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『ガールズ&パンツァー』公式サイトより。

 興奮さめやらぬ、とはこのことか。『ガールズ&パンツァー劇場版』を鑑賞して1日経った今も、胸の震えが止まらない。

 傑作だの失敗作だの肩肘張った論考などする以前に、とにかく愉しくて愉しくて、見ている間ずっと幸せでならなかったのだ。

 美少女キャラに第2次世界大戦時の世界各国の戦車を組み合わせた、萌えバトル・シリーズ、通称『ガルパン』を今さら説明する必要もないだろうが、そもそも殺戮の道具であった剣に道を与えて“剣道”が生まれたのと同じように、戦場の兵器たる戦車に“道”を与えての戦車道、しかもそれは誰も死ぬことのない「茶道や華道などと並ぶ女性のたしなみ」などと、何ともぶっとんだ楽しい設定は、実はおふざけでも何でもなく、要は作り手たちの戦車愛を発散させるための手段に過ぎない。

 しかしながら、とかく社会をシニカルに見下すことしかできない一部の左翼めいた連中からは「右翼アニメ」と批判され、一方では自民党など右寄り政党のPRに利用されがちな一面も携えつつ、「それでも戦車を描きたい!」という作り手の執念ともいうべき覚悟のほどが、この劇場版からヒシヒシと感じられるのだ。

 正直、TVシリーズ(2012年)の段階からかなりの戦車愛とそれゆえの思い入れを感じてはいたのだが、やはりTVモニターと銀幕の大画面の差、そして爆音上映が絶対的にふさわしい大音響によって、『ガルパン』が実に映画的テイストの作品であったことを痛感させられる。

 何よりも、TVシリーズのときからずっと「この作品と同じテイストのものを、かつて見たことがあるようなのだが……」といったモヤモヤが、今回の劇場版ではっきり解決される。

 それはスティーヴン・スピルバーグ監督の戦争コメディ超大作『1941』(1979年)だ。

 太平洋戦争勃発直後、日本軍の来襲におびえてプチ・パニック状態に陥っているロサンゼルス市民と米軍と、ハリウッドを砲撃しようと目論む日本軍潜水艦との攻防戦を、当時70億円の巨費をかけて徹底的におふざけ感覚で描いたこの作品もまた、ハチャメチャな戦闘の果て、誰ひとり死ぬことはなく、そこから戦争そのものに対するアイロニーが浮き彫りになってしまう作品であった。(もっとも作り手たちにそういった意図などなかったはずで、ひたすらピュアなことを徹底的に敢行すると、なにがしかの化学反応が起きてしまうのが、映画の面白さであり恐ろしさでもある)

『ガルパン」もまた、あくまでも高校の部活動競技としての試合の数々から、戦争は映画やゲームの中だけでやるべきものとでもいった作り手の想いがひしひしと感じられる(まあ、実際に乗って大砲ぶっ放してみたいといった欲望はあることだろうが)。

 そもそも『ガルパン』は戦車というアイテムから、いかに戦争という忌まわしい要素を排除させるかに腐心してきているが、そのための美少女をはじめとする数々のKAWAII要素は、逆に戦争を意識させてしまう結果になってしまっているような気もしてならず、またそこがTVシリーズが誤解される一因にもなっていたように個人的には思っていたのだが、今回の劇場版は開き直りとでもいうか、ならば美少女を用いて誰も死なない、そして映画史上最大級の戦車戦を披露してやる! とでもいった意気込みが、画面の端々からほとばしっているのだ。

 劇中、少女たちはいかにも『1941』をパロったと思しき戦争映画を深夜TVで見ているが、ここに至って想像は確信に変わり、本作が目指す方向性が如実に理解できる。

 さて、本作は今どきのアニメーション映画には珍しい2時間という上映時間が設けられているが、開巻早々に銀幕ならではのド迫力エキシビション・マッチが延々30分ほど披露され、続く30分はTVシリーズで優勝したにも関わらず大洗女子学園の閉校が決定して落ち込む少女たちの日常が描かれる。

