“フクシくん”こと落合福嗣が大手声優事務所入り、実力に期待する声も

中日ドラゴンズのGM・落合博満の息子で、タレントの落合福嗣が、現在、声優として、大手声優事務所・青二プロダクションに所属していることがわかった。 福嗣は、無類のアニメ、ゲーム好きとしても知られ、親子ともども『ガンダム』ファンであることを公言したり、2010年にゲーム『龍が如く4』に本人のそっくりさん役として出演、2014年には『ファイナルファンタジー14』の公式イベントに登場するなど、マルチタレントとして活躍している。 また、2013年には、在籍していたアミューズメントメディア総合学校の声優タレント学科の学生を中心に結成されたグループ「NOAH」のメンバーとして、テレビドラマ『猫侍』の主題歌を歌ったことも話題となった。 そんな福嗣が、とうとうプロの声優になったのではないかと、ネット上で注目を集めた。きっかけは、今月17日、青二プロダクションに所属する俳優・桐本琢也が「事務所で大型(体格も)新人に会う。あの野球人・落合博満さんの息子さん落合福嗣君。 子供の頃をテレビでよく観たけどこんなに大きく成ってたんだな。お父さんみたくレジェンドな人・声優に成ってもらいたい。デカい好青年とチッこい老青年で記念写真。」(桐本のツイートより引用)と、福嗣とのツーショット写真と共にツイートしたことだった。 桐本が“事務所の新人”と呼んでいることから、福嗣が青二プロダクションに所属したと、噂になった。 福嗣の事務所入りの真偽について、当編集部が青二プロダクションに問い合わせたところ、電話に出た担当者によれば、落合福嗣は今年の4月から同社のジュニア所属(本所属の前の仮所属)となっており、そのことは公式ホームページにも記載されている、という旨の回答を得た。 先の噂が持ち上がったところ、ネット上では、福嗣の父親が偉大な野球選手であることから「好きなことをして暮らせる勝ち組み人生」「俺もこんな風に生きたかった」と羨む声とともに「声優は金持ちの道楽」「一般人は声優なんて目指せないよ」といった二極端な声も挙がる。 また「親の七光り」「結局声優はコネなのか」といった声優としての実力を疑う声がある一方、「青二はコネだけでは所属できないだろ」「落合の息子の肩書は声優業界で役に立つとは思えないから実力」と、その実力に期待する声も上がっていた。 幼少期から数々の“フクシ伝説”を築き上げてきた落合福嗣。声優業界でも新たな“伝説”を作れるのか、今後さらに注目だ。
有名ホビー誌も休刊?縮小、休刊が相次ぐKADOKAWA雑誌

2015年3月31日、週刊アスキー編集部は、同誌の5月26日発売号をもって印刷版の発行を停止し、6月よりネットに完全移行する旨を発表した。 今や時代はネットを中心に本や雑誌のネット移行だけではなく、買い物や音楽などもネットを中心にビジネス展開をされているのが、もう当たり前の時代にはなったものの、当時にしてみれば非常に真新しく大きな挑戦であったことには間違いない。 カジノもオンラインカジノというネット上で楽しめるようになったし、そこパチスロと全く同じようなビデオスロットも楽しむことが可能だ。 「週刊アスキー」は、KADOKAWAのブランドカンパニーであるアスキー・メディアワークスから発売しているパソコン誌。その原型となった「EYE-COM」を含めれば、およそ25年も続いた老舗雑誌であり、2010年の「月刊ビジネスアスキー」(旧・月刊アスキー)休刊以降、旧アスキー社のファンにとっては旗艦誌ともいえる存在だっただけにショックは大きい。 昨年末の同アスキー・メディアワークスのゲーム誌「DENGEKI HIME」の休刊、年明けに発表された300人の希望退職者募集と、昨年10月に行われたKADOKAWA・DWANGO設立に伴うKADOKAWAグループの再編は、ますます加速しているようだ。 そんな中、ここ数カ月、早ければ夏を迎える前にさらに一誌、KADOKAWAグループの某ホビー誌が休刊するという話が浮上した。あえて誌名は秘すが、メディアミックスやタイアップ企画も多く、オタクであれば誰でも一度は目にしたことがあるであろう有名雑誌だ。 休刊理由は、部数減少による赤字化。関係者によれば、休刊を知らされたのは数週間前で、すでに休刊予定号より先にあたる号の企画発注や手配を終えた後だったという。 「その雑誌は情報誌といえど、メーカーや版権元とコラボした連載モノやオリジナル商品の企画も多い。なのに事前に現場への相談や連絡もなく、突然上層部から×月号で休刊する、とだけ告げられたそうです。