
このフェティシスト連載も早3回目を迎えた。
月2回の連載を続けていくには、やはり新規のネタが必要である。「どこかにおもしろいフェティシストはいないかな?」と探していたところ、その名も「フェチフェス」というイベントを発見。さっそく足を運んでみた。
フェチフェスは、世界に誇る“ジャパニーズフェチ”をテーマに、さまざまなジャンルのフェティシュな即売会&撮影会を実施するイベントだ。2013年から始まり、今回で8回目の開催になる(ナンバリング以外のイベントを含めると17回目)。
エロス系のイベントというと、深夜のアングラなクラブや、マンションの一室で開催されるドロドロしたものを想像するけれど、フェチフェスは、日中にごく健全なイベント会場で開催されていた。
会場内も明るくて健康的なのだが、ふと見ると、いきなり局部と乳首がギリギリ隠れる程度の水着を着た女性が歩いていて、ギョッとする。見渡すと、そこかしこにエッチな姿の女性がいるではないか! ボンテージ、スクール水着、ボンテージ、縄で緊縛……など、さまざまなコスチュームの女性で溢れかえっていた。



写真撮影OKの人も多く、官能的なポーズをとる女性の周りで、額に汗をたらしながら真剣な顔で写真を撮る男性客も数多くいらした。
一方、即売会のほうには、さまざまなジャンルのフェティッシュなブースが出店していた。エロいコスチュームを着た写真や動画を同人発売しているブース、首輪やアダルトグッズを即売しているブース、筋肉フェチのティーシャツや、グロテスクな同人誌販売などなどである。
歩いていると、見覚えのある女性が、きわどい水着でコンドームを配っているのが見えた。AV女優のあず希さんだ。大人気で、カメラを持った男性たちに囲まれていた。

あず希さんは、脱ぎたてのパンティを真空パックにして販売しており、行列ができる賑わいだった。そのブースを見ると、大手AVメーカーのソフト・オン・デマンドのブースだった。同人ブースに混じって、大手メーカーのブースも出店していたのである。今注目の女性AV監督、山本わかめさんもにこやかに販売していた。
「らむさん~!!」
と声をかけられて振り向くと、人気AV監督の二村ヒトシさんがいらっしゃった。
個人的な話になるが、二村さんは、僕がライターになって初めてインタビューをさせていただいた方である。ソフト・オン・デマンドのブースの横にはSMの体験コーナーがあって、お金を払うと女王様にギュッと踏んでもらえるという好きな人にはたまらないサービスを実施していた。
受けてみたいけど、僕が受けてしまうと誰も写真に撮ってもらえないな……と困っていると、二村監督が、
「じゃあ僕が受けるから、撮影したらいいよ!!」
と自腹で500円を払い横たわった。

大沢美由紀女王様の太ももにギュウギュウとプレスされる二村監督。オマケにほかの女王様にも股間を膝で圧縮されている。500円とはとても思えない過剰サービスで、二村監督の顔は恍惚感にあふれていた。
二村監督は、自身のAV以外にも、開発されたアダルトグッズ“プロステート・ギアロング”の販売もしていた。男性向けの、ディルドバイブであり、新たなるオーガズムを開発するグッズだという。僕はまだ開いたことのないトビラなのだが、この連載を続けるからには、いつかは体験しなければならないのだろうか――?
フェチフェスを主催する佐藤サド監督は、アダルトビデオメーカー『フェ血ス』にて、臭い、体液、ぽちゃ体型、腋、スカトロなど、高濃度なフェチ系やマニアック作品を制作している。また、氏賀Y太原作の映画『まいちゃんの日常』などのアート作品も手がけている人物だ。
個人的には『巨乳黒ギャルの脇汁密着おにぎり』という作品は衝撃だった。競泳水着を着た巨乳のギャルが、腋にゴマ塩をふったあとに、ぎゅっぎゅとおにぎりをにぎる。「腋フェチってこういうことだったの?」とビビリまくってしまった。
そんな佐藤サド監督に、自身のフェチと、フェチフェスについてお話をうかがった。

佐藤サド(以下、佐藤) 僕は、いろいろな変態、フェティシズムを持っています。たとえば、女性の身体だと、足裏、太股、局部、陰毛、腋、目、唇、乳輪など、それらの部分が綺麗なのももちろん好きですし、あえて汚いのにも興奮しますね。体型では、貧乳、巨乳、デブ、スレンダー、単足、長身などなんでもあり。さまざまな障害がある身体も好きだったりしますね。
対象年齢も(あくまで妄想上の対象ですが)、幼児から初老までいけます。基本的には女性が対象ですが、ニューハーフならば、女性として対象になります。ただ、範囲は広いのですが、どんな女性でもいいわけではなくて、体型だったり、身体の部位だったり、年齢だったり……それぞれにフェティシズムを感じさせるものを持っている人に興奮するのです。
誰でもフェティシズム、変態的な性癖のひとつや2つは持っていると思うんですね。実際やってしまうと、社会人として支障が出たり、逮捕されてしまったりしますけど。それでも我慢できずに、やってしまえる人が、真の変態なんだろうな、と思っています。
皆さんが吐き出せなくて、ためこんだ変態性癖を持ち寄るイベントが、フェチフェスですね。「自分一人なんじゃないだろうか?」と思って悩んでいた変態性癖が、フェチフェスに来てみたら意外と普通だと気づいたり、考えたこともなかった変態性癖に出会ったり……と、変態同士の交流会になればよいな、と思っています。
――そもそも、このフェチフェスはどのようなコンセプトで始まったのですか?
佐藤 私自身、フェチAVとアート映像のどちらも携わる身ですから、ポルノとアートを棲み分けせず、フェティシズムをテーマにどちらも共存できイベントを開催したかったんですよ。内容も、即売会があり、パフォーマンスがありと、形式が自由でカオスなのがやりたくて。
今までにも夜に開催される敷居の高いアングライベントはありました。ただフェチフェスは、もっと明るく気軽に入れる、変態たちが安心して参加できる、イベント学園祭的なイベントにしたいと思っています。
――今後、フェチフェスはどう進化していくのでしょうか?
佐藤 今はまだ男性の参加率のほうが高く、エロ趣旨傾向が強いので、もっとアート色も強くして、女性客も増やしていきたいですね。即エロではなく、フェティシズムや変態性癖が作り上げるアートをもっと盛り上げていきたいと思っています。
(文/村田らむ)
■村田らむ(むらた・らむ)
1972年、愛知県生まれ。ルポライター、イラストレーター。ホームレス、新興宗教、犯罪などをテーマに、潜入取材や体験取材によるルポルタージュを数多く発表する。近著に、『禁断の現場に行ってきた!』(鹿砦社)や 『ホームレス・スーパースター列伝』(ロフトブックス)が発売中。
■フェチフェスイベント情報
興味を持ったあなた!! フェチフェスアンダーグラウンド映像祭Vol.2 台湾&東京が11月に開催されます!
台湾 2016年11月5日(土)
東京 2016年11月13日(日)
変態性癖が疼いたら、ぜひぜひ来るべしです!! ちなみに東京では、わたくし村田らむも、樹海の死体の映像で映像を少し提供、トークライブに参加させてもらいます!!
公式HP<https://www.fetifes.com/>