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『わたしのご主人様は人間じゃない気がする』
(高崎ゆうき/KADOKAWA)

 ゆるい作風が特徴的な、高崎ゆうきの新作四コマ『わたしのご主人様は人間じゃない気がする』(KADOKAWA)が発売になりました。

 ヒロイン・メイちゃんが放課後にやっているバイトは、お屋敷のメイドさん。でも、ただのメイドじゃありません。なにしろ、女性だと思われるのですが禍々しいツノはあるし、口は耳まで裂けているし、闇そのものの瞳は3つもあるのです。ええ、どう見ても人間じゃありません。というよりは悪魔です。

 どうみても恐怖そのもののご主人様のところで、メイちゃんがメイドをしている理由は、単純。「ご主人様のお世話をしたい」という素敵な願望があるにもかかわらず、メイちゃんは語尾がなにかと「~しやがれ」になるガサツすぎる性格。メイド喫茶を10軒もクビになって、たどり着いたのがお屋敷だったのです。

 で、作者の才能を感じさせるのはお屋敷のメイド募集の張り紙が描かれた一コマ。「当方生活能力皆無 種族・性別問わず メイドさんたすけて……」。この一コマで作品にぐいぐいと引き込まれてしまったではありませんか。さすが「まんがタイムきららフォワード」でのデビュー以来、着々と実績を積み重ねているだけあって、四コマどころか一コマででも笑わせようという強い意志を感じさせてくれます。

 さて、この作品のキーワードは「かわいい」です。まず、メイちゃんはとにかく可愛いです。言葉は乱暴なのに、ご主人様に褒められたり頭を撫でられたりすると、メチャクチャ喜びます。なんとも単純な可愛さでしょうか。かたやご主人様は悪魔なのに可愛いです。こちらは、とことんドジっ娘なのが可愛いです。なにしろ、電子レンジをコンロで温めようとするくらいのドジっぷりなのですから。どうも、あとがきを読むと作者が本当に可愛いと思って描いているのはご主人様のほうだそう。

 う~ん、人外の可愛さに目覚めているとは、作者はけっこうなマニアなのかもしれません。そう考えると余計に作品への親近感がわく作品。途中から、一日中ネトゲをやってるだけの使い魔なども登場して、ゆるいお屋敷の空気を、さらにゆるくしてくれます。

 作者のかわいくてゆるい世界で幸せを描こうという意志を強く感じるのは、ご主人様と駄菓子屋に出かける回。悪魔が行けばみんな恐怖すると心配するメイちゃんですが、子どもたちからは「怪人」として大人気に。もうね、なんというか心にこびりついている垢が、どんどん落ちて浄化してくれる作品ですよ。

 お互いに、心に欠けているものを補うかのような、お屋敷での物語。読んでいると自然に顔がニヤニヤしてしまいそうなので、読書は自宅でがオススメです。
(文=大居候)

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