それも継続中の連載や企画の受け口も何ひとつ決まっていないようで、編集者は『メーカーや版権元に、いったいどんな顔をして報告にいけばいいのかわからない』とぼやいていました」(某ホビー誌関係者) 同誌では、つい先日から大型の読者参加企画も発表しており、もし本当に夏前に休刊するのであれば、グループ全体としてメーカーや版権元だけでなく読者からの信頼を大きく損なうことになるだろう。ドワンゴとの経営統合以前より買収や合併を繰り返してきたKADOKAWAだけに、重複する業務や媒体の整理はやむをえないのかもしれない。 だが今後どのような再編があるとしても、読者や関係各位との信頼を培ってきた現場で働く者たちが報われるような配慮を望みたい。株式会社KADOKAWA取締役会長である角川歴彦氏が唱える「クールジャパン」は、利益重視の「冷淡なオタク文化」でないと信じている。
トーハンの取引条件変更で、エロ系出版社が続々と破綻秒読みか…

2015年真っ只中に話題になったことは、数カ月以内に、エロ本出版社が倒産する!? それも一社や二社でなくということだ……。 今、エロ系を主力とする出版社が壊滅的な打撃を受けることとなる異常事態が発生している。その原因となっているのが、大手取次であるトーハンによる取引条件変更の強要だ。 発端となったのは、今年2月にトーハンが中小取次である協和出版販売の株式を買収し子会社化したこと。協和出版販売はエロ系を主力とする取次で、特に地方のDVDなどを扱う郊外型書店に対しては強い営業力を持っている。 「協和出版販売はエロ本、とりわけエロコミックの販売に長けている取次です。ちゃんと売れる書店に配本してくれるので、エロコミックの売り上げはトーハンと同じくらい。出版倫理懇話会系【註:茜新社やコアマガジン、辰巳出版などが加盟する業界団体】の版元では、売り上げの7割近くが協和出版販売の扱いになっているところもあるんです」 取材に応じた出版社の社員は、怒りを込めながら語る。 2月の子会社化を受けて、3月に出版社各社には協和出版販売とトーハンの双方から通達が行われた。これによれば、4月11日の搬入分よりすべてトーハンの取り扱いとすることが記されている。 ところが、問題は通達に記されていない部分にあった。トーハン側は、これまでの協和出版販売と出版社との取引条件をすべて反故にし、すべてトーハンの条件にすることを一方的に通告していたのだ。 「トーハンの条件では、卸値が5%は下がります。うちのような小さな版元でも、(版元に入ってくる金額としては)月に数百万円は変わってきます」(前同) さらに、精算の方法や支払時期もすべてトーハンの条件にするという通告もなされている。 「協和出版販売では、書店からの注文分(の代金)は全額翌月支払いでした。ところが、トーハンの場合は、“注文分の代金の7割を版元に支払い、残り3割は3カ月後に支払う”という条件。 さらに部戻し【註:出版社・版元が取次へ本を卸した時に、売り上げ金額から差し引かれるもの。通常は本体価格の3~5%】も、協和出版販売は6カ月後に支払う条件だったのが、トーハンは1カ月後に支払わなければならないことにするというのです」(前同) 出版社にとっては、卸値が下がって利益が減るだけでなく、収益の入ってくるサイクルががらりと変わってしまう。余裕資金を保持している出版社など、ほとんどない現在、支払いのサイクルが変われば、外注のマンガ家やライター、カメラマンなどに払う原稿料から社員の給料まで、一気に支払い困難になってしまう可能性もあるのだ。 もちろん、出版社側もトーハンの一方的な条件を受け入れる気はない。 「これまで協和出版販売に卸していた冊数は、トーハンに搬入しても同様の条件で扱うように求めたのですが、話を聞くふりはしても受け入れる気はまったくないようです。“もし、トーハンの条件を承諾しないなら、雑誌コードは卸さない【註:その出版社の雑誌を書店に配本しない】”と、露骨に脅してきてるんですよ」(前同) 出版社各社は共同でトーハンとの交渉を継続していく方針だ。 「トーハンに卸して委託配本するのを取りやめて、書店からの注文で対応しようとする出版社もあるようです【註:取次を介さずに、書店と出版社間で流通させようということ】。しかし、やはり取次の委託配本がなければ数が伸びません。書店も本が入ってこなくなれば困るわけで、誰も得をしませんよ」(前同) このままトーハンが自社に有利な条件を強行すれば、出版社の首が絞まっていくことは確実。今、エロ本、エロマンガに危機が迫っている! 他の要因としても、時代がそうさせつつある風も感じている。コンビニでの大人向け雑誌コーナーの廃止案や、インターネットが発達し、わざわざ紙の本を購入する需要が低下中であるとか、そのような面でも危機は迫ってきているのではないだろうか!
