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『疾風の勇人』(講談社)

 参院選もいまいち争点に欠ける今日この頃。近年は、多くの市民が政治に興味を持ち行動するようになったというような言葉を、知識人はまことしやかに用いるけれども、ガヤガヤと集まる人々にまったく魅力は感じません。

 だって、国会前に集まる人々の主張が通ったところで、終わりなき日常が終わるわけではないんだから。つまり、ダイナミックさに欠けているというわけです。

 善かれ悪しかれ、70年代くらいまでは反体制運動が大いに盛り上がりました。その理由は、ダイナミックな「敵」がいたからです。

 さまざまな政治権力の争いは、すっげえ強力な敵がいるほど盛り上がります。最近は、イスラム国(IS)が好例。アメリカなど諸国が攻撃をやめて対話に移ったら、途端に社民化して内部崩壊するのは必至です。

 前置きが長くなりましたが、かつて戦後の日本で政治の季節が盛り上がったのは、ひとえに国家権力の側がダイナミックだったことはいうまでもありません。

 大和田秀樹『疾風の勇人』(講談社)は、そんなダイナミックなヤツらばかりが登場する注目の作品です。

 物語の主人公は、かつての総理大臣・池田勇人その人。「貧乏人は麦を食え」の名言(※実際にはそんな発言はしていません)でも知られる人物ですが、所得倍増計画を立案させた人物でもあります。参院選ではアベノミクスへの評価がひとつの争点となっているようですが、所得倍増計画はアベノミクスを遙かに凌ぐ政策です。なにせ、1960年からはじまったこの政策は、10年間で所得を倍にするというものだったのです。

 誇大妄想のような政策ですが、10年後に当初の予測を超える成果を達成。この一生懸命働けば豊かになれた経験が「昭和はよかった」という漠然とした思考を生み出しているというわけです。

 そんなでっかい人物を描く本作。これまでの大和田作品の持ち味だった、よい意味での大味さと無責任なまでの壮大さが、史実とうまくリンクしているのです。

 この作品の冒頭で、池田勇人は吉田茂の派閥である吉田学校のメンバーとなります。ここで明快になるのが吉田茂の目的。それは、占領下の日本を植民地のように扱い、本国では実施できない政策の実験場としているGHQ=アメリカからの独立回復です。すなわち、池田や吉田、さらに白洲次郎や佐藤栄作たち仲間が、強大な悪であるアメリカに立ち向かっていくという物語なのです。

 複雑な戦後史の政治勢力をシンプルに描くことで善悪をはっきりさせ、娯楽作に仕上げている。いやいや、この敵味方のわかりやすさは『機動戦士ガンダムさん』によって培われたスキルなんじゃないかと思います。

 第1巻では、ひとまずの勝利を収めた池田たちですが、早くもさらに強大な敵としてスターリンと毛沢東の登場も予測されております。

 いやいや、いったい日本はどうなってしまうのか……? 誰もが知っている史実でも、最近は「ネタバレひどい」といわれてしまうので、やめておきましょう。

 あらゆる政治勢力が凡庸に見える現在、ある種のカタルシスを得られる作品です。
(文=昼間たかし)

疾風の勇人(1) (モーニング KC)

疾風の勇人(1) (モーニング KC)

「今の日本」をつくった男

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