人気イラストレーター・みさくらなんこつが原画を手掛け、2001年に「13cm」より発売された、『未来にキスを』がアニゲマにて配信開始となった。

 このところ、アニゲマでは難解なシナリオの古き良きエロゲーが頻繁に配信開始されているが、『未来にキスを』もまた、そうである。発売当時から、様々な考察が生まれ、人によってはこれは「神ゲー」と評し、人によっては駄作と評してきた。

 ある意味このゲームはパッケージ詐欺的な一面があり、表紙の絵と「お兄ちゃん、ボクのこと、奴隷にして?」のキャッチコピーを見る限り、ほのぼの王道学園もののエロゲーにしか思えない。しかし、ところがどっこい、途中からプレイヤーの斜め上をいく展開となる。

 まずは公式の紹介文から。

「お兄ちゃん、ボクのこと、奴隷にして?」


 同居している従妹――霞にそんな風に言われたものの、あくまで普通の学生である主人公には、「奴隷」なんていう言葉がピンと来ない。

 霞はやる気だけはまんまんだけれど、何をしたらいいのかやっぱり判っていない。ただ判るのは、「お兄ちゃん」のことが好きだ、というただそれだけ。

 それでも、ぎこちなく肉体関係は始まった。不慣れなふたりは、色んなことを、お互いがお互いのことを好きだということだけを手がかりにして、ふたりは自分たちだけの奴隷生活を築いていく…。

 「奴隷」という言葉が出てきたが、エロシーンはあるものの、決して凌辱ゲーでも抜きゲーでもない。

 先にプレイヤーの斜め上をいく展開と書いたが、きちんと最終ルートである「GENESIS編」までプレイを進めれば、全ての帰結を迎えることができる。しかし、その帰結を迎えるまでの個別ルートがかなりややこしく、こじらせたキャラたちが……というか、哲学的であり、複雑な思考を持ったキャラばかりが登場する。

 このエロゲーを言葉で表すならば、『エロゲーのプレイヤーという「新しいヒト」のあり方を示したゲーム』である。決して楽しみながらプレイするゲームではない。提示された問題をひも解きながら、ていねいに思考していくゲームだ。その先に迎えるエンディングをどう判断するか、我々を試す非常に前衛的なエロゲーなのだ。

 いまのエロゲーにはずいぶんと少なくなったシナリオライター主張が存分に盛り込まれた作品だということはまちがいない。そういった意味で、過去と現在の比較とエロゲーの変遷を知る上でも重要なタイトルでもある。

 人を好きになるとはどういうことか。家族とは何か。こうしたことを哲学的に捉え、咀嚼していくのが好きなユーザーにはぜひ挑戦してもらいたい。あなたにとってこのゲームは神ゲーとなるか、駄作となるか……。

※次のページにCGを掲載しています。

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