいな?」くらいの、似ても似つかないものは「複製」にも「翻案」にも当たりませんので、この段階ではじかれてしまいます。そして、「複製」か「翻案」に当たると次の段階に進み、そこで初めて著作者人格権も問題になります。 (2)その「複製」「翻案」を許すような例外規定はあるか ここで、例えば32条の「引用」に当たるかなどを検討します。また、「パロディ」については条文がありませんが、それならすべて許されないのか、乱暴に言えば「超法規的」に許される領域がないのかということがよく議論されます。 ――単行本の最後には「SPECIAL THANKS」や(C)の表記をし、SNKプレイモアなどの社名を記載したことが問題視されていますが、問題になる可能性がある点はありますか? 福井氏 各ゲームがSNKプレイモアの著作物であることは事実でしょうから、そう表記しても著作権法上の問題は少ないでしょう。著作権以外だと、商標権侵害、業務妨害、名誉毀損などが、プラスアルファのクレーム理由として、一応考えられます。 しかし、私の感覚を言うと、結論として法的な問題まではないと思います。 ――SNKプレイモアが、今回の告訴とは別の訴訟を提起する可能性はあるのでしょうか? 福井氏 刑事告訴とは別に、著作権侵害で民事訴訟を起こす可能性はあるでしょう。 他方、著作権以外の裁判ですと、無論ダメモトでも起こせますし、裁判所がSNKの言い分を認める可能性がないとは言えませんが、やや低いと考えます。やはり、著作権で進めていくのではないでしょうか。 ――作品にはSNKプレイモアのキャラクターが登場していますが、キャラクターのパブリシティ権を侵害していることになるのでしょうか? 福井氏 パブリシティ権は、実在の人物、もしくは、デーモン小暮閣下のような、実在の人物の延長線上にあるキャラクターにしかありませんので、ゲームの架空キャラクターには認められないでしょう。したがって、パブリシティ権侵害はないと考えられます。 ■スクウェア・エニックスへの家宅捜索は行き過ぎだった!? ――SNKプレイモアはスクウェア・エニックスに再三該当作品の販売停止を求めていましたが、スクウェア・エニックスはそれを無視していました。これは裁判に影響が出ることなのでしょうか? 福井氏 仮に裁判で著作権侵害が認められた場合には、“わざと侵害を継続したよね”という「故意の認定」であったり、「損害額増額」の要素にはなりえます。ただ、そもそも侵害や違法行為が認められなければ、無視をしていても問題ありませんから、影響を与えることはありません。 ――スクウェア・エニックスは大阪府警の家宅捜索を受けていますが、その必要性はあったのでしょうか? 福井氏 スクウェア・エニックス側の故意や損害額の認定にとって、関連性がないとは言えません。ただ、一般的に警察は二次創作的な事案で不用意に動くべきではないと思いますので、家宅捜索までするような事案だったかなという疑問は残ります。 ――SNKプレイモアは今回スクウェア・エニックスを刑事告訴していますが、民事でなく刑事告訴にした理由、またその意味はあるのでしょうか? 福井氏 もちろん民事と刑事両方を進めてもよいのですが、一般に、刑事だけを選択する理由として三点ほどあります。第一に、当然ながら悪質だと感じた時に、お金の問題ではなく、処罰を望むことがあります。 もっとも、著作権侵害のほとんどのケースは、現実には罰金刑で終わっています。ただ、同じお金でも民事(賠償金)と刑事(罰金)では性格が違い、刑事では前科前歴がつきますので、相手にとっても痛手とは言えそうです。  第二に、決着が早いこと。民事は判決が出るまで通常1年かそれ以上かかります。刑事は早ければ数ヶ月で決着がつきます。今回のケースも刑事告訴を受けて、休載しています。民事で差し止め判決を取ろうとする場合、ずっと時間がかかるでしょう。  第三に、不謹慎な言い方ですが、経費的な負担が少ないことが多い。 これはケースによりますが、民事訴訟を1年闘うと、弁護士報酬がかなりかかります。刑事はスムーズに刑事告訴に至れば、その後は基本的には警察・検察側での進行になりますから。 その意味で、「我々は悪質だと思うから刑事告訴に踏み切った。あとは国が判断することです」という割り切りもしやすい、と言えるかもしれません。 ――今回のケースは、スクウェア・エニックスとSNKプレイモア間の問題ですが、作者の押切蓮介氏の責任問題が問われることはないのでしょうか。 ■『ハイスコアガール』がSNKプレイモアの作品を使用したことは引用にすぎない!? ――スクウェア・エニックスには、本当に非があるといえるのでしょうか?福井氏 先ほど申し上げたとおり、まず(1)「複製」「翻案」に当たるか、そして(2)「引用」に当たるかという2点の帰すうによります。この二つが(1)YES、(2)NOとくれば、基本的に違法ですので、非はあるということになります。  1~5巻を拝見する限りは、画面の再現が不鮮明・部分的で、そもそも「複製」「翻案」に当たるか疑問な箇所も少なくありません(例:【資料1】)。知っている人が見ればわかるのかもしれませんが、これでは元のゲーム画面の特徴はよくわかりません。  しかし、同じゲームの一連のプレイ画面をかなりはっきり再現している箇所もあり、これならば「複製」「翻案」には当たる可能性が高いように思えます(例:【資料2】)。 他方、『ハイスコアガール』は90年代のゲームをめぐる若者たちの恋愛模様や青春群像を、実在のゲームを追いながら描いています。そのような作品の性質から考えると、ゲーム画面の利用が「引用」として許される可能性は否定できません。 ただ、前述の4巻の3ページ分などはゲームの展開をメインで楽しませる要素もあり、このあたりを裁判所がどう判断するかが分かれ目になるでしょう。 ■ゲーム実況は“暗黙の了承”? 「無断使用」を無制限に差し止める感覚は古い!?

