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『紅色魔術探偵団』(山田章博/幻冬舎)

 山田章博の『紅色魔術探偵団』が新装復刊されるとは!

 山田章博の仕事といえば『十二国記』など小説の挿絵で知る人も多いが、彼のメインはマンガ家である。その初期作品は長いこと絶版になっており、目に触れる機会が少なかった。一昨年前あたりから幻冬舎が『百花庭園の悲劇』や『人魚變生』を復刊していたので、今か今かと待っていたら、ようやくやってきた。

 この『紅色魔術探偵団』。これまで1989年に学研から、1999年に日本エディターズから、単行本になっているけれど、それぞれ表紙イラストの違いが時代を感じさせる。とりわけ、学研版は「ああ、80年代はこういうのが、オシャレだったんだなあ」と、マンガにおける「かっこいい表現」の変化を見せつけられる。

 もともと、この作品が連載されていたのは、今は亡き東京三世社が外部委託で制作していた『空想科学大冒険活劇競作大全集』。今では、忘れ去られてしまっているけれども、80年代の東京三世社はエロ本と共にニューウェーブ系マンガの版元であった。早い話が、まだオタクとサブカルが分化していない時代。ちょっと尖ったマンガを次々と出版していたのである。

 いまだ、当時を知る人々の間に「こんなのあったなあ」と懐かしく語られはするものの、それが日本のマンガにどういう影響を及ぼしたのかも判然とはしない。そもそも、当時の話はインターネット上では、ほとんど見つけることもできない。最後はエロ本版元として幕を閉じた東京三世社が、水木しげる、高橋葉介の単行本を出していた時代があったことは、どこかに記録しておかねばならないと思っている。

 さて、そうしたジャンルも未分化だが勢いのあった時代に山田が描いた『紅色魔術探偵団』。ノイエ・ジャポネという大正時代風味のノスタルジーと租界があった時代の魔都・上海の妖しさとデカダンスを併せ持つ世界を舞台に描かれる冒険譚だ。

 物語の中心になるのは、妖しげな錬金術師のドクター・フーと、その助手でチャイナドレスの美少女・梨華。そして、彼らの契約してしまった小悪魔の3人である。第1話で事件を解決した3人は、探偵社を開業。そこに持ち込まれるのは、当然妖しげな事件ばかりなのである。悪魔の力を手に入れた奇術師と戦うかと思えば、一転、タコ型の宇宙人による地球侵略も解決する。

 最初の掲載は1987年。すでに29年も前の作品だというのに、まったく古びた感じをさせないのは、なぜだろうか。むしろ、現在にあっても独特の絵柄は未来をいっている雰囲気を漂わせているのだ。

 さまざまな大衆文化が爛熟期へと向かってひた走っていた80年代。現在では忘却されてしまった、未来を感じさせるマンガは、もっとたくさんあったようにも思う。そうした作品が歴史の中に埋もれていくのは、もったいないと改めて感じさせてくれる作品だ。
(文=昼間たかし)

やっぱり80年代はすごかった! 山田章博の『紅色魔術探偵団』が新装復刊のページです。おたぽるは、マンガ&ラノベ作品レビュー山田章博紅色魔術探偵団の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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