まさに、紙に印刷された“雑誌”が転換期を迎えていることを象徴する出来事だ。
『ヤマノススメ』など、テレビアニメ化された人気作を連載する月刊マンガ誌「月刊コミック アース・スター」(アース・スターエンターテイメント)が、11月12日に発売される12月号をもって、紙での発行を終え、デジタル版へ移行することを10月11日発売の11月号で発表した。
業界内では、紙からデジタルへというのが積極的に進みつつあります。時代がネット上を重視し、これからの流行りと常識に乗っていくという行動スタイルが、どの業界にも生き残るために求められていることの一つです。
アニメ二期が好評だった『ヤマノススメ』のほか、『てーきゅう』『ノブナガン』『東京自転車少女』のような人気作も連載されている「月刊コミック アース・スター」。にもかかわらず“休刊”となることには、読者から業界関係者まで驚きの声を隠せない。
「月刊コミック アース・スター」の後藤裕編集長に休刊の理由を直撃したところ、ありがちな“紙媒体だと売れないから休刊”ということではないという。
「デジタル版への移行は、環境の変化です。2011年の創刊当初は“紙じゃないと描かない”というマンガ家さんも多かったんです。ところが、マンガのデジタル配信やアプリが増加していく中で、“デジタルでも執筆してよい”というマンガ家さんが、多くを占めるようになりました。その中で、より多くの人に読んでもらいたいと考え、デジタル版のほうが広がりがあると考えたんです」(「月刊コミック アース・スター」後藤裕編集長)
そもそも、「月刊コミック アース・スター」発行元のアース・スター エンターテイメントは、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の子会社で、創刊当初からメディアミックスを前提とした展開を行ってきた。そう考えると、デジタル版への移行は原作を供給しつつ、より幅広い読者ターゲットに対する訴求力を高めることになると考えられる。
売れているからこその、紙媒体の“休刊”とデジタル版への移行。思い切った判断をした「月刊コミック アース・スター」だが、ともすれば後に続く雑誌も次々と出てくるのか?