アイドルの処方箋 第4回

——地下アイドル“海”を潜行する、姫乃たまがつづる……アイドル界を取り巻くココロのお話。

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 給食の時間、窓から身を乗り出して、男の子が外へ飛び降りようとしていた。彼の脚に抱きつくようにして、必死に教室のほうへ引き戻そうとする栄養士の女性。クリーム色のカーテンが風に膨らんでいた。

 その光景を見て大声で笑う男の子たち。
 
 顔を見合わせてくすくす笑う女の子たち。
 
 担任の先生はどうしていたんだっけ。

 彼は栄養士の女性をふりほどきながら、「○○さんと、お母さん以外の女はみんな死んでしまえ!」と叫んだ。

 あれは何がきっかけだったのだろう。「女はみんな死んでしまえ」ってことは、あの時、男の子ではなくて、女の子たちが彼に何かしたのかもしれない。あの時、「○○さん」と名指しされたのは、ほかでもない私だった。でも私はついこの間まで、この出来事をすっかり忘れていた。

 私は今でもそうだけど、とても鈍い小学生だった。だからあの時、驚きも、悲しみも、笑いも、何の感情も追いつかなくて、彼を助けに走ったり、何かを言い返したりすることもできず、給食を目の前にぽかんとしていたのを覚えている。

 彼は日常的に女の子から「キモい」と言われ、男の子たちからはからかいの対象にされていた。時々、激昂して言い返すことがあって、その時の形相が凄まじいので、また笑ってからかわれて、「この子ならいじめてもいい」という雰囲気が教室全体に漂っていた

 彼はゲームが好きで、いつかの休み時間に、ノートに鉛筆で書いたすごろくをやらせてもらったことがある。すごろくは何ページにも渡って書かれていて、分岐がたくさんあった。行き止まりの道が多かったので、サイコロ代わりの鉛筆を何度も振って、最初のページまで戻っては、また新しい道を選び直した。結局、休み時間いっぱい使ってもゴールまでたどり着けなかったけど、あんなに長時間楽しそうにしている彼を見るのは初めてだったので、なぜか私が少し安心した

 席に戻ろうとすると、仲の良い女の子たちから小さい声で、「捕まっちゃって災難だったね」と声をかけられた。本当に気の毒そうな顔だった。

 私は鈍いのだろうと思う。本当はどこかで彼女たちの「キモい」という言葉も、本心ではないだろうと思い込んでいた。でもそうじゃなかった。余談だけれど、給食をまずいと言う子の感覚もよくわからなかったので、嫌悪感や味覚、運動神経、その他諸々、なんだかととにかく鈍いのだと思う。

 それより子ども特有の容赦ない悪意のほうが、私には耐えられなかった。人を馬鹿にする声を聞くと、自分とは関係なくても、恥ずかしさと肩身の狭さみたいなものがまぜこぜになって胸が圧迫されるようだった。

First Order

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名盤です!

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