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『映画 ハイ☆スピード!―Free! Starting Days―』公式サイトより。

 京都アニメーションが制作したTVアニメシリーズ『Free!』(13年)とその続編『Free!-Eternal Summer-』(14年)は、もともと同社が主催する「京都アニメーション大賞」第2回で奨励賞を受賞したおおじこうじの小説『ハイ☆スピード!』(KAエスマ文庫)を原案にしたものだった。

 小説ではスイミングクラブに通う小学生男子たちの友情と、彼らが大会優勝を目指して奮闘するさまが描かれているが、そんな少年たちを一気に高校生へと成長、進学させて(?)作られた作品が『Free!』シリーズであり、アニメーションで描かれる人間関係の原点を小説で知ることができるという点で、なかなか上手い商法だったとは思うが、それ以上にこのTV版、イケメン高校生男子総出演という乙女垂涎の作品群の中でも、特に上半身裸のさわやかなセックスアピールや、水泳という競技そのもののダイナミズム、何よりも水の美しい描出などなどが京アニならではの繊細な画で綴られた乙女系青春スポーツ・アニメーションTVドラマの秀作足り得ていた。

 では、彼らの中学時代はいったいどうだったのか? という着眼点で記された小説『ハイ☆スピード!2』を原作に製作された劇場用映画が、『映画 ハイ☆スピード!―Free! Starting Days―』である。

『Free!』シリーズのメイン・キャラクターの中から、この映画版で描かれるのは、ハルこと七瀬遥とその幼なじみマコこと橘真琴。

 ちなみにハルたちの後輩・葉月渚はまだ小学生なので出番は少なく、水泳部の同胞・竜ケ崎怜もまだ水泳に目覚めてないインテリ少年、小学校時代の仲間で高校時代はライバルとなる松岡凛はオーストラリア留学中で、むしろ凛の友人でもある山崎宗介がライバル・キャラとしては今回目立ってはいるか。

 代わって映画版で初登場するのが、椎名旭と桐嶋郁弥で、中学1年生になったハルとマコは、どことなく躊躇しながらも結局水泳部に入ることになり、そこで彼らと行動を共にすることになる。

 クールなハル、思いやりのあるマコ、ポジティヴな旭、そして水泳部部長の兄と何やら確執があるかのような繊細な面持ちの郁弥。

 考えも目的もバラバラな4人は、いつしかチームを組まされ、リレーの練習を強いられるが、なかなか上手くいくわけもなく……。

 ざっとこういったストーリー展開はスポーツ映画の王道でもあるが、『Free!』同様、いや、それ以上にあたかも実写と見まがうような見事なまでの水の描出がなされていることもあって、いわゆる熱血アニメのテイストに向かうことはなく、また賞賛に値する丁寧な作画も功を奏したみずみずしい作品に仕上がっている。

 しかし、正直驚かされるのが、この少年たち個々の描出であり、要は……このなまめかしさは一体何なのだ?

 簡単にいうと、彼ら中学1年生たちが、少女のように見えてしまう瞬間が多々あるのだ。

『Free!』ではイケメンたちをイケメンとして、魅力的に描いていたのは当たり前といえば当たり前なのだが、ここでの少年たちは何気ない仕草や素振りなどが、まるで京アニを代表する『けいおん!』(09~10年)や『たまこまーけっと』(13年)などの少女たちと同じように映え、倒錯しているわけではないものの、どこか不可思議なのだ。

 これに似たテイストで思いだすのが、萩尾望都の『トーマの心臓』(小学館)を原案に、登場する4人の少年を少女に演じさせた金子修介監督の実写映画『1999年の夏休み』(88年)であり、このキャスティングによって少年が思春期のときのみに持ち得るピュアな想いが映像的に美化され、それはむしろ男性の共感を得るというユニークな結果にもつながったのだが、今回の『映画ハイ☆スピード!』も、いわば少女たちが少年を演じているかのような、しかし水泳シーンなどの裸はちゃんと男であるといった、やはり倒錯感と記したほうがいいのか、少なくとも男性の観客としては実にモヤモヤとした切ない想いを抱かせてしまうのである。

 もっとも、この想いに違和感がないのもまた本作の妙味であり、こういった少年たちのテイストが現実にあるか否かはともかくとして、かつて少年だった者としてはどことなく体験したことがあるような、そんな甘酸っぱい気持ちにさせられてしまうのだ。

 これは『Free!』の監督が女性の内海紘子で、『映画ハイ☆スピード!』の監督が男性の武本康弘であることとも無縁ではないのではないか。

 内海監督は女性の目線で、純粋に高校生男子たちの生態を徹底して女性の目線でピュアに美しく見据え続けたことで、イケメンのイケメンによるイケメンたちの魅力が描出できていたのだと思うが、武本監督は子どもから思春期に突入しようとする中学1年生の生態を、男性の目線で自然に見据えていった結果、意外にも乙女のように美しい少年像が確立されてしまった、そんな気がしてならないのだ。

 恋と友情の区別もつかない小さな子どもの頃、女の子のことはよくわからないものの、男の子は男の子に憧れることがままあり、そこから「好きだ」という感情に導かれていくこともあったような、そんな記憶がどこかおぼろげにある(そういえば『ケロロ軍曹』の原作者・吉崎観音は、そんな幼い日の記憶から、ケロロLOVE&嫉妬のタママのキャラを作り上げていったと聞く)。

 その伝で考えていくと、本作の少年たちのラブリーな佇まいは、決して絵空事ではなく、どこかリアルな、それでいて生々しくない、同性愛や異性愛といった垣根を超えた子ども愛とでもいった情緒を全体的に醸し出している。

 少年たちの繊細な美と可愛らしさが発散されている本作は、当然ながら乙女系女性層の支持を得るものと思われるが、それ以上に、実は男性層からひそかな支持を得られるのではないか。

 あまり声高に叫ぶことはできないだろうが、鑑賞中、ずっと心のどこかで懐かしくも甘酸っぱい想いが胸の内で渦巻いてしまい、上映後はあまり周囲と目を合わせず、そそくさと帰りたくなるような、そんな作品に仕上がっているような気がする(彼氏のいる女性はぜひともカップルでご覧になり、上映中は時折彼の表情などをチラ見してみてくださいませ。おひとりさま、もしくはグループ鑑賞の女性は、場内に少しはいるであろう男性客の動向をチェックしながら見るのもオツかもしれません!?
) 

 いずれにしても、何を描いても虚構にしかならないアニメーションは、それゆえにリアルなものを抽出させることも可能なのかもしれないと、本作のようなユニークな作品を見るたびに痛感することではある。
文/増當竜也

ハイ☆スピード! (KAエスマ文庫)

ハイ☆スピード! (KAエスマ文庫)

京アニ、まだ女性向け作品、作らないかな…

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