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売り上げ伸びずエロゲー業界の“これから” 廉価版も未来なし?

人気作品ともなれば、アニメ・ライトノベルといったメディアミックス展開やコンシューマー化も行われたりと、多くの人気コンテンツを世に送り出している18禁ゲーム(以下、エロゲー)。 しかし、「エロゲー業界が不況である」とはもう何年も言われ続けている。ダウンロード販売やソーシャルゲーム化など、多様化が進みつつも回復する兆しの見えないエロゲー業界の現状を追った。  まず、今年3月に発行されたコンピューターソフトウェア倫理機構(ソフ倫)の会員向け機関紙『ソフ倫ニュース』3月号には、平成26年度の販売予測本数予測表が掲載された。 これによれば、加盟45社の来年3月までの年度内販売タイトル数の予測は936タイトル。前年度の実績965タイトルを下回り、前年度比97%となる見込みだ。 販売本数の予測は290万1900本。こちらは前年度の実績285万5100本をわずかに上回り、前年度比100.2%となる。つまり、タイトル数は減るものの、売り上げではほぼ横ばいになると見込まれている。 けれども、今後懸念しなくてはいけない問題は、横ばいから上昇へと転じる要素は特にない。あるのは、縮小が始まりそうな状況だけなのだ。  近年、エロゲーはパッケージ版とダウンロード版の同時発売、“実用性”に特化した廉価版なども多くなっている。 しかし、“安く・手軽”になったからといっても、その市場が旧来のフルプライス作品に取って代わるには至っていない。ある業界関係者は語る。 「(業界全体として)廉価版タイトルは売れなくなってきています。ですので、廉価版で薄利多売をするよりも、多くの開発会社は単価が高いフルプライス作品を少量売るほうに流れていっていますね」(18禁ゲーム業界関係者)  エロゲーを扱う流通会社も同様の考えのようで、廉価版の取り扱い規模は縮小の一途を辿っているという。 「まともに廉価版を扱ってくれる流通会社は、TIS(旧ホビボックス)くらいです」(前同)  また、18禁ゲームの開発会社が“新たな鉱脈”と考えたソーシャルエロゲーも、やはり状況は厳しい。 2013年に鳴り物入りでリリースされた『グリザイアの安息』は、今年7月をもってサービスを終了。終了理由は明らかにされていないが、「予想ほどユーザーが確保できなかった」というのが業界のもっぱらの噂だ。  この「グリザイア」シリーズは、秋からテレビアニメ『グリザイアの果実』が放送予定となっている人気コンテンツ。それでもユーザーを確保できないほど、ソーシャルエロゲー業界は厳しいようだ。  しかしながら、そんな困難な状況にありながらも、決してエロゲー自体がつまらなくなったわけではない。 必死にユーザーが「買ってよかった」と思うゲームを開発する人々には頭が下がる思いだ。18禁ならではの自由度を生かして、これからももっとユーザーの度肝を抜く作品が生まれてくれることを期待してやまない。

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「海賊版がファンを増やしている」海賊版撲滅に対する海外の反応!

