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『ねむれ思い子 空のしとねに』公式サイトより。

 この夏、かつて個人制作アニメ『ほしのこえ』(02)で注目を集めた新海誠監督のメジャー進出作『君の名は。』が全国公開されるが、彼だけでなく、個人制作アニメーション作家が増えてきている。特にデジタル技術の発展などもあって、作業は確実にスムーズにはなってきているのだろう。

 個人制作アニメーションの場合、商業主義におもねることなく、あくまでも己の主義主張にこだわりつつ、じっくりと時間をかけて着手できるメリットがある反面、いわゆる自主映画と同様、一体誰に向けて作ったのか首を傾げてしまうような、独りよがりの作品が目につくのも正直なところ。またアニメーションそのものが映像技術の一環である以上、その担い手が所有するツールの適性や性能の優劣などによっても完成度が異なってしまうわけだが、いずれにしてもYouTubeなど発表の場にも恵まれた現在ゆえに、逆に劇場公開までこぎつけるものを手掛けるのは(作品の出来云々だけでなく、配給や興行の交渉事なども含めて)意外に至難の業かもしれない。

 そんな中、インディペンデントのアニメーション作家として活動を続ける栗栖直也監督が企画2年・制作5年と、計7年の歳月をかけて完成させた50分の3DCG中編アニメーション『ねむれ思い子 空のしとねに』が、かつて『ほしのこえ』を上映して大きな話題を集めた下北沢トリウッドにて、6日から上映される。

一貫して未来のあるクリエーターたちに門戸を開放し続ける劇場スタッフの姿勢には敬意を表するばかりではあるが、それにしても『君の名は。』と同じ月に、本作が公開されるというのも何かの奇縁か? そう思えるほどに、これは極めて自主映画ならではのみずみずしさと、きちんと観客のことを考えながら制作されたエンタテインメントとして大いに認めるべき快作なのであった。

『ねむれ思い子 空のしとねに』のストーリーは……出生してまもなく両親を事故で亡くした19歳の織音(福島央俐音)は、事件を起こし警察に追われる中、とある“組織”の人間・蒼島ユリ(声/田中敦子)から逃亡を手助けしてもらう代わりに、無人の宇宙ステーションに連れていかれる。そこで織音を待っていたのは、なと19年前の事故当時のまま、20歳の姿を保つ母・里美(声/井上喜久子)だった!? 

 本作の魅力は『スター・ウォーズ』(77)以前のSF映画に顕著だった、技術そのものよりも設定や作品世界そのもののマインドを大事にした、いわば“血の通った”映画として心地よくもダイナミックに機能しているところであり、もちろんインディペンデント作品としての作画技術の限界も幾分感じないでもないが、それ以上に作り手の作品に懸ける想いの強さと、決して独りよがりにならずに観客に提示し得たエンタテインメント足り得ていることに感動してしまう。

 映画マニア的な視点で申すと、全体のトーンが『惑星ソラリス』や『サイレントランニング』などの70年代宇宙船SF映画と、それらと相反する『遊星からの物体X』など80年代グロテスク・ホラー映画の要素が違和感なく同居していることで、もちろんそれらは換骨奪胎された本作独自のイメージとして見事に昇華されており、栗栖監督の豊かな映画愛とその発露にも感心させられてしまう。

 栗栖監督は平安時代を舞台に恋愛をテーマにしたオリジナルアニメ『文使』や、結婚をテーマにした『Turquoise Blue Honeymoon』を経て(YouTubeで鑑賞できます)、これまでの自身の集大成として、親子をテーマにした本作を手掛けたとのことだが、やはりあくまでも人間の内面に目を向けた姿勢が好感の持てるところで、単に絵柄が華やかな昨今の深夜アニメを見慣れた目には、なおさら新鮮に映えるものがあり、多少の画のぎこちなさも人間そのもののぎこちなさとして捉えられるほどである。

 ヴォイス・キャストにプロ声優を頑張って起用していることも覚悟のほどがうかがえるとともに、奇をてらうことなく「このキャラクターならこの人だよね」といった地に足の着いたキャスティングがなされているのもいい。特に20歳のお母さん役に“永遠の17歳”(オイオイ)井上喜久子ときたからには、これ以上の安心感もないだろう。

 ちなみにこのお母さん、後半戦に入ると妙に市原悦子のような顔(『太陽の王子ホルスの大冒険』ヒルダへのオマージュ? は考えすぎか)に見えて仕方なかったのだが、それは意図的なものか、単にこちらの錯覚か?

 実に濃密ながら、およそ50分の上映時間を過ごした後、どことなくシンプルな心地よさに包まれる本作は、既にアメリカやカナダ、ドイツなど世界6カ国で上映され、喝采を浴びている。それは完璧なる完成度云々ということではなく、次はもっと面白いものを作ってくれるであろうという、作り手に対する未来の期待感を大いに煽らせてくれるからこその評価だろうし、自分自身そういった作品がもっとも好みである。

 現在のインディペンデント・アニメーションのクオリティや、今後のジャンルとしての可能性なども含めて、さまざまな事象を確認させてくれる本作は、ちょっと毛色の変わったものを見てみたいと思うアニメ・ファン、あまりアニメに興味はないけどたまには見てもいいかと思う映画ファン、またちょっと先物買いしておきたい向きなどにもオススメの作品である。鑑賞後、忌憚のない感想をぜひ監督に送っていただきたい。
(文・増當竜也)

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