
商業誌でも展開されていた、淫乱女装子の物語「肉便姫・沙姫」シリーズが、この第9弾『肉便姫症候群5』で、堂々の完結です。
兎二角さんによって描かれた、このシリーズは女装子モノのエロマンガにおいて、新たなる地平を拓いた作品です。 その新しさは、リアルにありそうな情景と共に女装子が衣装を身につけることから、セックスの快感へと目覚め、ドハマリしていくことを描いてきたことにあります。
第一作では、TwitterみたいなSNSで自撮りした女装写真を投稿し、反応を見るだけで満足していた沙姫ちゃんが「メガネの人」を中心とする男たちに輪姦されることから始まりました。
以来、勝手に裏アカを作られたり、街角で売春させられたり、流されるままにハードな プレイを体験することになってしまった沙姫ちゃん。
中でもハッテン場でのプレイ会は、多くの人に「この作者はなんてわかっているんだ」と絶賛をされました。
というのも、ハッテン場でいざプレイシーンになる前に沙姫は、間違えて別のフロアに行ってしまい「女装さんはここじゃないよ」と、教えられるシーンが。ええ、これは都内の某有名ハッテン場ですよね……というわけ。
そんなわけでグッとリアルとの接続が増した作品世界。隣のヤリサーに所属する大学生たちや、宅配便のお兄さんともホモセックスをしちゃう沙姫でしたが、物語の進展と共に 心境に変化が。
最初に自分を、こんな世界へと導いた「メガネの人」への恋心が産まれてしまったのです。作中、連絡がこないことに不安を覚え、いざ呼び出されたら満面の笑み。
これは、心の中の女が完全に開花しているのか……? でも、兎二角さんはスゴかった。この最終回で沙姫ちゃんの恋には決着がつくのですが、それはいわばすべての女装子に向けられたメッセージなのか。
エロマンガかと思ったら、女装子が花開くまでのドキュメンタリーだったとしか思えない傑作。ちなみに、ぼくはケツ穴でヨガリながらも「ホモじゃないれす~」とか、言っていた頃の沙姫ちゃんが好きです。
(文=昼間 たかし)
『肉便姫症候群5』
ページ数:20ページ
サークル:兎二角