子供たちが自殺してしまう問題が後を絶たない。警視庁の発表によると、かつて35000人もいた日本全体の自殺者数は年々右肩下がりで減り、2016年には20000人に迫る勢いで減っている。しかし、その一方で小中高校生では減っていないという現実がある。

 同じく警視庁の発表によると、2016年に320人の小中高校生が自殺で亡くなっている。小学生が12人、中学生が93人、そして高校生が215人だ。小中高校生の自殺者数には波があるものの、だいたい300人前後を推移し続けて、減るということがない。

 自殺する原因に必ずあがるのが“いじめ”問題である。子供たちの自殺が報道されるたびに、大人が何をすべきなのか議論されるが、なかなか解決に至ることはない。“いじめ”問題はあまりにも根深い社会問題なのだ。

 さて、そんな“いじめ”問題を独特な設定で向き合ったマンガが存在する。各務浩章の『くにはちぶ』だ。

 以下、公式のあらすじだ。

 中学二年生、道端たんぽぽ。幸せな毎日が続くことを信じ切っていた…。しかし、突如日常は崩壊した。

 「無作為選出対象者無視法」…通称’くにはちぶ’と呼ばれる法律の対象者に選ばれ、日本中全国民から’無視’をされることになったたんぽぽ。友達からも、家族からさえも……。


 主人公・道端たんぽぽは平凡で普通の生活に幸せを感じる中学一年生だったが、ある日とつぜん「無作為選出対象者無視法」の対象者に選ばれてしまい、全国民から無視されてしまうという物語だ。

 「無作為選出対象者無視法」は首相自らが必要性を高らかに宣言した法律で、いじめ・自殺防止がその背景にあるらしい。無作為に選ばれた学生を1年間も無視することで、いじめ・自殺が防止できると現2巻までの描写では少しも思えないので、今後、作中においてその説得力が必要となってくるだろう。

 それはさておき、国が決めた理不尽な法律で、学生の運命が左右するという設定に見覚えはないだろうか。『くにはちぶ』の「無作為選出対象者無視法」は、社会問題にまで発展した高見広春の小説『バトル・ロワイアル』の「戦闘実験第六十八番プログラム」を髣髴とさせるのである。

 発表された当時、そのインモラル性が話題となり、劇場版化された際にはその内容について国会で取り上げられるなど、注目浴びた。『くにはちぶ』の設定は『バトル・ロワイアル』の影響を感じるものだ。分かりやすく言ってしまうと、殺し合いのないひとりサバイバルな『バトル・ロワイアル』である。

 無視をするという点が今作の独自性であり、非常にユニークであるといえよう。無視しなかった者は逮捕されてしまう。しかし、無視の範疇がかなり大きく、作中では無視というよりも存在そのものを抹消させられたと周囲が考えなければいけないのが、この物語の重要なポイントだ。少しでも被験者(道端たんぽぽ)と接触があったら、周囲の人間も容赦なく罰せられてしまうのである。クラスメートが、友人が、家族が、存在をなかったものとして周囲も生活を強要される。目の前にいるにも関わらず。当然、葛藤や苦悩が生まれ、そこに個々の考えた生き方が反映されて物語性が生まれてくるわけだ。

 現実的なことを考えてしまうと、「無作為選出対象者無視法」は実験的な側面が強い割には、被験者の周囲にしか実は影響がない。よって、規模が大きい社会的実験に見えるが、実は極めて規模が小さいように思えてしまう。設定のほころびをいくつか感じてしまう面はあるものの、エンターテイメントとして考えるとユニークであり、“いじめ”という身近すぎる問題がテーマがゆえに、フィクションの世界として成功している。ヒロイン・たんぽぽがどうこの法律と立ち向かい、どう解決していくのか。周囲はこの理不尽さにどう立ち向かっていくのか。行きつく先に感動はあるのか。3巻を楽しみに待ちたい。
(文=Leoneko)

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『くにはちぶ 』無視というバトルロワイアルを生き残ることはできるのか?新時代サバイバルサスペンスホラー!の画像2

くにはちぶ 1
掲載誌/レーベル:少年マガジンエッジ
筆者:各務浩章
出版社:講談社

バトルロイヤル

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2は正直アレだったけど、1はいいよね!

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