女優の素のかわいらしさを引き出すのが天才的にうまい! 今泉力哉監督の新境地『退屈な日々にさようならを』の画像1
松本まりかをはじめ、女優陣の美しさが目に焼き付く注目の映画『退屈な日々にさようならを』。

 SFアニメ『蒼穹のファフナー』や人気ゲーム『FINAL FANTASY X』などで声優としても活躍する女優・松本まりかがメインキャストを演じている実写映画『退屈な日々にさようならを』は注目の作品だ。本作を撮ったのは『こっぴどい猫』(12年)、『サッドティー』(13年)、『知らない、ふたり』(16年)など恋愛をテーマにしたユーモラスな群像劇を生み出している才人・今泉力哉監督。本作もまた今泉監督ならではの、人を好きになることのおかしみと切なさが巧みにブレンドされたオリジナル作品となっている。

『退屈な日々にさようならを』は、売れない映画監督・梶原(矢作優)のダメダメな日常生活から始まる。梶原は監督業では食べていけず、同棲中の彼女・佐知子(村田唯)との関係も怪しい雲行きに。自主映画仲間の上映会に顔を出しては一方的にダメ出しして、みんなから嫌われまくる始末。悪酔いしてサイテーの一夜を過ごす梶原だが、その夜に知り合った男の紹介で、新人女性タレント(カネコアヤノ)のミュージックビデオを撮ることになる。だが、せっかくの仕事も、売れない監督ならではの妙なこだわりを発揮して、暗礁に乗り上げてしまう。

 一方、とある田舎。亡くなった父親の後を継いで造園業を営んでいた太郎(内堀太郎)だが、景気の悪さから店を畳むことに。実家でまったりとした日々を過ごしていると、太郎の双子の弟・次郎の彼女だという青葉(松本まりか)から連絡があり、「彼が姿を消した」と知らせてきた。次郎は18歳のときに実家を出てから音信不通状態だったので、次郎が東京で生きていたことを知って、太郎たち一家は青葉の知らせに逆に安堵する。まったく関係ないと思われた梶原のミュージックビデオの撮影と田舎で暮らす太郎たちの生活が、青葉を接点にして思いがけない方向へと転がっていく。

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映画監督の梶原(矢作優)が悪酔いから目を覚ますと、そこは若い女性だらけの謎のコミュニティーだった。

 今泉監督は女優をかわいらしく、美しく撮り上げ、さらに他の監督たちがまだ見出していない隠れた素顔を引き出すことに天才的な才能を発揮する演出家だ。本作でも、今泉作品に初参加となった松本まりかの魅力をぐいぐいとスクリーン上に押し広げてみせる。東京でインディペンデント系の映画を撮っていた次郎(内堀太郎2役)は、地道に女優活動をしている青葉と一緒に暮らしていた。恋する2人の回想シーンがあまりにも素晴しい。ただ2人がアパートで朝食を摂るだけの場面なのだが、わがままな青葉が食パンの耳を残して、パンの柔らかい部分だけを食べている様子を次郎は愛おしそうに見つめ、次郎は自分の食パンの耳を外して、彼女に渡す。テーブルには2枚の食パンと一人分の牛乳があるだけのシンプルな設定ながら、恋愛期にある恋人たちの心の満たされ加減を200%表現してみせている。ちなみにこのシーンの2人のやりとりは、撮影現場でのアドリブだったらしい。

 男と女の感情の機微をこれまで笑いを交えて描いてきた今泉監督だが、今回は人間の生き死にについて言及した、これまでになく陰影のあるドラマとなっている。実は今泉監督は福島県出身。6年前に大災害を経験した故郷の人々の喪失感に、そっと寄り添う作品に本作を仕立てている。試写会場のロビーに佇んでいた今泉監督はこう語った。

「特に震災を意識して撮った作品というわけではありませんが、僕が生まれ育った福島を舞台にした映画はずっと撮りたいなと考えていたんです。2015年に僕は初めての舞台『アジェについて』を上演したんですが、そのときの内容が人間の生き死にと記憶についてのものだったので、そのテーマをより掘り下げた形で映画化したのが『退屈な日々にさようならを』なんです。映画に出てくる太郎の家は僕の実家で、近所の公園は僕が子どもの頃に遊んでいた思い出の場所です(笑)」(今泉監督)

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青葉(松本まりか)は次郎がいなくなったことを次郎の兄・太郎(内堀太郎)に伝えに現われる。

 物語の後半、太郎の家を青葉が訪問する。弟の恋人が思いがけず美人だったので、あわてふためく太郎。弟が行方不明だというのに、「彼の生まれた街を見てみたかった」という青葉のために、あれこれと地元の名所を案内しようと張り切る。太郎一家に歓迎され、青葉も笑顔をこぼす。ところが、行方不明中であるはずの次郎はすでに他界しており、青葉は太郎たちに嘘を吐いていたことが明るみになる。

「死んだことを知らなければ、知らない人の中では生きていることになるのではないか。死んだことを知らない人たちが暮らしている街に行けば、もしかしたら生きているあの人に逢えるんじゃないかと思った」と青葉はおかしな理屈で弁解する。次郎の死をなかったことにしようとする青葉の行為は、世間の常識から大きく逸脱したものだし、青葉が吐いた嘘は太郎たち家族をぬか喜びさせ、彼らの感情を弄んだことになる。でも、嘘を吐いている青葉自身が大切なパートナーを失ったことに対する心の整理がまだできていない状態であり、太郎たち家族と一緒に次郎の不在を哀しみ、そして生前の次郎の思い出をお互いに共有しあうことで彼の死を少しずつ受け入れていこうとする。

 映画というメディアは、どうしようもなく過去を映し出していくものだ。どんなに輝いている人を撮っても、カメラに記録した瞬間からどんどん過去のものとなっていく。映画を愛するということは、過ぎ去った記憶を愛するということでもある。恋愛感情は時間の経過と共に次第に冷めていくことは否めないが、でもその人を愛したという記憶は一生心に残る。すでに失われた愛も、これから始まるかもしれない恋も、すべてを等価値として温かく包み込む包容力が、今泉監督作品には備わっている。
(文=長野辰次)

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『退屈な日々にさようならを』
監督・脚本/今泉力哉
主題歌/カネコアヤノ「退屈な日々にさようならを」
出演/内堀太郎、矢作優、村田唯、清田智彦、秋葉美希、猫目はち、りりか、安田茉央、小池まり、疋田健人、川島彩香、水森千晴、カネコアヤノ、松本まりか
配給/ENBUゼミナール 2月25日(土)より新宿K's cinemaほか全国公開
(c)ENBUゼミナール
http://tai-sayo.com

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