オフィスに人気は無。業界内を駆け巡るイメージエポック社、危機の噂?

PlayStation Portable用ソフト『最後の約束の物語』など、数々のゲームタイトルで知られるゲーム会社・イメージエポックの経営が危機に陥っているという情報が、業界を駆け巡っている。 同社は2004年に創業。『最後の約束の物語』をはじめ、『時と永遠~トキトワ~』の開発、『ブラック★ロックシューター THE GAME』『ソニプロ』の製作、アリスソフトの名作をコンシューマー化した『闘神都市』の発売などでヒットを飛ばし、多くのゲームファン層から知られてきた。 同社代表取締役の御影良衛氏は、2009年に日本最大のゲーム開発者向けカンファレンスであるCEDECの講演で上場準備中であることを発表。翌年の2010年には「面白いJRPGを作り続ける」という「JRPG宣言」を発表し、注目を集めた。ところが、2013年には一部代金が未払いであるとして訴訟を提起される事件も発生。上場も実現せずに、さまざまな憶測が流れてしまうこととなった。 こうした状況の中で、2014年には「週刊ファミ通」(KADOKAWA エンターブレイン)10月23日発売号にて、創業10周年記念タイトル『STELLA GLOW(ステラ グロウ)』を開発中であることが報じられ、あらためて期待を集めることとなった。 ところが、今年1月頃から新たな動きが起こる。転職情報サイトにて、元社員と名乗る人物が書き込んだ「2014年には、社内開発ラインか2本→1本となっていった」「優秀な人はさっさと転職し、開発能力が著しく下がってしまった」という真偽不明の情報が、ネットで流布したのである。ネットの怖さが引き起こされた、正しい情報も嘘の情報も一気に拡散されたこととなったのだ。当時にしてみれば、まだネットの情報が正しいか正しくないかなんて、判断がつかなかった人も多く存在していただろう。しかし既に、同時期から業界内でも、同社について「すでに会社の精算に向けて動き始めている」との噂が、現実味を持って語られるようになっていた。 そこで、噂の真偽を確かめるべく同社に対してメールで取材依頼を送ったが、回答期限を過ぎてもまったく応答はなかった。同時に、同社の入居しているオフィスビルのフロアが、すでに入居者募集として不動産情報サイトに掲載されていることも確認できた。 入居可能日は、今年の6月から。ということは、すでに退去に向けて準備を進めているのか? そこで同社を訪ねてみると、エントランスにはまだ「イメージエポック」の名前が残されているものの、同社が入居しているフロアに人影はなかった。ドアは閉じられ、宅急便の不在通知も挟まったままだ。 会社移転の可能性も考えたが、本日現在のところ、同社の公式サイトは更新されていない。また、会社登記簿でも所在地などの変更は登記されていない。つまり、業界内外で流布している噂は確実に現実味を帯びてきていたのだ。 創業10周年記念タイトルとして発表されている『STELLA GLOW(ステラ グロウ)』は、ユーザーからもかなり期待されており、このままお蔵入りしてしまうのはもったいない。代表取締役の御影氏は苦労人として知られるだけに、ちゃんと発売してくれることを願ってやまないということが起こった。
あえての休刊。「月刊コミックアース・スター」デジタル版への移行

まさに、紙に印刷された“雑誌”が転換期を迎えていることを象徴する出来事だ。 『ヤマノススメ』など、テレビアニメ化された人気作を連載する月刊マンガ誌「月刊コミック アース・スター」(アース・スターエンターテイメント)が、11月12日に発売される12月号をもって、紙での発行を終え、デジタル版へ移行することを10月11日発売の11月号で発表した。 業界内では、紙からデジタルへというのが積極的に進みつつあります。時代がネット上を重視し、これからの流行りと常識に乗っていくという行動スタイルが、どの業界にも生き残るために求められていることの一つです。 アニメ二期が好評だった『ヤマノススメ』のほか、『てーきゅう』『ノブナガン』『東京自転車少女』のような人気作も連載されている「月刊コミック アース・スター」。にもかかわらず“休刊”となることには、読者から業界関係者まで驚きの声を隠せない。 「月刊コミック アース・スター」の後藤裕編集長に休刊の理由を直撃したところ、ありがちな“紙媒体だと売れないから休刊”ということではないという。 「デジタル版への移行は、環境の変化です。2011年の創刊当初は“紙じゃないと描かない”というマンガ家さんも多かったんです。ところが、マンガのデジタル配信やアプリが増加していく中で、“デジタルでも執筆してよい”というマンガ家さんが、多くを占めるようになりました。その中で、より多くの人に読んでもらいたいと考え、デジタル版のほうが広がりがあると考えたんです」(「月刊コミック アース・スター」後藤裕編集長) そもそも、「月刊コミック アース・スター」発行元のアース・スター エンターテイメントは、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の子会社で、創刊当初からメディアミックスを前提とした展開を行ってきた。そう考えると、デジタル版への移行は原作を供給しつつ、より幅広い読者ターゲットに対する訴求力を高めることになると考えられる。 売れているからこその、紙媒体の“休刊”とデジタル版への移行。思い切った判断をした「月刊コミック アース・スター」だが、ともすれば後に続く雑誌も次々と出てくるのか?
