何かと都合のよい設定を迫力ある絵柄で魅せる「実用」作品の多いエンジェル出版から登場した、大嶋亮『熟コス―熟女だってコスプレがヤりたい―』。
またエロバカ作品なんだろうな~と思ったら、予想の斜め上をいくバカエロ作品だったのである。
物語のヒロイン・森結衣は、グラマーな40歳のオバサン。そんな彼女が主婦業の合間にしている仕事は、マンガ家のアシスタントである。
しかも、昔マンガ家を目指していたことがあるから申し込んでみたら、好都合にも隣に住んでるエロマンガ家のところで働くことになったのである。
そんな、どれだけ都合がよいのかと、笑わせるような設定で物語は始まる。しかも、さらに都合のよいことに、結衣は旦那とはご無沙汰。もはや、旦那はどんなセクシーな下着を身につけてもまったく反応しないという冷めた関係になっているのだ。
そんな欲求不満な日を過ごしていた結衣は、先生から作画資料のために、メイド服を着ることを頼まれる。もちろん、ただ着るだけではない。「色んな資料が欲しいから」とスカートをたくし上げたりしていれば、興奮してしまった結衣は、童貞の先生に自分から迫ってしまうのだ。
ドン引きして「SEXしなくても描けますから」という先生に強引に迫った結衣は、そのまま無理矢理童貞を奪ってしまったのである……。
こうして始まる物語だが、第二話の冒頭で、また笑いが。夫とは違って、自分の身体を求めてくる先生とのコスプレエッチにハマった結衣は、段ボール数十箱のコスプレ衣装を揃えて待ち構えているである。
このまま、毎回バカップルのエロバカな本番シーンの繰り返しで物語が続くかと思いきや、途中から新キャラとして結衣の親友で離婚協議中の熟女・愛梨が登場。しかも、初登場回はコミケで本を売っていた先生の前にエロコスで「ファンですー」とやってきて、オフパコなのである。熟女+エロレイヤー+オフパコって、わけのわからん豪華仕様で読者を興奮させようという作戦なのだろうか?
で、コミケに結衣がやってこない理由として「冬コミって大晦日ですよね。こんな所でこんな事してるけど、私一応主婦なので家のことがあるし」と断っているシーンを、ちゃんと挿入しているのもツボである。
そんなご都合主義的展開の中で、結衣はついに先生に心を奪われて、人妻なのに「先生との子供」を欲しくなっちゃうという展開に。
どう考えても泥沼展開なのだが、それでもハッピーエンドになっちゃうので安心できる。
熟女のコスプレという新しいフェチに目覚める本作。まあ、コミケ会場でもちょっと歳を食ってるレイヤーには妙な色気があることを考えると納得だ。
(文=ピーラー・ホラ)