
連載時から色々な意味で話題を振りまいていたりょう氏の『キズモノオトメ』が単行本化し、DMMにて配信開始となった。表紙には「このエロ漫画がひどい」という強烈な煽り文句。これだけで気になってしまい、ジャケ買いする人もいることだろう。
実際、『キズモノオトメ』はかなり人を選ぶエロマンガと言える。と、言うのもまず画風。最近のエロマンガは萌え絵中心であり、アニメ同然のハイクオリティな画力を持った作家が大半を占めるなか、りょう氏の画風は線の粗い手書きっぽさを残したものだ。悪く言うと少々古いのである。古参のエロマンガファンであれば、この味わい深い画風がかえって新鮮に映るかもしれないが、若いファン層には慣れが必要かもしれない。
作画にややハンデがあるものの、ストーリーとエロはどうかというと、これまた独自路線を突き進んだものである。
まず設定だが、「さえずり荘」という古いアパートの管理人になるために、子供の頃に少しだけ過ごした町に戻ってきた主人公(童貞)が、そのアパートで出会った住人たちと童貞喪失をテーマに起こるドタバタコメディといった感じだ。「さえずり荘」が実は妓楼(娼館)というのが、物語の核となっている。
登場人物は、メインヒロインは18歳の美女であるが他は、小学生と思しき少女(※明確な描写はありません)、処女のアナルファッカー、飲んだくれのボーイッシュ、ショタの男娼と、超人博覧会と思えるほどに濃いキャラばかりだ。彼女たちは全員娼婦なので、セックスをすることが仕事であり、そういった意味でエロ描写は常に存在し続けるが、主人公が童貞をこじらせているために非処女に恐怖心を抱いており、そこでのドタバタ劇がコメディタッチとなるわけだ。
しかもそのコメディ要素のレベルが高い。本当にギャグ漫画っぽい展開やオチが用意されているために、完全なるエロシーンを省けば一般誌で掲載されるようなちょっとエッチなギャグ漫画にもなりえるクオリティだ。しかし、エロマンガにエロを求めるという、至極当然な期待のもとに読むと肩透かしを食うだろう。それだけコミカルな描写や展開が多いのだ。
とはいえエロマンガであることはまちがいない。セックスもフェラチオも、アナル開発も乱交も、ユーザーのオナニーネタになるよう、どれもしっかりていねいに描かれる。物語展開が巧みな作者なので、エロの描写が実に臨場感あふれて描かれるので、はまる人には即シコとなるはずだ。その臨場感は、逆にりょう氏の線の粗い作画だからこそ生み出せているのかもしれない。
主人公は果たして非処女恐怖症を乗り越え、童貞を卒業できるのか。クスクスっと笑いながら、濃いキャラ達のセックスライフを楽しみつつ、その目でぜひとも確かめてもらいたい。
(文=穴リスト猫)
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『キズモノオトメ』
ページ数:214ページ
筆者:りょう
出版社:GOT