KADOKAWA・DWANGO合併の影響?「DENGEKI HIME」が休刊

KADOKAWA アスキー・メディアワークスの発行する18禁ゲーム雑誌「DENGEKI HIME」が2014年度中に休刊した。 「DENGEKI HIME」は、1997年にゲーム雑誌「電撃王」の増刊枠「電撃姫」として発刊。その後、月刊ペースとなり、2007年からは「DENGEKI HIME」としてリニューアルされ、発行されてきた。 18禁ゲーム業界に詳しい関係者によれば、休刊は「販売不振」と「社内整理」の2つの理由によるものだという。 右肩下がりの話ばかりが聞かれる18禁ゲーム業界だが、関連産業である18禁ゲーム雑誌はさらなる苦境が続いてきた。史上初の18禁ゲーム専門誌だった「パソコンパラダイス」(サンデー社)は2013年11月の発行をもって雑誌としては休刊(2014年6月にムック扱いで復活)。 現在、18禁ゲーム雑誌は、オタク向けに特化した「TECH GIAN」(KADOKAWA エンターブレイン)とグラビア的志向の「BugBug」(富士美出版)の二強となっている。そこに「メガストア」(コアマガジン)「DENGEKI HIME」などが続く形になっていた。 2014年に入ってからは、「BugBug」が元々発行していたサン出版の方針変更により編集部ごと富士美出版へ移籍するといった動きも見られた。いずれにしても、今後も業界自体の縮小が止まらないことについては衆目の一致するところだろう。 KADOKAWAのグループ内では、2014年10月1日の株式会社KADOKAWA・DWANGOの設立を契機に、重複する部署の整理統合を進めていたが、18禁ゲーム雑誌についても、売り上げの良い「TECH GIAN」のみを残す形となった。 ただし、18禁ゲーム雑誌が冬の時代である以上、トップの地位にある「TECH GIAN」も順風満帆というわけではない。また、株式会社KADOKAWA・DWANGOの設立によって、エンターブレインは現在の千代田区三番町から銀座への移転も決まっている。現在の社屋も周囲に店もない都心の陸の孤島にあるわけだが、今回の東銀座への移転について同社社員からは「またオタクから遠いところへ……」といった声も聞こえてくる。 年々と規制が厳しくなり、新業界からも次々と新しい風が吹き始め、流行りを変えながら時代も変わっていくのは、避けようがない事実であり、そこをどのようにして乗り越えていくのかというのが古い業界が新しい時代を生き続けるカギとなる。 いずれにしても、いよいよ18禁ゲーム雑誌はどこが最後まで生き残るかの決戦が始まったようだ。
『咲-Saki-』で儲けてるから懲罰なし?『ハイスコアガール』事件の対応

2014年8月、著作権侵害の疑いによる大阪府警による出版元のスクウェア・エニックスへの家宅捜索を受けて休載中の『ハイスコアガール』。 同月、連載再開に関してのアナウンスはなされていない。そうした中、大阪府警ではスクウェア・エニックスの関係者を大阪まで出頭させて事情聴取を行っていることが、関係者への取材でわかった。 大阪府警に近い消息筋によれば、関係者への取り調べは週一回程度、関係者を大阪まで出頭させて事情聴取を行う形で継続しているという。 しかし、捜査の中で大阪府警内部では、捜査に対する熱意は次第に失われているという。ある新聞記者は次のように語る。 「当初、大阪府警では大企業が著作権侵害を犯しているということもあり、ともすれば会社ぐるみの悪質な犯行ではないかとも想定し、かなり力を入れていたようです。ところが、実際には数人の担当者の失態に過ぎなかったということがわかってきていて、“大々的に家宅捜索までしなくてよかったのではないか”という声も出ているようです」 今回の著作権法違反の妥当性については、起訴・不起訴処分および起訴となった場合には判決を待たねばならない。 しかし、すでに報じられているとおり、スクウェア・エニックス側は作品内で起用されたゲーム・メーカーの一部からは許諾を得ており、今回の件がトラブルに発展しかねないことを認識していたと察せられる。 結局のところ、かかる事件を防げなかった原因は担当者のミスということで事件は収束しそうな様子だ。一方、スクウェア・エニックスでも、前代未聞の失態を犯した担当者らに処分を下す動きはみられない。この理由を同社の関係者はこう話す。 「『ハイスコアガール』の担当編集者は、アニメ化もされた『咲-Saki-』の担当でもあるんです。ドル箱の作品を抱えている人物ということもあってか、人事的な懲罰はないままに終わりそうです」 事態は「つい、うっかり」では済まされない事態に発展してしまったのに、ほかに功績があるからですまされてしまう。これでは、会社のモラルも問われることになってしまいそうだ。当時はまだ著作権についてのはっきりした線引きというものが曖昧であったこともあり、非常に戸惑い様子を見ながらの判定だったそうだが、今後も新しい溶媒が出てくるにつれて、混乱を招きかねない未来がくるであろう。