 閉校を阻止するために優勝を目指すというTVシリーズ後半部の盛り上がりを、いきなり無に帰してしまうかのような設定は、ついにNHKにまで進出してしまった『ラブライブ!』TVシリーズ第2期(14年)ラストで、3年生卒業と同時にアイドル・グループ解散を決定したにも関わらず(そういえば、こちらも閉校を阻止するためのグループ結成ではあった)、その後日譚たる劇場用映画『ラブライブ! The School Idol Movie』(15年)で再びグループ継続か解散かで悩むという設定を敷いたことに対してラブライバーの賛否が飛んだことを想起させるものもあるが、どちらも秀逸に終わらせたTVシリーズの続きを描くことの困難さを物語ってはいるようだ。

 とはいえ、この設定によって、かつてTVシリーズで戦ったライバルたちが一挙集結してオールスター・チームを結成するという、劇場版ならではの華々しい王道的な画の数々が具現化したのも確かで、かくして後半1時間は大学選抜チームとの一大殲滅試合へと突入するが、ここでのダイナミックという言葉すら空々しく思えるほどに圧倒的なバトル描写は、ブラッド・ピット主演の『フューリー』(14年)すら超える気迫がみなぎっており、とにもかくにも戦車が戦車として戦うことの魅力を、徹底的に指し示していく。

 やがて戦いの場は遊園地に移されるが、そこで如実に浮かび上がる『1941』魂は、当然ながら観覧車とともに炸裂するが(「ミフネ作戦」なる名称が出てきたときは、思わず吹いてしまった)、さらにはジェットコースターのレール上でのバトルは『ジェット・ローラー・コースター』(77年)を、迷路でのバトルは『シャイニング』(80年)あたりを彷彿させ、さらにはマカロニ・ウエスタン風音楽に乗せての西部劇セットなどを背景にしての見せ場など、およそ戦車で動けそうなところは映画的記憶とともにことごとく網羅している素晴らしさ!

 戦車群を延々俯瞰で捉えた空撮ショットは、『ヨーロッパの解放』(70年)あたりの旧ソ連戦争超大作に倣ったものだろうし、もちろん戦車映画の金字塔『バルジ大作戦』(66年)さながらのショットも、そしてご存じ名曲『パンツァー・リード』の調べも聞こえてくる。

 思えばTVシリーズのときから、音楽効果も含めて先達の映画に対するオマージュが濃厚だった『ガルパン』ではあるが、そこに溺れて逆に見る側を白けさせる作品も多い中、本作は映画的記憶の吐露が見事にドラマに機能し得ており、こういった冷静さを持ち合わせてこそ優れた演出がなされているのだと、水島努監督の力量に改めて敬服してしまう。

 かくして、まるで生き物のような重量感と軽やかさを併せ持ちながら疾走し、威勢よく大砲をぶっ放す戦車と、それを愛馬のように乗りこなす美少女たちとのコラボは感動と興奮の極致へ導かれながら、もはや右も左もあるものかといった心意気に満ちた、ただひたすらに戦車LOVEのクライマックスを迎える。

 ここでカミングアウトすると、私自身はすべての戦争は否定したい思想を抱きつつ、戦争映画というジャンルが好きで好きでたまらないという矛盾を常に抱えながら生きてきた輩ではあるが、ここ最近のきな臭いご時世のせいで、素直に戦争映画が好きと言えなくなり、心の身動きが取れない状況がずっと続いていたものの、この劇場版『ガルパン』を見ながら、わだかまっていたすべてのモヤモヤが払拭できたような気がしている。

 剣道や柔道などと同じく、争いのための道具があくまでも“道”として、そしてスポーツのごとき平和的闘いのツールとして機能していく理想の世界。

 軍歌も民謡も戦争映画音楽も等しく“音楽”として受け止められる理想の世界。

 今後『ガルパン』を左の批判からも右の誘惑からも守り続け、優れた“作品”として世に認知させることこそ、これからのファンの使命ではないか。

 少なくとも私自身はそうありたいと願うし、TVシリーズのラストでヒロイン西住みほ(この苗字からして、実はもう泣けて仕方がない)が自分なりの戦車“道”を見出したように、改めて戦争映画“道”を極めてみたいと思う次第である。
(文/増當竜也)

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