2014年は、経済産業省が漫画やアニメの海賊版を撲滅していくことを決定した(参考記事)。  今までインターネット上で海賊版のコンテンツを見てきた人たちは、大きな衝撃だったのではないだろうか。  海賊版は利用者にとってはありがたい存在なのかも知れない。なんといったって、ただでネットさえあれば買わずにコピーされたコンテンツを視聴できるのだから。 しかし、提供者にとっては失うものが多い。経済産業省の調査(平成25年度)では、漫画やアニメの海賊版被害は米国だけで約2兆円に上るとされている。このような被害額を知ると、提供者の立場に同情し、海賊版の撲滅は当然だと思うだろう。  一方、海の向こうでは「海賊版撲滅はむしろ漫画やアニメの売上を落とすことになる」といった議論が盛り上がっている。つまり、海外では「無料で見れてしまう海賊版は損」という考え方は大きな間違いで、「海賊版こそがむしろ売上アップに貢献している」という考え方が多いのだ。  どういうことなのか、今回はその一部をご紹介しよう。  まず、英語圏の公式ニュースサイト『ジャパンタイムズ』の「日本の経済産業省が海賊版撲滅を始めた」という記事のコメント欄で、「海賊版が著作権侵害であることはわかるが、世界中には正当な方法で見ることができない人々がたくさんいる。 それを日本の政府は考えてほしい。海外で無料で漫画やアニメが見れなくなるのは、将来的には大きな損失となるはずだ」という意見が盛り上がっている。 実際これに対して、「日本人は愚かだ」「考え方が理解できない」などといった賛同意見が世界中で集まっている。  ほかにも、英語圏のアニメコラムサイト『アニメアーセナル』で、デジタルアーティストのロベルト・ブレイク氏の「海賊版がファンを増やす」という意見が話題になっている。  ロベルト氏は、「日本のアニメ会社は、海賊版サイトと協力し合う方が市場にファンができて、売上が上がる。そもそも海賊版撲滅の本当の目的は、会社の利益を守ることだろう。それなら、海賊版を追いかけることにお金を使うより、ファンを幸せにしてお金を儲けることを優先した方がいい。 海賊版でアニメや漫画を見てくれる人が増えれば、その分だけ人気は上昇する。海賊版があるからといってDVDが売れないというわけではない。 むしろ海賊版サイトで作品を知り、ボーナストラックが見たい、カバーイラストを集めたい、コレクションしたい、などの理由でDVDを購入する者も少なくない。 海賊版サイトはアニメ会社よりアニメのファンをよく理解していると思うし、作品の新たなファンを増やすきっかけになるかもしれない。だから、海賊版サイトに素材を提供して、より商品を購入しやすくするのはどうだろうか」と主張している。  つまり、海賊版でアニメを知ってDVDやグッズを買っている人は多いので、その売上がなくなるとアニメ会社は困るはず、ということ。これは、それだけ日本のアニメが評価されているということでもあるので、少し考えさせられる意見ではないだろうか。  もちろん、だからと言って海賊版の存在を肯定してはいけない。  ただ、私たち日本人は「無料は提供者にとってメリットがない」と考えてしまうが、ロベルト氏の言うように、少し視点を変えて、無料でコンテンツを提供してお金を稼ぐ方法は模索してもいいのではないだろうか。  例えば、無料のコンテンツを出す代わりに提供者が広告収入を得られるようにする、無料で一部の素材を提供してその特典は有料にする、などはすぐにできるのではないだろうか。 実際、著作権フリーの素材を求める人は少なくない。ちょうど今、はてなブックマークで「著作権フリーのマンガ画像、アフィリエイト宣伝素材があればいいのにな」といった内容のエントリーに注目が集まっている。  個人ブログ『団劇スデメキルヤ伝外超』(参照)の「試し読みなどで、無料公開されているものが多いので、それらの中からは、画像転載して良い…とか」との意見に対し、はてなブックマークのコメント欄では「たしかに部分的にフリーで使えるとうれしい」「クリックじゃなくて購入報酬型のアフィリエイトと組み合わせられないかなあ」などといったものが見られる。  このまま海賊版が減れば、比例して世界のファンも減ってしまう可能性がある。しかし、ファンを増やす目的で素材を配布しようとする日本企業が出てくれば、状況は変わるのではないだろうか。

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「AV女優からアイドルになれるかも」そんなAV女優が見た現実とは?