スクウェア・エニックスの著作権侵害はグレー?ハイスコアガール問題

2014年8月の忘れられないニュースといえば、押切蓮介氏の人気マンガ『ハイスコアガール』がゲームキャラクターを無断使用したとして、SNKプレイモアが出版元であるスクウェア・エニックスを刑事告訴した問題だ。 一連の流れはこうだ。同年8月5日、スクウェア・エニックスが著作権法違法の疑いで大阪府警の家宅捜索を受け、翌日6日にSNKプレイモアがこの件についての文書を発表。文書によるとスクウェア・エニックスに対して、電子書籍・単行本・月刊誌などの即時販売停止を再三申し入れたが「なんら誠意ある対応がなされなかった」として、刑事告訴に踏み切ったとしている。 一方、スクウェア・エニックスも同日文書を発表しているが、捜査に全面的に協力するとした上で、本件に関する詳細の公表は控えるとコメントした。 その後の進捗については双方とも発表しておらず、現在は続報が待たれる状態だ。 今回、『ハイスコアガール』の件についてスクウェア・エニックスは著作権法に触れているのか検証すべく、著作権のエキスパートである骨董通り法律事務所の福井健策弁護士にお話をうかがった。 現在、同人誌などの二次創作やゲームプレイ動画の実況などが多くの視聴者の中で人気を集め、著作権の“グレーゾーン”が広がりを見せる中、SNKプレイモアが刑事告訴に踏み切った理由や、法律的な問題点、そして裁判の行方について、弁護士から見たこの騒動はどのようなものなのだろうか。 ――『ハイスコアガール』には、SNKプレイモア作品のロゴやゲーム画面、キャラクターが使用されています。これは告訴の趣旨である著作権法第119条1項の、どの部分に該当するのでしょうか? 福井健策弁護士(以下、福井氏) 119条1項の「著作権…を侵害した者」に該当し、そこから21条の「複製」、27条の「翻案」が問題になります。 また、今回の告訴状を拝見していないのですが、通常は、これに加えて119条2項1号の「著作者人格権…を侵害した者」から、19条の「氏名表示権」と20条1項の「同一性保持権」が問題になります。このあたりが、盗作、あるいは限度を超えた引用の論争で問題になる条文です。 ――今回の件は、批評や引用、パロディの範疇には含まれないのでしょうか? 福井氏 まず、法律を離れた一般用語としての“批評、引用、パロディ”の範疇に含まれるかというと、含まれる可能性はあると思います。ただ、問題はそれが著作権法的に許されるかということで、次のような順番で考えていきます。 (1)「複製」「翻案」に当たるか 「ドラえもんっぽいな?」くらいの、似ても似つかないものは「複製」にも「翻案」にも当たりませんので、この段階ではじかれてしまいます。そして、「複製」か「翻案」に当たると次の段階に進み、そこで初めて著作者人格権も問題になります。 (2)その「複製」「翻案」を許すような例外規定はあるか ここで、例えば32条の「引用」に当たるかなどを検討します。また、「パロディ」については条文がありませんが、それならすべて許されないのか、乱暴に言えば「超法規的」に許される領域がないのかということがよく議論されます。 ――単行本の最後には「SPECIAL THANKS」や(C)の表記をし、SNKプレイモアなどの社名を記載したことが問題視されていますが、問題になる可能性がある点はありますか? 福井氏 各ゲームがSNKプレイモアの著作物であることは事実でしょうから、そう表記しても著作権法上の問題は少ないでしょう。著作権以外だと、商標権侵害、業務妨害、名誉毀損などが、プラスアルファのクレーム理由として、一応考えられます。 しかし、私の感覚を言うと、結論として法的な問題まではないと思います。 ――SNKプレイモアが、今回の告訴とは別の訴訟を提起する可能性はあるのでしょうか? 福井氏 刑事告訴とは別に、著作権侵害で民事訴訟を起こす可能性はあるでしょう。 他方、著作権以外の裁判ですと、無論ダメモトでも起こせますし、裁判所がSNKの言い分を認める可能性がないとは言えませんが、やや低いと考えます。やはり、著作権で進めていくのではないでしょうか。 ――作品にはSNKプレイモアのキャラクターが登場していますが、キャラクターのパブリシティ権を侵害していることになるのでしょうか? 