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『たまゆら~卒業写真~』公式サイトより

 2010年に全2巻(各2話収録)のOVAとして発表された佐藤順一監督・原案の『たまゆら』は、瀬戸内の小さな町・竹原を舞台に、写真が大好きな高校1年生の少女・沢渡楓とその仲間たちの友情を描いたオリジナル青春アニメである。
 その後『たまゆら~hitotose~』(11/高校1年生)、『たまゆら~もあぐれっしぶ~』(12/高校2年生)と2度にわたるテレビ・シリーズを経て、現在は高校3年生になった彼女らのエピソードを春夏秋冬の中編4部作として綴る完結編『たまゆら~卒業写真~』が順次イベント上映されている。

 既に今年4月『たまゆら~卒業写真~第1部 芽―きざし―』が発表され、ここでは主人公・楓が写真に関わる仕事をしたいという決意表明と、憧れの若手写真家りほとの別れが2部構成で描かれていた。

 そして最新第2弾『たまゆら~卒業写真~第2部 響―ひびき―』は夏を背景に、楓の親友であるのりえとかおるのエピソードが、2部構成で描かれている。

 まずはスイーツ作りが好きで将来はパティシエを目指そうと思っていたのりえが、帰省中の兄に茶々を入れられ、「スイーツ封印宣言」してしまったことで周囲がやきもきするお話。
 宣言後、元気をなくしたのりえのためにスイーツ食べ納め会を開く仲間たちの想いと行動が実に自然に描き出されており、さすがは長きにわたって培われてきた『たまゆら』独自の優しい世界観の下、友情にも何のブレもない。

 後半は、日ごろ誰かに頼まれたことしか頑張れないことに悩み、いまだに自分の進路を決めかねていたかおるが、お好み焼き屋のちもが結婚するということで、彼女から披露宴のアイデアを出してほしいと頼まれたことを機に、自分の望む道を見出していくお話。
 こちらはかおるのお騒がせ姉さん・さよみとのさりげないやりとりが実に感動的で、またちもさんといえば、彼女に片思い中の堂郷先生の存在があったわけだが、その顛末などは見てのお楽しみで、ここでもファンの期待は絶対に裏切らない。

 と、ここでふっと思ったのが、この『卒業写真』シリーズ、個人的には楓を中心に高校3年の春夏秋冬を綴っていくとばかり思っていたのだが、実質は群像劇として少女たち個々をきちんと描こうと努めており、その意味で続く第3弾『たまゆら~卒業写真~第3部 憧―あこがれ―』(11月28日より2週間限定上映予定)では、仲良し4人組の中でまだ描かれていない麻音にスポットが当たるものとも予測できる。

 また、ほぼ25分枠でひとつのエピソードを綴っていく構成は、初期OVA時代から変わることのない『たまゆら』として揺るぎのないところで、要はOVAであれ、テレビであれ、イベント上映であれ、メディアの別に振り回されることなく『たまゆら』そのものを描いていこうというスタッフのかたくなさをも改めて体感させられる。

 もっとも本音の本音のところで、この『卒業写真』シリーズでは1本50分ほどの尺をフルに生かした楓たちの青春群像劇を見てみたかったという想いも抑え切れない。
 なぜならば今回のシリーズ、構図やカッティングなども含めて、従来よりも映画的な絵の配慮がなされているとおぼしく、要は銀幕の大画面に映えさせるためのスタッフ・ワークが腐心されているのだ。
 こうなると、作品そのものの構成も映画的起承転結の大きな流れで見据えてみたくなるのも、また人情ではある。

 さらに今回の流れから考えていくと、第3部以降は年末恒例の「私たち展」から卒業へと、第2期テレビ・シリーズのラストと相似した展開になってしまうのではないかといった危惧も感じないではないのだが、一方で『たまゆら』としてそこは外せない点でもあり、ファンが絶対見たい部分でもあるだろうから、判断が難しいところである。

 そもそも『たまゆら』に限らず、総じて佐藤順一監督は映画だテレビだと過剰に身構えることなく、一貫して作品の資質そのものに適応した姿勢で、常に画面から心地よい風を吹かせながら見る者の心を癒やし、笑わせ、ときにエキサイトさせることに秀でた名匠であり、本来ならばアニメ界におけるエルンスト・ルヴィッチ的存在として大いにたたえていただきたいところなのだが、どうしても力こぶの入ったものが意欲作として目立つ風潮の中、まだまだ世の正当な評価を得ていないといったジレンマに陥りがちでもある。

 もっとも、おそらく当の本人はそんなことなどどこ吹く風で、自分が描きたいものを真摯に描ければそれでいいといった気持ちで作品と対峙し続けているのだろう。
 また、だからこそ佐藤作品の風は淀みなく心地よいのだ。
(とはいえ、いち映画ファンとしては、かつての伝説的名作『ユンカース・カム・ヒア』のような長編映画をまた撮ってほしいと願わずにはいられない)

 ここ最近の青春アニメの傾向として、『けいおん!』や『ラブライブ!』など同世代少女たちの連帯に着目し、異なる世代や、特に異性を極力排除したものが増えている気もするが、それはそれで今の時代を象徴するひとつのユニークな方法論として大いに潔く、有効であると思う。

 ただ、佐藤作品は常に様々な世代や異性を登場させては、少女たちの成長を支援していく。

 今回ものりえのスイーツ作りの原点が兄にあったことが示唆され、そこには好ましいブラザー・コンプレックスまで見え隠れする。
 そもそも主人公の楓自体、亡くなった父の面影を追い求め続ける一種のファザー・コンプレックスではあるのだろうが、佐藤演出はそういったコンプレックスを否定することなく、人として当然とでもいったかけがえのない感情として、温かく肯定していく。

 こういった佐藤作品の資質は、10年ほど前の『ARIA』シリーズ(05~)で既に確立されているとおぼしく、その最新作『ARIA The AVVENIRE』が9月26日からイベント上映されるのも嬉しい限りではあるが、このときはヒロイン灯里の親友・藍華には彼氏がいるといった設定もなされていた。『たまゆら』にはそれがない。

 しかし、違和感はない。

 また『ARIA』では灯里がポエムな台詞をつぶやくたびに藍華がすかさず「恥ずかしい台詞、禁止!」と突っ込みを入れるのもお楽しみではあったが、『たまゆら』はそういった台詞をも素直に受容している。

 一見ゆるふわなテイストが共通しながらも、実はSFファンタジーでもある『ARIA』と、巧みなリアル青春ものとして映える『たまゆら』の相違、その面白さまでも佐藤作品のファンとして、今年の秋は大いに堪能したいものである。
(文/増當竜也)

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BD・DVDは早くも10月7日より発売! ああ、楓たちとの高校生活が終わりに近づいていく…

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