リイド社の公式サイトを見る限り、存在しないことにされている「comicクリベロン」。リイド社で唯一、成年コミックマークがなければ発行できないものばかりだから当然でしょう。同社も大手出版社の一角。それに『ゴルゴ13』を出している出版社が、こんなエロいものを……とは思われたくない大人の事情があるのでしょう。
さて、そんな大人の事情に隠れた「comicクリベロン」ですが、とにかくマニアックな作品が目白押し。それも、尖りすぎず、ビジネスとしても上手くいきそうなさじ加減が見事なのです。
そんな雑誌の収録作を集めたジョン・K・ペー太氏の『悶絶オポチュニティ』。もうタイトルからして、よくわからないけど自信とテンションとかが満ちあふれています。
この作品集のウリは、とにかく断面図エロに尽きます。もともと断面図エロで評価されているジョン・K・ペー太氏ではありますが、今回は、よい方向に振り切れています。ほぼ狂気ともいえる具合。実用作品として興奮する前に、ひとまずは圧倒されまくってしまうのです。
その狂気が冴え渡るのが「遊星からの透け透けメガネX」。もう、タイトルがどうしようもなさを感じさせるあたり、作者も編集も「してやったり」というところではないでしょうか。
作品はSFテイストを含んだ設定。主人公は宇宙人に攫われ、なぜかメガネを改造されてしまうのです。その結果、メガネをいじると色々透けて見えるようになってしまったのです。それも服が透けるだけじゃない。子宮の内部までもが見えてしまうのです。
おわかりでしょうか。断面図といっても、教科書などに掲載されている人体解剖図のように正面からバッチリと身体の中身が見えるというわけなのです。
そのおかげで、見えてしまうのはとんでもないものばかり。憧れのクラスメイトの子宮の中は、知らない男の精液でタップンタップン。ゴリラ呼ばわりされる熱血女体育教師は妊娠しているし、真面目な学級委員長は常にバイブを膣に仕込んで歩いているという具合。
そんなわけで、色んな秘密を入手した結果として、学級委員長との本番シーンが展開されるんですが、ここでも手は抜かない。断面図が常に見えるゆえの、的確な卵巣姦で女のコをイキ狂わせるのです。
この世界観において重要なのは、卵巣は女のコのキンタマであるということ。 「この玉っコロがお前のキンタマかッ!!」 「大事なキンタマ潰されて、学級委員長失格になるお前の無様な瞬間だぜッ!!」 「わ、私のキンタマがぁァァッ☆」 「きッ 来てるゥ!! 排卵始まってるゥッ!!」 いったいなんでしょう。このセリフのテンションは。圧倒されてしまいます。
このほか、全8作品が収録されているのですが、冒頭のこの作品でどう感じられるかが、この単行本で興奮できるかどうかのカギです。
いずれにしても、このハイテンションは、あらゆる人を断面図フェチへと誘うものになっているのではないか……そんなことを思いました。
(文=ピーラー・ホラ)
『悶絶オポチュニティ』
ページ数:194ページ
筆者:ジョン・K・ペー太
出版社:リイド社(COMICクリベロン)