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『いつか、キミが隣で目覚めたら(1)』(KADOKAWA/メディアファクトリー)

 最初からバッドエンドが予想されているゆえに、切なさが募る。

 葵季むつみ『いつか、キミが隣で目覚めたら』(KADOKAWA/メディアファクトリー)は、そんな悲しさを漂わせる青春の物語である。

 主人公・逢沢大地は、7年前……小学4年生のときに出会った少女のことをずっと愛し続けていた。春から夏への短い季節だけを共にした少女。その少女のことを、大地はずっと忘れてはいなかった。しかし、成長する中で再会は叶わぬ想いであると悟った大地は「今は単なる黒髪ロング好き」とうそぶいていた。

 しかし、運命の女神は突然に微笑んだ。新学期から少し遅れてやってきた転校生。それこそが、ずっと忘れ得なかった少女・星明めいだったのである。しかも、彼女は押しも押されぬアイドルグループの一員となっていたのだ。

 だが、それは感動の再会ではなかった。かつて、共に幼い恋心を抱いたのを忘れたかのように、めいは冷たく振る舞う。もはや、淡い恋は美化された昔の記憶に過ぎなかったのか?

 それも違う。めいを迎えに来た女子マネジャーに、突然付き人を依頼された大地。事態を飲み込めないままに出向いた撮影現場で、最初は硬い表情をしていためいは、大地の励ましで突如、今までになかった笑顔をみせるのであった。

 こうして始まる2人の新しい関係。アイドルとして輝くめいに、大地は次第に魅了されていく。しかし、めいは大地にどこか冷たい態度をとり続けるのだ。

 その理由は徐々に明らかになっていく。時折、高熱を発したり倒れたりする、めい。そこから垣間見えてくるのは、今の彼女が命という炎を燃やして尽きようとしている現実であった……。

 いかがだろう、めいがアイドルを志した理由。それは、限られた時間しか残されていないからこそ、せめてみんなの記憶の中に残りたいという願望なのだ。しかし、青春まっただ中の大地は、同い年の少女の命が残り少ないものだとは気づいてもいない。そのことは、めいが大地に時に冷たく振る舞い、時に頼りにする理由ともなるのである。

 現在発売されている単行本第1巻は、いまだに序章というべき部分。この先、2人がいくら距離を近づけようともがいても、それは叶わぬ夢となっていくことだろう。

 刹那の燃えるような人生と恋とが、どのようなドラマを描いていくことになるのか。名作となることを予感させる作品である。
(文=是枝了以)

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