福井氏 パブリシティ権は、実在の人物、もしくは、デーモン小暮閣下のような、実在の人物の延長線上にあるキャラクターにしかありませんので、ゲームの架空キャラクターには認められないでしょう。したがって、パブリシティ権侵害はないと考えられます。 ■スクウェア・エニックスへの家宅捜索は行き過ぎだった!? ――SNKプレイモアはスクウェア・エニックスに再三該当作品の販売停止を求めていましたが、スクウェア・エニックスはそれを無視していました。これは裁判に影響が出ることなのでしょうか? 福井氏 仮に裁判で著作権侵害が認められた場合には、“わざと侵害を継続したよね”という「故意の認定」であったり、「損害額増額」の要素にはなりえます。ただ、そもそも侵害や違法行為が認められなければ、無視をしていても問題ありませんから、影響を与えることはありません。 ――スクウェア・エニックスは大阪府警の家宅捜索を受けていますが、その必要性はあったのでしょうか? 福井氏 スクウェア・エニックス側の故意や損害額の認定にとって、関連性がないとは言えません。ただ、一般的に警察は二次創作的な事案で不用意に動くべきではないと思いますので、家宅捜索までするような事案だったかなという疑問は残ります。 ――SNKプレイモアは今回スクウェア・エニックスを刑事告訴していますが、民事でなく刑事告訴にした理由、またその意味はあるのでしょうか? 福井氏 もちろん民事と刑事両方を進めてもよいのですが、一般に、刑事だけを選択する理由として三点ほどあります。第一に、当然ながら悪質だと感じた時に、お金の問題ではなく、処罰を望むことがあります。 もっとも、著作権侵害のほとんどのケースは、現実には罰金刑で終わっています。ただ、同じお金でも民事(賠償金)と刑事(罰金)では性格が違い、刑事では前科前歴がつきますので、相手にとっても痛手とは言えそうです。 第二に、決着が早いこと。民事は判決が出るまで通常1年かそれ以上かかります。刑事は早ければ数ヶ月で決着がつきます。今回のケースも刑事告訴を受けて、休載しています。民事で差し止め判決を取ろうとする場合、ずっと時間がかかるでしょう。 第三に、不謹慎な言い方ですが、経費的な負担が少ないことが多い。 これはケースによりますが、民事訴訟を1年闘うと、弁護士報酬がかなりかかります。刑事はスムーズに刑事告訴に至れば、その後は基本的には警察・検察側での進行になりますから。 その意味で、「我々は悪質だと思うから刑事告訴に踏み切った。あとは国が判断することです」という割り切りもしやすい、と言えるかもしれません。 ――今回のケースは、スクウェア・エニックスとSNKプレイモア間の問題ですが、作者の押切蓮介氏の責任問題が問われることはないのでしょうか。 ■『ハイスコアガール』がSNKプレイモアの作品を使用したことは引用にすぎない!? ――スクウェア・エニックスには、本当に非があるといえるのでしょうか?福井氏 先ほど申し上げたとおり、まず(1)「複製」「翻案」に当たるか、そして(2)「引用」に当たるかという2点の帰すうによります。この二つが(1)YES、(2)NOとくれば、基本的に違法ですので、非はあるということになります。 1~5巻を拝見する限りは、画面の再現が不鮮明・部分的で、そもそも「複製」「翻案」に当たるか疑問な箇所も少なくありません(例:【資料1】)。知っている人が見ればわかるのかもしれませんが、これでは元のゲーム画面の特徴はよくわかりません。 しかし、同じゲームの一連のプレイ画面をかなりはっきり再現している箇所もあり、これならば「複製」「翻案」には当たる可能性が高いように思えます(例:【資料2】)。 他方、『ハイスコアガール』は90年代のゲームをめぐる若者たちの恋愛模様や青春群像を、実在のゲームを追いながら描いています。そのような作品の性質から考えると、ゲーム画面の利用が「引用」として許される可能性は否定できません。 ただ、前述の4巻の3ページ分などはゲームの展開をメインで楽しませる要素もあり、このあたりを裁判所がどう判断するかが分かれ目になるでしょう。 ■ゲーム実況は“暗黙の了承”? 「無断使用」を無制限に差し止める感覚は古い!? ――今回の問題に関連して、ニコ生でのゲームの実況中継など、実際のゲーム画面を配信することは著作権的に問題はないのでしょうか? 福井氏 純論理的には、実はこちらのほうが、むしろ著作権に触れる可能性は高いでしょう。ゲーム画面は「映画の著作物」として保護されていますので、それをニコ生で配信することは「公衆送信」に当たります。 したがって、無断で行ってはいけないというのが法の原則です。しかし、現実には“暗黙の了承”というかゲームメーカーから事実上“放置”されて行われているケースが少なくありません。