――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛~い”業界事情をレポートします。 こんにちは、東京都は下北沢の(売れない)地下アイドル、姫乃たまです。  連載第2回目のテーマは、「地下アイドルとAV女優」にスポット当てたいと思います。  私は、地下アイドルの肩書きを持ちながら、アダルト系媒体をメインにライターの仕事もしているので、よく「いずれはAV女優になるのか?」と聞かれます。あまりにもよく聞かれるので、「AV女優になるのではないかという件について」という文章まで、自分のブログで公開したほどです。  アイドルになりたかった女の子たちが、自分の名を売るために始めたグラビアが気づけばイメージビデオになり、AVになり……という話は少し前までよく耳にしましたが、最近では先にAV出演が決まってから、“元アイドル”という肩書きをつけるためにわざわざイメージビデオを撮るなんて話を聞くようになりました。時代と流行りは変わっていくんですね。  AV女優たちのアイドルグループが結成されるなど、最近はその垣根が曖昧になりつつもあるようなアイドルとAV女優 ――そこで、今回はアイドルになりたかったのに最初からAV女優になってしまった女の子のお話をしたいと思います。  AV女優に“なってしまった”と書いたのは、最初から最後まで、当人がAV女優の自分に納得していなかったからです。 幼い頃から可愛い物や服が好きだった彼女は、人前で踊ったり歌ったりするのが夢でした。正直、お世辞にも歌がうまいとは言えませんでしたが、絶対音感があるそうで、自分で歌ってて音がずれていくのが気持ち悪いと言っていたのが印象に残っています。  彼女はある日、街中で声をかけてきた芸能スカウトマン(実際は風俗やAVのスカウトマン)の紹介で、“アイドル番組”の収録に行きました。ところがそこで彼女を待っていたのは、白いブリーフ姿の男性たちでした。番組の内容も知らされず不安でしたが、楽屋にはほかの女の子達もいたので、「まあ、大丈夫かな」と少し安心したそうです。  結果は、服こそ脱がなかったものの、わけが分からないまま男性たちに精液をかけられ、呆然としたまま収録は終わりました。  アイドルや素人を騙すAVはよくありますが、私はその話を聞いて、初めて本物があることを知りました(もちろん彼女以外は仕込みのAV女優でした)。アダルト系ライターとしては、仕掛けた側はなんて優秀なAVメーカーだろうと思いましたが、アイドルの立場からしたら、たまったもんじゃありません。  撮影後、号泣する彼女にスカウトマンは「もう精液もかかっちゃったし、AVやってみようか。あんまり変わらないよ」と声をかけてきたそうです。この時なぜ自分が承諾したのか、彼女にも分からないと言います。ただ、少しだけ、「AV女優からアイドルになることができるかもしれない」と思ったそうです。  後に彼女は、AVの仕事は「特に楽しくもなかったし、過酷でもなかった」と話していました。    結局、AVの活動はいまいちパッとせず、テレビで観るような歌ったり踊ったりするAV女優にはなれそうもありません。その上仕事にやる気を出さない彼女に、最初のスカウトマンは風俗で働くことを勧めます。  これでよかったのかと悩む日々を“精神的に”支えてくれた役者の彼(ヒモ)を“金銭的に”支えるために、彼女は風俗で働いてみることにしました。お店では現役AV女優の肩書きがつき、彼女のAVを見たという少数のファンが指名してくれるようになりました。片手で数え切れるほどの人数でしたが、全員信じられないほど独占欲と嫉妬心が強く、連日その内の誰かが長時間で指名してくれたため、彼と2人で生活できるくらいの額は稼げたそうです。  しかし、この役者の彼氏がほかの女の家に移り住み、彼女の前から消えたことで、生活は崩壊します。もう風俗で稼ぐ理由もありませんし、ついでだからAVもやめて、本当にアイドルになることに決めました。気づけば、彼女は資格も職歴もない、ただの26歳の女性になっていました。  私が最後に見た彼女の姿は、自称“21歳”のアイドルで、ロリータ服に舌足らずな喋り方。左手首の傷をふわふわのファーで隠して、地下アイドルに混ざって一生懸命歌って踊っていました。少しだけ、歌も踊りも上手になっていました。

