『ガールズ&パンツァー』の「聖地」として、多くの観光客が集まりアニメによる町おこしの成功事例として国内外から注目を集めている茨城県大洗町。そこで以前イベントで展示されていた10式戦車の展示が行われなくなったのは日本共産党のせいではないか? という話題が、にわかに注目されている。

 大洗町では自治体から民間までが共同で『ガールズ&パンツァー』を使った町おこしを展開。国内外からも大勢の「巡礼者」が訪れ活況を呈している。

 問題となっているのは、2013年7月に、海開きの関連として行われた陸上自衛隊の10式戦車の展示だ。

当時の新聞各紙などの報道によれば、大洗町から要請を受けた自衛隊は、静岡県内の駐屯地から10式戦車を運搬。さらに東京からは儀仗隊も派遣。これを見ようと、催しが行われた13日から15日までの間に約1万5,000人の観光客が訪れたという。

 これを問題視したのが、同地の日本共産党に所属する菊地昇悦町議だ。

菊池町議のブログによれば、13年の町議会での一般質問で「ガルパンファン向けに取り組まれ、今後も実施の意向を示している自衛隊の実物戦車の展示は行わないよう一般質問でとりあげました」としている。

同ブログで菊池町議は「町は環境・観光・町づくり・都市計画マスタープランなど多面的な実施計画を作成しています。これらの計画では観光地として景観を重視しています。戦車を観光目的として展示することは計画を無視するもので、都市公園法からみても問題があります。オリンピックに向け、『おもてなし』を強調し外国人を呼び込むことに意欲を示しましたが、戦車を観光の目玉にする町はどのように見てもらえるのか」としている。

 また日本共産党茨城県委員会では13年11月25日に各省庁に対しての要請行動を行っているが、この報告の中の「百里基地へのオスプレイ配備反対」とする項目では、次のように触れられている。

航空自衛隊の観閲式・航空祭の中止、夜間・早朝訓練の中止、百里基地にオスプレイを配備しないことを要望しました。また大洗町で「ガルパン」ファン向け、自衛隊の実物戦車の展示が行われた事に関し、今後中止するよう要望。防衛省の担当者は「町から要望があり、自衛隊のPRのため展示した。今後の要望は来ていない」と述べました。

切実な要望・意見 政府、各省庁に伝え交渉

 果たして、国政政党とはいえ、この要望程度で町おこしの催しが変更を余儀なくされてしまうものか?

 そこで、大洗町の商工観光課に電話で話を聞いてみたところ、共産党による圧力を全面的に否定された。

「そういうわけではありません。防衛省との日程的な都合が合わないため呼べないだけです」

 さらに、13年以降に共産党から『ガルパン』に対しての要望も一切ないという。

 同じく電話で取材に応じた菊池町議は、筆者がネットでの状況を説明したところ、とても驚いた様子。そして「私が質問したからどうかは、わからないです。今年も装備の展示はありましたし」と言い、次のように話す。

「あの時は“実際の戦車を展示するのはどうなのか”と考えて取り上げましたが、それ以降は特に問題にはしていません。

『ガルパン』ファンの方々が、反応しているとのことですが……私は作品自体はビデオで少し見ただけですし、町を訪れてくれる観光客の方々がみんな楽しんでいる姿も見ています。そればかりか町おこしにも一生懸命関わってくれている人もいて、地域が活性化しているので、むしろ歓迎していますよ」

 今回もネットあるあるの、勝手に話がこじれてしまっただけだったか……。