中には任天堂のように、推奨しているメーカーもあります。 有名な人物や、ある程度知名度がある方にやってもらったほうが売り上げが上がるわけですからね。時代はインフルエンサーが広告塔となってくれた方が助かるんですよ。 以前は、著作権そのものが目的化してしまい、実害があるかないかとは関係なく、「無断で使われると不愉快だから止めさせよう」という発想も目立ちましたが、最近では、著作権は“ツール”であって、目的はそれによって収益が上がることという考え方が徐々に浸透してきました。 無断使用だから無差別に差し止めようというのは、少し感覚として古くなってきてはいます。例えば『アナと雪の女王』の主題歌を歌う動画がたくさんアップロードされましたが、ディズニーはむしろ知名度アップのために活用していましたよね。 あえて違うジャンルの人やコンテンツで発信されることで、多くの幅広いターゲット層まで作品が届くのです。 また、著作権に対する考え方の変化によって、コミケなどでの二次創作も花開いています。 このような状況の中にあって、SNKプレイモアは何が実害だと思って、刑事告訴に踏み切ったのかということに疑問を持つ関係者もいるようです。スクウェア・エニックスがほかのメーカーからは許諾を取っていたことが不愉快だったのか、何か特殊な裏事情があったのかは存じ上げません。 あるいはSNKは、マンガを読んで登場する過去のゲームに興味を持ったり、関連商品を買ってみようと思う人がいたりするメリットを歓迎して、寛容な態度を取る選択肢もあったかもしれませんね。 本作で、90年代ゲーセンの熱気と不器用な若者たちの触れ合いとを融合させた、押切氏の手腕は見事です。早期の解決を祈ります。 […]
売り上げ伸びずエロゲー業界の“これから” 廉価版も未来なし?

人気作品ともなれば、アニメ・ライトノベルといったメディアミックス展開やコンシューマー化も行われたりと、多くの人気コンテンツを世に送り出している18禁ゲーム(以下、エロゲー)。 しかし、「エロゲー業界が不況である」とはもう何年も言われ続けている。ダウンロード販売やソーシャルゲーム化など、多様化が進みつつも回復する兆しの見えないエロゲー業界の現状を追った。 まず、今年3月に発行されたコンピューターソフトウェア倫理機構(ソフ倫)の会員向け機関紙『ソフ倫ニュース』3月号には、平成26年度の販売予測本数予測表が掲載された。 これによれば、加盟45社の来年3月までの年度内販売タイトル数の予測は936タイトル。前年度の実績965タイトルを下回り、前年度比97%となる見込みだ。 販売本数の予測は290万1900本。こちらは前年度の実績285万5100本をわずかに上回り、前年度比100.2%となる。つまり、タイトル数は減るものの、売り上げではほぼ横ばいになると見込まれている。 けれども、今後懸念しなくてはいけない問題は、横ばいから上昇へと転じる要素は特にない。あるのは、縮小が始まりそうな状況だけなのだ。 近年、エロゲーはパッケージ版とダウンロード版の同時発売、“実用性”に特化した廉価版なども多くなっている。 しかし、“安く・手軽”になったからといっても、その市場が旧来のフルプライス作品に取って代わるには至っていない。ある業界関係者は語る。 「(業界全体として)廉価版タイトルは売れなくなってきています。ですので、廉価版で薄利多売をするよりも、多くの開発会社は単価が高いフルプライス作品を少量売るほうに流れていっていますね」(18禁ゲーム業界関係者) エロゲーを扱う流通会社も同様の考えのようで、廉価版の取り扱い規模は縮小の一途を辿っているという。 「まともに廉価版を扱ってくれる流通会社は、TIS(旧ホビボックス)くらいです」(前同) また、18禁ゲームの開発会社が“新たな鉱脈”と考えたソーシャルエロゲーも、やはり状況は厳しい。 2013年に鳴り物入りでリリースされた『グリザイアの安息』は、今年7月をもってサービスを終了。終了理由は明らかにされていないが、「予想ほどユーザーが確保できなかった」というのが業界のもっぱらの噂だ。 この「グリザイア」シリーズは、秋からテレビアニメ『グリザイアの果実』が放送予定となっている人気コンテンツ。それでもユーザーを確保できないほど、ソーシャルエロゲー業界は厳しいようだ。 しかしながら、そんな困難な状況にありながらも、決してエロゲー自体がつまらなくなったわけではない。 必死にユーザーが「買ってよかった」と思うゲームを開発する人々には頭が下がる思いだ。18禁ならではの自由度を生かして、これからももっとユーザーの度肝を抜く作品が生まれてくれることを期待してやまない。
「海賊版がファンを増やしている」海賊版撲滅に対する海外の反応!