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“中二病”の犯行ではない?『アンネの日記』破損事件は30年以上前から

 東京都内の公立図書館で相次いでいる『アンネの日記』や関連書籍が相次いで、ページを破られる被害に遭っている事件。現在まで、これと同様な事件は東京都内の公立図書館でなんと250冊以上が破られた被害に遭っていることも判明済みである。 4月20日には、アメリカのユダヤ人人権団体「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」が日本の当局に犯人を特定するように求める声明を発表。これを受けて、管義偉官房長官が記者会見で「我が国として受け入れられるものではなく、きわめて遺憾」とコメントするに至っている。  また一気に国際問題にまで発展したこの事件。ところが、当の図書館関係者からは「過剰反応では?」と戸惑いの声が挙がっている。本サイトの取材に応じた、都内の図書館関係者は語る。 「『アンネの日記』が、破損される事件は今に始まったことではありません。私が図書館に就職した1980年代には、そういったことはよく起こると、関係者の間では話されていました」  この関係者によれば『アンネの日記』とヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』は、図書館関係者の間では、昔から破られる被害の多い本だという。 「やはり、“ナチズム”や“ホロコースト”は特定の精神的構造を持った人を引きつける要素が強いんじゃないかと思います。私も過去に、図書館内でホロコースト関連の本を破っている人を見つけたことがありますが、その人物は刑事事件の責任能力がない人でした」  詰まるところ、精神医学的に“コダワリ”の強い人の犯行なのではと、図書館関係者は経験則から指摘をする。だからこそ、この事件にはコメントし辛い。その結果、これは国際問題なのか、または多様な考え方からの行動の違いということだけなのか、というような妙な状況になってしまっているのである。  ちなみに、同様の図書館関係者しか知らない「あるある」はほかにもある。なぜか、J・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』は、毎年補充しなければならないほど、盗まれることの多い本の中の一冊なのだとか。 『アンネの日記』といえば、ホロコーストより生還した父親の手による編集を経て、今や「世界の記憶(世界記憶遺産)」とまでなった。ともすれば、中二病的な日記ゆえに、中二病をこじらせた現代日本の若者(突然、意味もわからず『我が闘争』とか読み始めたりするような)が、ナチス賛美の挙げ句にやっているのかと思えば、実態はもっとナイーブなものの様子。「国際問題」、「人種差別」と騒ぎは大きくなっているが、早期の真相解明が求められている。 (取材・文/昼間 たかし)

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pixivやメロンブックスへ飛び火する恐れ、CG児童ポルノ裁判の初公判

 写実的に書いた絵が「児童ポルノ」に該当するのか? 2013年7月に、CGで描かれた少女のヌードをめぐり、岐阜県在住の男性が児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕された事件の初公判が、12月19日、東京地裁で開かれた。  この事件について、一部では「過去に販売されていた少女ヌードの写真集をスキャンし、加工して販売した」と報じられているが、これはまったくの誤報だ。逮捕されたデザイナーの男性は、写真集は参考に使った程度で、実際には想像で描いていたとしている。ここが事件の大きなポイントだ。たとえ写実的だとしても、想像で描いたものはあくまで本人の創作したアートの範囲であるはず。もしも、これが「児童ポルノ」とされるならば、古来からの芸術的な絵画、近年のマンガ・アニメまで「二次元」のさまざまなものが「児童ポルノ」とされる可能性を帯びてくるからだ。  しかも検察官は、逮捕された男性がそれらのCG集を「メロンブックス」に販売委託し、そのデータがイラスト系SNS「pixiv」の管理するサーバーに保管されていたことを指摘。もし、男性の描いたCGが「児童ポルノ」と認められた場合、マンガ・アニメファンにとってメジャーな企業であるメロンブックスとpixivが「児童ポルノを世間に流布することに関与した企業」とされてしまう。  公判の中で、弁護団からはそもそもCGが「児童ポルノ」に当たるとする検察側に対し、疑問を提示。男性も「私は無実です」と力強く答えた。  今後の裁判では、弁護側、検察側の双方が証人を招くほか、実際に写真のトレースではなく想像で描いていることを実証するなどして、進められる予定だ。  被告側の弁護団は、山口貴士氏、奥村徹氏、壇俊光氏の三名で構成されている。閉廷後、記者団の取材に答えた壇氏は 「こうしたCGが児童ポルノに該当するとなったら、創作表現に大きな萎縮効果をもたらす。参考にした写真には、被写体である少女が存在するという意見もある。それは名誉毀損にあたる可能性もあるが、まったくの別問題です」  と語った。  次回公判は、検察側の証人として、CGで描かれているのが“18歳未満の少女”であると判断した医師を招く予定。期日は現在のところ未定だ。  なお、この裁判において弁護団はすべて手弁当でありカンパも求められている。 (取材・文/昼間 たかし)

