絶対に欲しくない駄能力で、誰も幸せになってない。『ヒメゴト~十九歳の制服~』で話題になった峰浪りょうが「週刊少年サンデー」にステージを移して描くラブコメ『初恋ゾンビ』は、少年誌ではあるものの、またまたディープな作品であります。

 物語の主人公・久留目タロウは「省エネ男」と揶揄される高校一年生。子どもの頃から山のように習い事をさせられていた彼は、何事にも熱中せずに手を抜くという冷め切った男なのです。クラスには、気は強いけど高身長かつ巨乳の幼なじみ・江火野芽衣がいるけど、学校の男たちが芽衣に目の色を変えるのに、まったく興味すら持ちません。なにせ「恋なんて無駄」と考えるほどまで冷め切っているからなのであります。

 そんなタロウの人生が一変するきっかけは、体育の授業中に芽衣が打ったソフトボールの打球が額に直撃したこと。保健室で目覚めたとき、彼が見たのは宙に浮くキャッキャウフフな女のコだったのです。

 ケガをきっかけにタロウに芽生えた能力は、あらゆる男子が持っている脳内彼女。それも初恋に限定した相手を理想化した思念体=初恋ゾンビが見えてしまうという能力だったのです。クラスメイトや女教師、女子アナなど各々の初恋の相手が理想的な姿で宙に浮いている姿が見えてしまう中で、タロウ自身の相手も見えています。それは、幼稚園の頃に出会った、初恋の相手・イヴ。

 この初恋ゾンビというのは、理想化された姿なので、もれなく可愛くエッチです。見えてしまうタロウの場合は、話しかけられたりもするから、落ち着く暇もありません。

 邪魔以外なんでもない初恋ゾンビを消す方法は、初恋を成就させることだとはわかりますが、イヴは遠い外国へ行き、今はどこでどうしているやらわかりません。

 でも、ここでまた事態は急変! そのイヴが転校生としてやってきたのです。でも、転校してきたのは指宿凛々澄という男子。「あの頃は女装させられていた」と説明され、タロウは愕然としてしまいます。なにせ、相手が男では初恋を成就させて初恋ゾンビを消す術がないではありませんか。

 でも、タロウはくじけません。無人の教室で凛々澄に「好きだ!」と告白をしてしまったのです。クラスのみんなに見られているとは気づかれないまま……。

 こうしてクラスメイトからは、ケガが原因でおかしくなったのではないかと腫れ物扱いされる始末。このまま初恋ゾンビ相手のドタバタな展開が続いていくのかと思いきや、一転物語はシリアスさを増します。

 ひとつは、人間が失恋したと感じると、初恋ゾンビは失恋ゾンビへと変貌し現実世界に干渉してくること。そして、凛々澄もずっと「見える」能力を持っていて、それをタロウにうつされたと恨んでいたというのです。

 どうも、かつての幼稚園時代の別れのときに何かがあったことを匂わせる伏線が張られます。それとともに、第1巻のクライマックスで描かれるのは凛々澄の胸の膨らみ!

 これはビックリ! 少年誌ということで、難解なテーマは扱わないかと思っていたのですが作者は『ヒメゴト~十九歳の制服~』に続いて複雑な性の問題を扱うつもりのようです。

 これは、この先の展開がまったく読めなくなってきました。フツーのラブコメであれば、いろいろとドタバタの後に「実は女だった!」とわかって結ばれ、めでたしめでたしでしょう。

 でも、最近は男装している理由が、身体は女だけどセクシュアリティは男のまま描かれる物語もたくさんあるわけじゃないですか。青年誌ですが乃木坂太郎の『幽麗塔』なんかが、その代表格だと思います。

 このままドタバタ展開が続くのか。あるいは、ラブコメを装いつつも、もっとシリアスな物語となるのか? 今はとても気になります。
(文=大居候)

峰浪りょう『初恋ゾンビ』ラブコメの皮をかぶった、複雑な性を扱う物語なのか──? のページです。おたぽるは、漫画マンガ&ラノベ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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