意図せず描かれた狂気は作者の精神的不安定さの投影か? 鉢本『あっ…ニュルって入った…』の画像1
『あっ…ニュルって入った…』(メディアックス)

 鉢本『あっ…ニュルって入った…』(メディアックス)は、作者の初めての単行本。

 タイトルも奇妙なのですが、作品よりもまず作者がオカシイ系の一冊である。何がオカシイかといえば、後書きで記される謝辞。

 初めて正社員として就職したトイレットペーパー工場を1週間で辞め、漫画家を自称して2年余り……。

 いったい、作者の人生はどうしてそうなったのか。そして、これからどうなってしまうのか。いろいろと考えさせられてしまう一文である。書き文字がどことなく不安げなので、心配になってしまう。

 苦労の末に、今回ようやく初単行本に到達した鉢本氏。その魅力は、多くの作品を知るエロマンガ読者らによれば、一風変わったヒロインのキャラクター性だという。しかし、その魅力を感じるようになるのは、一苦労だ。

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 まず、冒頭の収録作「素敵な思い出」。冒頭に持ってくるということは、それなりの自信作ということだろう。でも、何がどうなっているのかわからない。物語はスーパーでバイトする金髪娘と、なぜか徹頭徹尾ビデオカメラを回し続ける友人の男とのハメ撮りセックス。

 まず、2人の関係性がまったく語られない。これまでもセフレ的な関係だったことは、なんとなく理解できるのだけれども、なぜ男が職場までやってきてカメラを回していても、あまり気にしないのか。そもそも、金髪娘と大人しそうな男とが、どうしてそんな関係になっているのか。

 続く「先生ごめんなさい」も謎多き作品。物語は、眼鏡の女教師が靴の臭いを嗅ぐという変態行為に及んだ生徒を説教しているところから始まる。その説教が、3ページ目から、突如「先生、ムラムラしちゃったじゃないの」と切り替わるのである。何度か読み返して見えてきたのは、常に黒ストッキングで真面目そうな顔をした女教師が、実はやたらと経験豊富。生徒を相手に上から目線でのセックスに及ぶ様を、描かれていない背景の部分を想像して楽しめということ……らしい。いや、それくらい深読みしないと、単に都合よくセックスが描かれているだけの意味不明な作品になってしまうではないか。

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 こうして見えてきたのは、鉢本氏の作品は、一風変わっているなんてものでは表現できない、何かが狂っているヒロインを楽しむ作品ということだ。そして、描かれていない部分をいろいろと深読みして楽しむこともできる。

 それに気づいたのは、中程に収録されている「2人はエッチ部」。この作品、いきなりヒロイン・大山さんが話したこともない男子・正太郎君に告白。その理由は「セックスしたいだけなんです!」。

 やっぱり、なんで、そうなったかは描かれることなどない。この正太郎君は冷静な男子で「そういうのはよくないと思います」というけど、大山さんは止まらない。「部活動ならいいでしょう」と、その場でエッチ部の結成を宣言。制服のまま2人でラブホに入るのである。

 さらに、この物語。大山さんと正太郎君が、やたらと身長差(大山さんがデカい)がある設定。なぜ、突然、そんな設定が投入されたのかもよくわからない。でも、これだけはわかる。作者が大きい女のコを描きたかったんだ。再放送で『The・かぼちゃワイン』でも観たんだろう……ということが。

 こんな感じに、各短編ともに、すべてにおいてヒロインはマジキチすれすれのライン。

 ヒロインが冒頭から「死にたい」といいだしメンヘラ宣言した挙げ句に、クンニを強要してくる「すっきりしようぜ!」という、際だった作品も収録されていたりする。

 何か作者の不安定な心情が、そのまま投影された結果ともいえる奇妙な作品群。あまりに物語を読み解こうとしたら、まったく興奮することができなくなってしまった。
(文=ピーラー・ホラ)

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