「ハッピーアナール」
そんな、意味不明な呪文が強烈な、骨太男爵『淫脳改造プログラム~母娘絶頂カルト堕ち~』(クロエ出版)。
表紙イラストが、すでにヤバさをアピールしているとんでもない一冊なのである。
メインの収録作は、カルト教団による洗脳を描いたシリーズ「肛福家族」。よっぽど、この作品が推しなのか表紙にタイトルよりも目立つ位置に「母娘絶頂カルト堕ち」というキャッチが。
このヤル気そのままに「肛福家族」は、とんでもない作品である。
このカルト教団の教義は極めてシンプル。
「おしりのゆがみは人生のゆがみ。不幸なおしりは不幸な相を持っています」
そんな教えのもとで「美しい人生は美しいヒップから」と称するエクササイズショップを開き、女たちを洗脳しているのである。
さらに、路上でも「不幸なことがありますね」と声をかけ、その理由はお尻だとか話してエクササイズに連れ込んだりと、メチャクチャ勧誘熱心な手堅い組織なのである。
しかも、この教団。そろそろ社会的にもヤバい存在だと認知されてきているようで、女性新聞記者が潜入取材を敢行したりするのだが、やっぱり捕まって洗脳されることになるのである。
物語は、こんな組織に洗脳された母と娘の姿を描くのだが、完全にお尻を「浄化」という名の洗脳を受けた母に対して、娘が「騙されている」と反論した時の展開が秀逸だ。
「アナールの神よ
そのお力で
娘のアナールを浄化したまえ!
ハッピーアナール!」
こう呪文を唱えながら、パンツを脱がして肛門に教団から授与されたメダルをかざすのが、信者が行う儀式なのである。
もちろん、まだ洗脳されていない娘には、激烈に拒否されてしまう。
しかし、すでにハマりまくっている母親は
「このままじゃ不幸になっちゃう。私がもっと頑張らないと」
と、信仰への決意を新たにするのだ。
こうして教団の人々によってアナルでの快感を目覚めさせられて堕ちていくわけだが、いよいよ出てくる教団本部のマジキチ度が高い。なんでも、ここに使える巫女たちは、みんな実の父親とアナルで繋がった処女という設定。さらに女性信者のために、薬でチンポを勃起しっぱなしにされた奴隷たちも控えているのである。
とにかくダイナミックさに圧倒される展開なのだが、後半になると学校の教師たちが丸ごと教団の信者になっていて、もはや誰もが洗脳から逃れない状況も完成。実は教団の背後には日本を仕切る謎のフィクサーが控えているとか……きっと作者は『野望の王国』(原作:雁屋哲原作、作画:由起賢二/日本文芸社)とか大好きなんだろうなという展開に!
すごく濃厚な展開だが、まだまだ教団を軸にしたダイナミックな展開は広がっていきそうな予感。今後も期待したいシリーズだ。
(文=ピーラー・ホラ)