全裸より着衣のほうが気持ちよいに決まってる!!
二次元はもとより、三次元のコスプレものAVも、漏れなく購入しまくっている筆者だけど、近年は、ツボがよくわかっている制作陣が増えているので助かる。コスプレものを謳っているのに、途中から全裸になりやがってブチ切れたことも数知れない。
でもやっぱり、着衣エッチは二次元のほうが、三次元よりも優位に立っていると思う。なぜなら、ニュートンも驚く重力に逆らったような、物理的にあり得ない脱がせかたや構図だって、二次なら可能なのだから。そんなワケで二次を堪能する時も、やっぱり全裸にするよりも適度な脱がせ方をしているか否かは、レビューの対象たり得るかどうかの判断基準になっているというわけである。

そんな着衣フェチな筆者が、店頭で即座に手に取ったのが、ぴりりねぎ『JK着衣ズム』(文苑堂)。このタイトル。着衣エッチ好きなら買いなのは当然である。そんな、股間にダイレクトに語りかけるようなタイトルの本作。ちなみに「JK」というのは「女子高生」と明確に記すのがはばかれる時に用いられる隠語だと思うのだが、なぜかタイトルの下には「high school girl Chakuism」と表記してあるというのが面白い。
文苑堂のエロマンガは、基本が大迫力で、わかりやすく見せるというワニマガジン的な手法。そこに、作者の本来の嗜好であろうマニアックなリビドーを加えることで、独自色を出している。で、ぴりりねぎ氏は、圧倒的にカラーの塗りが上手い。残念ながら通常の単行本スタイルなので、カラーはカバーと口絵くらいしかないのだが、スク水とかタイツの光沢感が絶妙すぎるではあるまいか。この光沢だけで、着衣フェチなら、めちゃシコの域であろう。

さて、そんな着衣女子たちとのエッチを描く作品を、この単行本では9編も収録。ここで重要なのは、単に着衣エッチだけがウリではないということ。もともと、男性受けのシチュを多く描いてきた、ぴりりねぎ氏(G4Mなどでも活躍中)。この作品でも基本は男性受け。前述の、スク水のカラーページが光る「夏色フレーバー」は、文芸部の先輩が、部活の時間にスク水でエッチに迫ってくる展開。しかも、こだわりが凄くて、ここに至る前提として、雨でプールの授業が中止になったことと、先輩は授業があると思って家からスク水を着て投稿してきたことが記されているのである。で、時間軸は放課後……これだけ記せば、スク水が単に着ているだけではない、いろいろ熟成されたものであることがわかるだろう。
導入部の限られた部分だけで、読者に対して、徹底的にフェティシズムの真髄をアピールしようとする作家性には「喝采」以外のなにものもない。
さらに、収録9編のうち2編は逆アナルシーンもあるし、単なる着衣エッチではない、なにかを目覚めさせる要素がふんだんに盛り込まれているのである。
本物の着衣エロスとは、こういうものだと思った。
(文=ピーラー・ホラ)