8月11日から21日まで、池袋のシアターKASSAIにて上演されたアリスインプロジェクトの舞台『アリスインデッドリースクール パラドックス』。本稿では、初日に行われた公開ゲネプロの模様をレポートする。

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主演・墨尾優役の橋本瑠果(右)と百村信子役の武井紗聖。

 本作は、2010年のアリスインプロジェクト旗揚げ公演『アリスインデッドリースクール』の再演という位置づけだが、随所に新しい要素が盛り込まれている。演出の扇田賢氏(Bobjack theater)も脚本を見て「全然違う作品」になっていると驚いたように、新たな登場人物や、関係性の変化など進化した『デッドリースクール』が見どころになっている。

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主演・墨尾優役の橋本瑠果。

 そんな変更点がある一方で、変わらないものもある。掛け合いのクオリティである。主演・墨尾優役の橋本瑠果と百村信子役の武井紗聖。知る限りでは共演経験がないのだが、冒頭から漫才コンビとしての息が合っているように見えた。お笑いというものは、言葉を発するタイミングが少しずれただけで面白味が半減するものだが、テンポのいいボケとツッコミで、場の雰囲気を変えていく。ストーリーは、ゾンビに襲われ学校の屋上に避難してきた高校生たちが、どう立ち向かうか、危機的な状況が終始続くのだが、「笑い」を忘れない2人に陰鬱さを吹き飛ばす力があふれていた。

主演・墨尾優役の橋本瑠果については、文句なく安定した演技だった。橋本は「(漫才コンビの)ボケ役は初めて」と語っていたにも関わらず、百村信子とのやりとりが淀みなく続くのは、稽古の賜物なのか、橋本の才能なのか。恐らくはその両方なのだろう。

 旗上げ公演から何度も再演を繰り返しているのだから、そんな筈はないのだが、墨尾優という役柄は橋本瑠果のために、あて書きされたのではないかと思えるほど、しっくり来ている。出だしの発声からそう感じた。橋本本人も「始まるまでは緊張していたのですが、いざ始まってみると楽しくて」と調子の良さを感じていたようだ。初めてのボケ役についても「そんなに苦がなかった」と語っていた。

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百村信子役の武井紗聖(左)。

 記者発表会の際に、演出の扇田氏から「この舞台の中で一番難しい役が信子。彼女がどこまで成長してくれるかによって、この作品のクオリティが決まってくる」との言葉があったが、そのハードルを越えてくる演技を見せていたのが、武井紗聖。優と信子の「すざまじくパワーアップしている(扇田氏)」漫才シーンはもちろん、ラストシーンに近づいて見せる意識が朦朧とした信子の表現が見事だった。また、自然とにじみ出るように涙を見せるなど、感情表現のコントロールが上手かったように思う。先日の記者会見では、経験が少ないと自ら発言していたが、それを感じさせない演技だった。演出の扇田氏にプレッシャーをかけられていたのでは?という記者の質問には、「稽古場でもおうちでもいっぱい練習して期待に応えられるよう頑張りました」と、短い稽古期間を努力でカバーした様子がうかがえた。

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橙沼霧子役の岩田陽葵(中央)。

 橙沼霧子役の岩田陽葵は、今回も突き抜けた演技を見せていた。岩田本人のイメージは聡明で「静か」なイメージなのだが、彼女が演じる霧子は、舞台上をちょこまか動く。そしてゾンビに周囲を囲まれた状況を記録しようと場の空気を読まずにカメラを回し続ける。とても奇異に見えるのだが、霧子なりの恐怖への対応とも思えるその行動を丁寧に演じているように感じた。そして表情の変化が面白い。優たちの漫才に笑い、ビデオカメラ越しに見た情景に驚き恐怖する。そこだけ注目して観るのもアリなんじゃないかと思えるほどだった。霧子は、終始ビデオカメラを構えているので「体勢がつらくて、変なところが筋肉痛になりました」と、周囲を笑わせていた。岩田は、今秋公開予定の映画、『さざ波ラプソディー』にも出演する。舞台とは、また違った一面が見られるのではないかと期待している。

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七里壱香(ななさといちか)役の伊藤麻希(左)、岩田陽葵(中央)、氷鏡庵役の民本しょうこ(右)。

