■29万票の金利生活から新たな投資へ


 では、都議選を前にした署名の数に、山田は何を考えたのか。参院選に続き、再びオタクの移ろいやすさに直面し、不安な気持ちに苛まれたのだろうか。

 山田は、署名の数字に動揺するのではなく、もはや29万票の金利が終わったことを直感し、すぐに新たな経営戦略を模索していたのだ。

 都議選も終盤にさしかかった6月29日の木曜日の夜。坂井から電話がかかってきた。

「土曜日なんですけどね。自民党が秋葉原で選対本部長の古屋圭司衆議院議員に、ビッグサイト会場問題や表現の自由について演説するんですよ」

「へえ……」

「山田が手はずを整えてね。取材に来てくれませんか?」

「いや、私、土曜日は甲府の友人に会いに行くんですよ」

「え、都議選が佳境なのに?」

「私、都議選には興味ないのです」

 すると電話の向こうでガサゴソと音がして、坂井がいった。

「あ、ちょっと山田にかわりますので」

 すぐに電話の向こうから、自信たっぷりで機嫌よさそうなしっかりとした声がした。

「ああ、山田です」

 この人は根っからの実業家なのだな。私は心の中で呟いた。

 山田はひとりでしゃべり続けた。それは、自慢でもなく企業のトップが、自社の優れた事業を売り込んでいるいるかのような、ウイットのある語り口であった。その言葉には、一点も迷いがなかった。また一つ勝ちを拾ったことで自信に満ちているように聞こえた。

「私がね。古屋さんに演説してもらう内容のメモをつくってるんです」

 山田の声には、多くのメディアが取り上げるようになった、東京オリンピック時の東京ビッグサイトの会場問題。さらには「MANGA議連」の会長であり、与党の重鎮である古屋に「マンガ・アニメの表現の自由」の言質を取る機会に恵まれた高揚感があった。

 土曜日。甲府で久しぶりに出会った友人と、食事を共にしていると坂井から、その演説の動画が送られてきた。帰り道の客もまばらな、夜の特急あずさの車内で動画を再生した。スマホで撮影したらしくグラグラと揺れ続ける画像の中で、古屋はゲーム・アニメ・マンガをこよなく愛するオタクに向けて、二つの約束を叫んでいた。オリンピックに向けて、国が新しいナショナルMANGAセンターを設立すること。そして、東京ビッグサイトの会場問題を必要最低限にすること。「表現の自由」という言葉は、最後まで一度も出なかった。

 しばらく頭を抱え、すぐにどっかりと椅子に座って次の戦略を考え始める山田の姿が浮かんだ。
(文=昼間たかし)

【人物ルポルタージュ】29万票の金利~山田太郎と「表現の自由」の行方のページです。おたぽるは、マンガ&ラノベ出版業界事情山田太郎政治表現の自由の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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