2014年は、経済産業省が漫画やアニメの海賊版を撲滅していくことを決定した(参考記事)。 今までインターネット上で海賊版のコンテンツを見てきた人たちは、大きな衝撃だったのではないだろうか。 海賊版は利用者にとってはありがたい存在なのかも知れない。なんといったって、ただでネットさえあれば買わずにコピーされたコンテンツを視聴できるのだから。 しかし、提供者にとっては失うものが多い。経済産業省の調査(平成25年度)では、漫画やアニメの海賊版被害は米国だけで約2兆円に上るとされている。このような被害額を知ると、提供者の立場に同情し、海賊版の撲滅は当然だと思うだろう。 一方、海の向こうでは「海賊版撲滅はむしろ漫画やアニメの売上を落とすことになる」といった議論が盛り上がっている。つまり、海外では「無料で見れてしまう海賊版は損」という考え方は大きな間違いで、「海賊版こそがむしろ売上アップに貢献している」という考え方が多いのだ。 どういうことなのか、今回はその一部をご紹介しよう。 まず、英語圏の公式ニュースサイト『ジャパンタイムズ』の「日本の経済産業省が海賊版撲滅を始めた」という記事のコメント欄で、「海賊版が著作権侵害であることはわかるが、世界中には正当な方法で見ることができない人々がたくさんいる。 それを日本の政府は考えてほしい。海外で無料で漫画やアニメが見れなくなるのは、将来的には大きな損失となるはずだ」という意見が盛り上がっている。 実際これに対して、「日本人は愚かだ」「考え方が理解できない」などといった賛同意見が世界中で集まっている。 ほかにも、英語圏のアニメコラムサイト『アニメアーセナル』で、デジタルアーティストのロベルト・ブレイク氏の「海賊版がファンを増やす」という意見が話題になっている。 ロベルト氏は、「日本のアニメ会社は、海賊版サイトと協力し合う方が市場にファンができて、売上が上がる。そもそも海賊版撲滅の本当の目的は、会社の利益を守ることだろう。それなら、海賊版を追いかけることにお金を使うより、ファンを幸せにしてお金を儲けることを優先した方がいい。 海賊版でアニメや漫画を見てくれる人が増えれば、その分だけ人気は上昇する。海賊版があるからといってDVDが売れないというわけではない。 むしろ海賊版サイトで作品を知り、ボーナストラックが見たい、カバーイラストを集めたい、コレクションしたい、などの理由でDVDを購入する者も少なくない。 海賊版サイトはアニメ会社よりアニメのファンをよく理解していると思うし、作品の新たなファンを増やすきっかけになるかもしれない。だから、海賊版サイトに素材を提供して、より商品を購入しやすくするのはどうだろうか」と主張している。 つまり、海賊版でアニメを知ってDVDやグッズを買っている人は多いので、その売上がなくなるとアニメ会社は困るはず、ということ。これは、それだけ日本のアニメが評価されているということでもあるので、少し考えさせられる意見ではないだろうか。 もちろん、だからと言って海賊版の存在を肯定してはいけない。 ただ、私たち日本人は「無料は提供者にとってメリットがない」と考えてしまうが、ロベルト氏の言うように、少し視点を変えて、無料でコンテンツを提供してお金を稼ぐ方法は模索してもいいのではないだろうか。 例えば、無料のコンテンツを出す代わりに提供者が広告収入を得られるようにする、無料で一部の素材を提供してその特典は有料にする、などはすぐにできるのではないだろうか。 実際、著作権フリーの素材を求める人は少なくない。ちょうど今、はてなブックマークで「著作権フリーのマンガ画像、アフィリエイト宣伝素材があればいいのにな」といった内容のエントリーに注目が集まっている。 個人ブログ『団劇スデメキルヤ伝外超』(参照)の「試し読みなどで、無料公開されているものが多いので、それらの中からは、画像転載して良い…とか」との意見に対し、はてなブックマークのコメント欄では「たしかに部分的にフリーで使えるとうれしい」「クリックじゃなくて購入報酬型のアフィリエイトと組み合わせられないかなあ」などといったものが見られる。 このまま海賊版が減れば、比例して世界のファンも減ってしまう可能性がある。しかし、ファンを増やす目的で素材を配布しようとする日本企業が出てくれば、状況は変わるのではないだろうか。