 七里壱香(ななさといちか)という役は、長い『デッドリースクール』の歴史の中で、今回から新たに登場した。それを伊藤麻希が演じるにあたって、どんな役柄なのだろうと想像してみたものの、まったく予想が出来ず。少なくともゾンビの頭をカチ割る武闘派女子ではなかったようでホッとした。それどころか、かなり難解な言葉が彼女の口からスッと出てくるのを見ると、素直に拍手を送りたい気持ちになった。実際セリフを理解するために、難しい単語の意味を一つ一つ調べたそうだが、読んでもわからなかったと、笑顔で話していた。少なくとも舞台上の伊藤麻希が、聡明なイメージを醸し出すことに成功していたのは事実。バラエティー番組での彼女とは一味違っていて、これから女優としての可能性を拡げていく一つのターニングポイントになったのではないだろうか。心配されていた鼻炎も本番に向けて、キッチリと治してくるあたりプロ意識を感じた。

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辻井水貴役の永吉明日香(右)。

「ツンデレ」な辻井水貴を演じたのは吉永明日香。憎まれ口をたたいて、本当に「嫌な奴」と観る側に思わせたということは、彼女の演技が確かなものであったからなのだろう。ただそれだけで終わらない、水貴の持つ可愛さや隙を見せられたのも素晴らしい。今回の舞台セットは「ビヨンド」より表に出ている部分が多く、「舞台袖が狭い」と語っていたが、袖でも緊張感を保って役に集中していたそうだ。ちなみに、水貴が読んでいた本のタイトルが「ビヨンド」とは変わっていたのだが、脚本の麻草氏はこの日海外に居て、その意図を聞くことが出来なかった。いずれどこかでお尋ねしたい。

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青池和磨役の持田千妃来。

 青池和磨役の持田千妃来は、昨年の『アリスインデッドリースクール ビヨンド』では、辻井水貴役を演じていた。今回は、ほぼ真逆なイメージの生徒会長役。『ビヨンド』に登場する生徒会長とは、また違う印象を受けた。どちらも責任感の強いリーダーとしての表情を見せるのだが、本作では、より柔和さを加味したイメージ。ルールを守り生徒を律する立場にありながら、優のお姉さん的な立場がよく表現されていて、流石の演技だった。最後まで自分の意志で道を決め、真っ直ぐに生き抜く彼女の凛々しさが、終演後も強く印象に残った。一方で、舞台のラストに可愛らしい衣装で登場するのだが、キャストから「似合う」と言われてうれしかったようだ。

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堂本千十合(どうもとちずえ)役の若松愛里。

 堂本千十合 役の若松愛里は、ゲネプロ終了後、多くの記者から声をかけられていた。ルックスの可愛らしさもさることながら、演技の確かさが感じられたのが、その理由ではないだろうか。憎たらしい言葉を吐く辻井水貴に対して、その内面の優しさをいち早く見抜き、仲良くなろうとする千十合。若松は、登場する役の中で、千十合が一番自分に近いと話していたが、実際頭が良く、記者との受け答えもしっかりしていているところを見ると、なるほどと思えた。所属するアイドルグループ「東京夢ぴよ組」のメンバーとしても、個人としても今後の活躍が楽しみだ。


 この「デッドリースクール」という作品の一つのテーマとして、人生の中での「相方の大切さ」があるように思う。現実としては、悲しくも、それが失われる時が必ずやってくる。その時、人はどうあるべきか、優たち登場人物に教わった気がする。また、命が奪われていく、あるいは徐々に「自分でなくなっていく」という難しい状況に陥った時、自分ならどう行動するのか、非常に考えさせられるストーリーだった。『デッドリースクール』は再演を重ねてますます面白さ、深さを増していく感じがした。さらなる再演はあるのかが気になるところ。また、本作はアニメ化も決定しているので、その展開も期待したい。
(写真:矢口卓/矢口明、文:矢口明)

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出演者集合写真。
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ゲスト出演、自衛隊士官・竹内珠子役の遠藤瑠香。

■アリスインプロジェクト2016年8月公演『アリスインデッドリースクール パラドックス』
【公演日程】2016年8月11日(木・祝)~ 21日(日)
【公式サイト】http://alicein.info/
【キャスト】橋本瑠果、武井紗聖、岩田陽葵、伊藤麻希、永吉明日香、雛形羽衣、持田千妃来、坂井古都、若松愛里、花梨、福井有彩、民本しょうこ ほか
【スタッフ】
演出:扇田 賢(LinkIconBobjack theater)
脚本:麻草 郁
音楽監督:神津 裕之
企画:鈴木 正博
プロデューサー:美濃部 慶
制作統括:青柳 一夫
制作:アリスインプロジェクト
製作:舞台「アリスインデッドリースクールPARADOX」実行委員会
協力:オフィスAdaD・ MAGMA・STUDIOKz

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