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エロゲー界のロックスターbambooが語る新譜、そしてエロゲー業界

ある時はロックスターとしてステージに立ち、ある時はエロゲーブランドOVERDRIVEの代表としてゲームを作り、ある時はファッションやグッズをプロデュースし……と何足のわらじを履いているのか分からないほど多方面で活躍されている竹内“bamboo”博ことbamboo氏のロックユニット「milktub」が4thアルバム『春夏冬ROCK’N’ROLL』を1月22日にリリースする。リリースはアニソン系アーティストでおなじみのLantisからだ。  milktubは2000年前後より美少女ゲームに楽曲提供するなどをして活躍していたものの、2008年『BPM200 ROCK’N’ROLL SHOW』でメジャーデビューし、その後『バカ・ゴー・ホーム』がTVアニメ『バカとテストと召喚獣』のエンディング曲にりアニメロサマーライヴに出演、最近では同じくTVアニメ『有頂天家族』のオープニング曲を担当するなど、活動の場をどんどん広げている。なんとキャリアとしては20年クラスのベテラン実力派バンドなのだ。  そんなmilktubが3年ぶりのニューアルバムを出すということもあり、早速bamboo氏に話をうかがいに行き、milktubのこと、OVERDRIVEのこと、エロゲー業界のことについて語ってもらった。 ―約3年ぶりとなるニューアルバム『春夏冬ROCK’N’ROLL』ですが、相変わらずパンクロック全開の仕上がりですね。 bamboo:milktubはドーピングロックンロールですからね。今回もアッパーで聴くと元気になる曲ばかりです。 ―『春夏冬ROCK’N’ROLL』の聞き所はどこになりますか? bamboo:全曲ですね。落ち込んだ時に聞いてもらえれば元気になってもらえるんじゃないかと。特に、『有頂天人生』(編注:TVアニメ『有頂天家族』のOP曲)なんかは良いもの書けたと思います。アニメのキャラのスタンスと、実際の自分のスタンスがうまくシンクロしてくれたんで。 ―『有頂天人生』はシングルCDの動きも良かったそうですね。 bamboo:アニメの主題歌ってこともあって、『有頂天人生』はCDもかなり数字が動いたけれど、それ以上に配信ダウンロード数が動いたんですよ。アニメを見て、いいなと思ったリスナーが安価な値段ですぐに買える配信っていうのは昔に比べるとミュージシャンにとってすごく重要な存在になりましたね。 ―ちなみに配信とCDの場合、ミュージシャンの収益はどちらが大きいのですか? bamboo:CDの場合カップリング曲があるから、曲数の関係で印税率は高くなるけど、その辺はあんまり気にしませんな。曲をたくさん聞いてもらえて、ライブに来てくれる人が増えてくれた方がありがたいから。 ―アルバムについて話を戻しますが、ドーピングロックンロールとはいえ、『バカとテストと召喚獣にっ!』第七問のEDになったバラード調の『バカと個室と孤独飯』も収録されていますよね。 bamboo:あれはトイレの個室で孤独に卵かけご飯を食べる人の歌なんですよ。初めてのムード歌謡っぽい曲です。 ―設定だけでなんだか寂しくなりますね…。 bamboo:でしょ? 今回は他にもバラードというか、悲しい曲があって新曲の『大人チャレンジ』なんかもそうですね。 ―『大人チャレンジ』ですか? 聴いた感じテンポも速いし、ノリノリでmilktubらしい曲だと思ったのですが。 bamboo:自分が10代の頃って、20代で結婚して、30代で子供ができて、40代で家を買って…みたいな人生を想像していたんですよ。だけど今の現在全くその気配がない(笑)。そこが悲しいというか…その気持ちを曲にしました。 ―(苦笑) bambooさんにお子さんはいらっしゃらなくても、仕事の関係から若い声優さんと絡むようなことも多いんじゃないですか? bamboo:そうですね。最近は特に増えました。下手すると10代半ばの子とかもいて、年の差が自分と25歳違うこともある。そういう場合は、子供もいないくせに「大丈夫? ちゃんとご飯食べてるか?」