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『永遠とは違う一日』(新潮社)より。

 歴史ある文学賞「山本周五郎賞」の候補作に、モデルでタレントの押切もえが執筆した小説『永遠とは違う一日』(新潮社)がノミネートされ、話題となってから1カ月弱。いよいよ受賞作発表が来週16日(月)に迫り、動画サービス「niconico」の「ニコニコ生放送」にて、「第29回三島由紀夫賞・山本周五郎賞」(新潮文芸振興会主催)の選考会が独占生中継されることも決まった。

 最近あまり見ないな、話題になったといえば千葉ロッテマリーンズのエース・涌井秀章投手との交際報道ぐらい……などと思っていたら、いつの間にか小説家として活躍しだしていた押切。元々読書家として有名だったという彼女は、2009年に『モデル失格〜幸せになるためのアティチュード〜』(小学館)というエッセイを出版。執筆作業が肌にあっていたのか、11年にも『LOVE my LIFE オトナ女子のための自分磨きレッスン』(扶桑社)を出版、さらに13年には初めての小説、『浅き夢見し』(小学館)を書き上げるまでに至った。

『浅き夢見し』は、主人公の売れない25歳のモデルが、モデル業界のアレコレに苦しみながらも、売れっ子モデルを目指し、頑張っていくというストーリー。著者の知名度があるだけに、そこそこのヒットとなったようなのだが、ネット上の書評などを探ってみると「浅い」「キャラもお話も薄っぺらい」「中高生にはいいかも」と、反応は必ずしも芳しくない。現役モデルならではと期待された、業界裏話にも特に目新しいエピソードもなく、「読書が好きで、ちょっとした文章を書ける女性」という範疇から外れるものではなかったようだ。

 さて、今回候補作としてノミネートされた『永遠とは違う一日』の出来はどうなのか。本作は「小説新潮」(新潮社)にて連載された6本の短編から成っている。主人公がモデル事務所のマネージャーだったり、スタイリストだったり、押切にとって身近な存在を主人公に据えた作品もあるが、絵描きや助産婦といった主人公もいる。設定年齢も20代から40代バツイチまで幅広い。かなりちゃんと取材したんだろうな、という努力が窺える感じ。

 サクサクと読みやすいし、「いろんな女性の(本当に人それぞれで、でもどこか共通している)悩みを思ううちに、書きながら泣いたこともあります。ひょっとすると私はこの本を完成できたことで、女性として、文章の書き手として、ほんの少しだけ成長させてもらえたのかもしれません」といった押切のコメントや、新潮社公式サイトにある「恋に仕事に、ふと立ち止まりそうになるあなたの背中をやわらかく押す連作短篇集」どおり、読後感もいい。正直、「山本周五郎賞」を受賞するほどかどうかは分からないが、小説2作目としては上出来ではないだろうか。

永遠とは違う一日

永遠とは違う一日

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