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モーテ ―死を謳う楽園の子―』(著:縹けいか/KADOKAWA メディアファクトリー)

 年間三万人近くが自殺するという“自殺大国”の日本に生まれて二十数年。死にたいと思ったことはあるが、自殺しようとしたことはまだ一度もない。死にたかったときの私は、単に気に食わない世界を丸ごと消滅させたかったのだと思う。具体的なことなんか何も考えちゃいなかった。

 実際に私が死んだらどうなるだろう。親兄弟に友人知人、“私”の死が彼らの間で何を引き起こすのか。“現実的に”何が起こるのか? それを想像すると青くなる。数は少なくとも泣く奴はいるだろう。仕事の取引相手は困るだろう。まだ今生を終わらせるには早すぎる。死神に電話して、「申し訳ないけどキャンセルで」と頭をかくしかない。そうできるのは多分幸せなことだ。そして怖いことだ。私が死んだら泣いたり困ったりする人がいるというのは。極めて幸福な不自由さに、私は今日も生かされている。

 だが、私をこの世につなぎとめてくれている不自由さとは関係なく、“勝手に自殺してしまう病気”にかかってしまったら一体どうすればいいのか――『モーテ―死を謳う楽園の子―』(KADOKAWA メディアファクトリー)は、読み手にそんな想像をさせずにおかない作品である。

 本作は、前作『モーテ―水葬の少女―』に続き、“人を十代のうちに必ず自殺へと追い込む奇病”、「モーテ」をキーワードに紡がれた物語。「自殺」という難しいテーマを、絶妙なファンタジー設定を活かして真っ向から扱う意欲作だ。前作の一年後の物語で、前作の登場人物も多数登場するが、エピソードとしては独立しているため、本作から読んでも楽しめることを強調しておきたい。

 本作の主人公は、三年前に書いた小説で評価を受けたものの、二作目を書くことができず悶々としている大学生(ただしろくに授業には出ていない)ダンテ。ちょっとお人よしな、悪人にはなれない“いい奴”タイプ。そんな彼が、「小説のネタになるかもしれない」との一心で、モーテに罹患した子ども達が収容されるホテル・グラティアでのアルバイトを始めるところからこの物語は始まる。

 一筋縄ではいかない美人支部長シュエリーにこきつかわれつつ、いつかモーテによって自らの命を摘み取る運命の子どもたち――天真爛漫な少女アミヤ、物語を書くのが好きな世話好きの少女ジラなどと出会い、絆を深めていくダンテ。

 モーテに罹患した子どもは、誰がどんな風に彼らを愛そうと、守ろうと、あるいは拘束しようと、本人の意志に関係なく自殺を決行してしまう。一種の遺伝子病だとの見方が主流だが原因も治療法もわからない。ごく稀に「モーテの奇跡」と呼ばれる完治者が現れるが、何故そんなことが起きるのかは不明。私がそんな病気にかかったら――自分の死よりも、家族や友人の悲しみを恐れてやっぱりどこかに自分を隔離したいと望むかもしれない。

 やがて彼は、一人の少女の自殺を目の当たりにしてしまう。グラティアにいるのはモーテの子どもたちばかり、自殺など“普通”のこと……そう判断することも不可能ではなかったが、彼は何かがおかしいと感じ、その違和感を頼りに真相を追求し始める。

 “いつかは自殺したに決まっている”少女の、“自殺にしか見えない”死。その死の真相を突き止めることに果たして意味があるのか? 「いずれ死ぬ人間」なら、どんな風に死のうが、それは“悲劇”ですらないのでは? 読み進める中で我々も、作中の人物たちと同じように、そんな疑問とぶつからざるを得ない。

 それでも少女の死の真相を突き止めたい、もしも彼女が誰かの手にかかったのであればその人物を裁きたいと望むダンテに、とある人物が問いかける。

「誰が許しを与えて、誰に許されるべきなんだ? 社会や法を持ち出すのは、結局君がすっきりしたいからじゃないか?」

 そう、謎解きはいつだって生者のためにしか存在しない。推理小説を読む快楽は「すっきり」することにあるのだ。だがダンテはそこで引き下がることはしなかった。自殺であろうと他殺であろうと「人の死」には変わらず、周りの人々は自らの生の中でその死を解釈していくしかない。ダンテもそれを貫いた。そして少女の“自殺”の真実を知る中で、図らずも自分自身の過去とも向き合うこととなるのだった。

 一人の少女の痛ましい死は、絶望的な出来事でしかなかったのか。“普通”にとらわれていたらわからない救済の形もあるのではないか? 帯に書かれた「あなたは“世界で一番幸せな自殺”を知っていますか」という言葉の意味に気づくまで、ページを繰る手は止まらないだろう。

 ちなみに、前作を読んでいればもちろん面白さは倍増。前作『モーテ―水葬の少女―』は、本作の一年前に、やはりモーテの子どもを隔離していた施設で起きたとある事件を描いた物語だが、最初から最後までダンテの視線で進む本作と違って視点キャラが複数存在し、多角的に一つの事件の真相に迫れる構造となっている。その事件に関わった人物が本作には次々登場しており、ほっとさせてくれたり、逆に冷や汗かかせてくれたりする。ラストシーンの衝撃といい、まだまだ波乱は続きそうである。

 著者の縹けいかは、PCゲーム『ファタモルガーナの館』の制作で注目を浴びたクリエイターで、自らのシナリオをノベライズした小説版『ファタモルガーナの館』シリーズ(GA文庫)に続き、本作『モーテ』シリーズも好評を博している。『モーテ―水葬の少女―』は江口拓也、堀江由衣、悠木碧、三木眞一郎という豪華声優陣によって2015年4月にドラマCD化されており、本作のメディアミックス化も充分期待できる。個人的には舞台化にも向いた物語だと感じた。

 この数年、萌え系に比重を置いたラインナップを展開していたMF文庫Jの中で、極めてシリアスなストーリーと静謐な挿画を持つ『モーテ』シリーズは今ひときわ異彩を放っているように私には見える。文体は端正で、丁寧に組み上げられた会話も読んでいて心地よい。妙に装飾過多だったりテンションが高すぎたりといったコテコテの「ラノベ文体」が苦手な人にも薦められる注目のシリーズだ。
(文/小池みき)

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