とかお父さん目線になっちゃうんですよ。女の子の声優とか、すごくかわいいけれど、付き合いたいとかそういう目では全く見れない(笑) ―アルバム全体を通してに参加しているサポートミュージシャンはどんな方たちなのですか? bamboo:アルバムは、タイアップ以外の曲は何年も一緒に仕事をして気の合った連中といつも作っているんですよ。ただ、メインでいつも関わってるメンバーは人間としては相当アレですよ。酒癖が悪かったりで(笑) ―サポートミュージシャンとはいえ、メンバーはだいたい固定なんですか? bamboo:そうですね。レコーディングもライブも同じ。バンド感って一緒にやり続けないと出ないじゃないですか。だからあんまり変えたくないんです。 ―milktubはライブバンドとはいえ、実際の年間ライブ本数はそれほど多くはないですよね。何か理由があるのですか? bamboo:milktubの場合、基本がゲーム音楽なわけですよ。だからゲームができないと曲もないわけで、もちろんゲーム制作中はライブ活動を控えるから、ゲームが完成したらそれに便乗してライブをするってスタンスになるんですよ。 だから必然的に多くはできない。昔っから漠然と考えてたんですが音楽をたくさんの人に聴いてもらためにライブを年間100本やるのも良いんだけど、ゲームを作って買ってもらって、流れる曲をたくさんの人に聴いてもらうのも「自分等の作った音楽を聴いてもらう」という事においては結果的には変わらないかなって思うんですよね。と言っても最近はそういうのと関係なく、面白い企画が思いついたらライブをしたりするようになったけど。 ―面白い企画とは例えばどんなことですか? bamboo:「抱き枕奇祭」とかですね。前にニコ生でライブ中のサイリウムが問題になったことがあったんですよ。 サイリウムって硬くて液体入ってるし狭いライブハウスで振ったりするとすっぽぬけて危ないじゃないですか。だったら同じようなもので柔らかければいいじゃねってことになって、思いついたのが抱き枕。ライブには多くの人が集まりましたよ(笑)  あとはスク水を着てライブに来たら女性はキャッシュバックというキャンペーンはよくやってます。ただし男がスク水を着てきたら倍額。でも、倍額だって言ってんのにスク水で来るヤツがいるんですよ。もうそいつらのためにやっているような企画ですね(笑) ―milktubのアルバムでAKBのように特典を何バージョンも付けて販売するなんてことは考えたことありますか? bamboo:ないですね。めんどくさいしデザイナーさん死んじゃう(笑) ―特典をたくさん付けて販売するAKBのような販売戦略に批判が出たりしますが、ミュージシャンとしては何か感じることはありますか? bamboo:純粋に、儲かってて羨ましいなって。AKB商法って確かに批判されるけど、エロゲーの販売に置き換えたら、実はそんなに変わらなかったりするんですよ。 新作を発売する際にはメーカーは特典をたんまり付けるわけで、それとどう違うのって訊かれたら、実は違いなんてない。エロゲーだって特典を売っているような面がある。本来売りたいものよりも、特典の価値の方が大きくなってしまったのは本末転倒なんだけど、それが是か非は置いておき、AKBなんかの売り方は商売としては上手いですよね。 ―ゲームについてお聞きしますが、昨年発売された2作『僕が天使になった理由』『グリーングリーン』の売れ行きはどうだったのですか? bamboo:正直に言うと、目標の7〜8割ってトコですかね。グリーングリーンに関してはクラウドファンディングで(編注:インターネット等で資金の提供や協力などを行うこと)作ったこともあってか、赤字にはならなかったけど、『僕が天使になった理由』はちょい赤でした。開発費をかけすぎたんでしょうね。 ―OVERDRIVEの作品だと開発費はいくらくらいなんですか? bamboo:うちは3500~5000万円くらいかな。 ―『僕が天使になった理由』が発売になった後、ご自身のブログへの書き込みが発端となって、引退騒動になりましたよね。  

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