また誰得なアンソロを買ってしまった……。『ワキフェチバニーガール』(キルタイムコミュニケーション)である。
表紙の裏表に煽り文句を並べるのが、このアンソロの常道なのだが、裏のほうには「バニーガールとワキフェチの奇跡の融合がここに!」云々と書いてある。もう、意味わからん! いや、意味がわからないけれども、これを読むことによって、また新たなフェチを知ることができるのは間違いない。新たなフェチを知ることは、人生を豊かにしてくれる……。
というわけで、ページをめくってみたわけだが、これはなかなか高度なジャンルである。
そもそも描いているマンガ家たちも、編集者を納得させて、読者を興奮させることを目指して描いているハズだ。とはいえ、マンガ家がもともと、そういうフェチの持ち主とは限らない。だから「こんなの考えたぜ」という頭の中で考えたプレイが描かれる。
その考えたプレイに、マンガ家本人が興奮することができているのか? あるいは、単に仕事で描いているだけと割り切っているかが、別れ道。もちろん、読者が興奮できるのは前者でしかない……。
結局、毎月のようにこのマニアックなアンソロシリーズを読んでいて思うのは、もっとも興奮できるのは、与えられたお題をこなしつつ、自分が描きたいことだけを描いているマンガ家の作品である。
その点で、まず興奮度が高い収録柵は、るいす・まくられん「嘆きのメリア ~亡国の虜姫~」。この作品、誇り高い亡国の姫が敵国の舞踏会で、バニーガールみたいな衣装で踊らされて罵倒される。
「私が従っている限りは……」と故国の平和を守るために、羞恥心を抑えて踊る姫を、観衆は「なんで淫らな舞だ」「姫は娼婦だったのか」と笑う。
このシーン、ちゃんと伏線になっていて、後半ではワキを性感帯に変えられて、やがて姫は性感帯をむき出しにして踊ることで興奮する変態に堕ちるというわけである。本来のテーマとは別に、作者のファンタジー系で姫堕ちを描きたいという衝動が興奮させてくれる作品になっているのだ。
自分の描きたいことを描いている点で、臨界点を突破しているのは、歌麿「腋責めJK輪姦地獄」である。物語は、破綻寸前の学園を救うために理事長の孫である生徒会長が、出資者たちにバニーガール姿で、ご奉仕するもの。
そのはずなのだが、冒頭では柔道部らしき部活に励む生徒会長の姿が。特に、そんなシーンを描かなくてもよいのに、描いてしまったのは、作者の嗜好ゆえだろう。いや、柔道着に興奮する人って、オリンピック中継とかでも興奮するのか……?
この作品、数ある作品の中でも特に、なぜ登場するヒロインたちはワキで感じてしまうのかというメカニズムが解説されている点でも評価したい。
ヒロインを犯す男性の言葉として「腋は汗と一緒にフェロモンを分泌するが、汗が多いってことは感じやすいってことだ」というのである。
すなわち、汗をかくことによって、ワキはマンコとなる。そして、汗をかきやすいワキは淫乱マンコということらしい……。うん、これからワキを使ったプレイを描くマンガ家は、この設定を利用することで、エロ度をアップすることができるのではあるまいか?
タイトルにあるバニーガールはどこにいったんだ……確かに着ているけど? と、妙な点にばかり目がいってしまう、このアンソロ。ひとつ気になったのは、ワキと片仮名で表記するか、腋と漢字で表記するか、どちらがエロいだろうかということである。
(文=ピーラー・ホラ)