『放課後バニラ』で人気を博した“きい”氏の最新作『群青ノイズ』が昨年末にリリースされ、その電子版が今月頭にリリースされた。
するとDMMではすぐ様ヒットを記録。きい氏の実力と人気の高さを示す結果となった。
前作から評価されていた画力と、エロマンガなのだけれどショートショートとしての物語性の豊かさが今作も発揮され、全10話におまけまでついた229ページの大ボリュームとなっている。
公式の紹介文に「繊細に揺れ動く乙女たちの琴線に触れる青春群像短編集」とある。
全10話に登場するヒロインたちは全員、どこか曖昧なのに、10代の女の子らしく(20代のヒロインも登場するが)、不器用な繊細さ感じさせる。そのために、告白よりも先にセックスに応じてしまったり、意図せぬ形で友人の好きな人と寝てしまったり、生徒と禁断の関係に陥ってしまったりする。
それはどこか、自分が傷つかないようとする防衛反応にも思えるし、若さゆえの過ちや性への開放的な興味にも思える。そのためか、描かれるセックスが濃密でていねいな描写の一方で、キャラクターたちの心情としては非常に刹那的に描かることが多い。それこそが今作の最大の魅力であり、青春群像劇たらんとしている由縁だ。
物語それぞれ、性的描写の表現を抑えれば、全年齢でも通じるエピソードもあるし、短編小説化させても良いようなものもある。それだけ全てが巧みに描かれたエロマンガというのはなかなかお目にかかれない。
エロマンガというだけで、男性の目だけにしかとまらないということであれば、非常にもったいないし、エロマンガというだけで内容を吟味されなかったら、これほど悲しいことはない。『群青ノイズ』は男女問わず、堂々とおすすめできる青春漫画だし、青春小説ファンにもオススメできる群像劇集ではないだろうか。
(文=Leoneko)
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『群青ノイズ』
ページ数:229ページ
筆者:きい
出版社:ワニマガジン社