【ルポルタージュ】コスプレイヤー……それは、ただの現在に過ぎない自分。『アスペちゃん』そして、オフパコマンガ。赤木クロの目指す世界の画像1

 昨年の春頃から、赤木クロは「人気コスプレイヤー」の一人として、しばしばネットメディアに紹介されるようになった。「クール&セクシー」「色気あふれる」「美しすぎて神の領域」。そんな礼賛の言葉と共に、Twitterのフォロワーも増えた。イベントに参加した時だけではなく、新しい衣装の写真にコメントを添えてツイートするだけでニュースになることもある。リツイートや「いいね!」はやまない。Instagramでは、海外からも英語や顔文字。そして、知らない国の言葉のコメントが滝の流れのように絶え間なく増えていく。撮影会はもとより、企業イベントに招待されることも増えた。

 でも、彼女自身は、今の立場に安住するつもりはない。

 自分のセクシーなコスプレを紹介するための短いネットニュース。その写真に添えられた短い文章のまとめに、ごくまれに触れられること。赤木が自身の体験を綴るマンガ『アスペちゃん』。それは、人気を得たコスプレイヤーの余技ではない。赤木がコスプレと並んで、人生の貴重な時間と情熱とを割いているもの。でも、コスプレイヤーとしての人気とは裏腹に、まだその情熱に気づいている者は少ない。

『アスペちゃん』は、赤木自身の体験を基にした「アスペルガーあるあるな日常マンガ」だ。間が空くこともあるが、更新は週一回(註:現在は、より読みやすい構成にするためのリブートの準備中により更新を休止しているとのこと)。そこで、赤木は自身の体験してきたことをマンガにして工夫を凝らしながらも率直に綴っている。

 そこで描かれているのは、物心ついた時から、指摘されることが当たり前になっていた「ふつうにできないの?」という問いかけ。「動きが変」という指摘。人の言葉を真に受けてしまうことから起こるトラブル。予想外のことが起こるとパニックになってしまう特性。作品を読み進めれば、診断を受けているいないにかかわらず「発達障害」ではないかと自覚したり、指摘されたことのある人ならば「自分もそうだ」ということが、ひとつやふたつ、あるいはそれ以上見つかるはずだ。

 正直なところ、マンガを表現する技術は、決してこなれたものではない。それでも、Twitterやpixivが更新されるたびに、ふっとこのマンガに目が行ってしまうはずだ。

 それはなぜだろう。

 ひとつ考えられるのは、わかりやすさだ。ここでいうわかりやすさとは、学問的な背景や知識があって、説明が上手ということではない。語られる言葉が、常に読者と同じ目線上にある。あたかも、心を許した信頼できる友人と身の上を語り合っているような感覚がある。文章でもそうだが、描き手のほうが「自分はなんでも知っている」「自分ほど、強烈な体験をした者はいない」そんな自負心を持つと、読者はすぐに見透かす。「なんだ、この上から目線は」と。

『アスペちゃん』で描かれるのは、赤木のこれまでの体験談。今までの人生の中で、自分ではちゃんとやっているつもりなのに、怒られたり、奇異な目で見られたりしたエピソードは無数にある。人間は決して強い生き物ではない。ともすれば、そのような身の上に生まれしまった我が身を呪ったり、自分を理解してくれない世間に怨嗟を抱いたりするものだ。その結果として、過去の体験を話す時は、なにかごてごてとした飾りをつけたような言葉を並べがちだ。

 でも『アスペちゃん』には、それがない。

 ひとつひとつのエピソードには苦悩もあるはずなのに、赤木はフラットな気持ちで自身を描く。それこそが、独特の「わかりやすさ」の源になっている。そんな特異ともいえる「わかりやすさ」を補強するのは、背景に感じるなにかを伝えたいという赤木の秘めた情熱だ。

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