~私は如何にして心配するのを止めてYUIMETALを愛するようになったか~ 第5章

――アイドルにまるで興味なかった。なのにどうして今、15才の女の子に励まされ、それを“恩返し”しようとしているのか。闇に光を照らしてくれたことに対して、ある人への伝達で返そうとしているのか。これは、31才男の“メタルレジスタンス”参戦の記録である。

BABYMETALの“メタルレジスタンス”を追う―響け、世界に。届け、能年玲奈さんへ。
(イラスト/竹内道宏)

■フィクションをノンフィクションに変える。

 ちょうど一年前の4月、「さくら学院 職員室」のTwitterにある一枚の写真がアップされた。YUIMETALがもう一つの顔=水野由結として活動するさくら学院が新年度を迎え、新しい季節に衣替えを始める木の下で、満面の笑みを浮かべる彼女の姿が公開された。

「あまちゃん……由結ちゃんの遅くやってきたブームはなかなか続いてます。」

 スタッフのツイートとともに掲載された写真。そこで水野由結は2013年NHKで放送された連続テレビ小説『あまちゃん』のグッズを手にしていた。その無邪気で屈託のない笑顔。少し時期遅れで好きなものを握りしめる姿に、私は勝手に希望を見出した。その写真はまるで闇に光が差し込むように、優しく手を差し伸べてくれた。

 その頃、私は仕事関係で上手くいかないことがあってひどく落ち込んでいた。気持ちは荒れに荒れ、自暴自棄に陥っていた。「好き」で始めた仕事とその想いに暗雲が立ち籠め、目の前が真っ暗闇に包まれた。毎日更新していたTwitterも一週間ほど何も書けず、自分の殻に閉じこもった。そして久しぶりにインターネットを開いた時に目に飛び込んできたのが、『あまちゃん』と水野由結との邂逅だった。

『あまちゃん』をリアルタイムで放送1回目から追いかけてきた身として、好きなものと好きなもの同士がめぐり逢う姿があまりに美しく、思わず「感涙 RT」とツイートしてその場で立ち上がった。こんなに年の離れた女の子が微笑んでいる世界で、一人くじけてどうするんだ。私はまだまだ頑張れる。いや、“顔笑れる”。彼女の好きなものへの「好き」の気持ちが絶望の淵から救い、好きなものを「好き」でいることの必然性を思い出した。

 何の意図もなく無自覚な笑顔にパワーを得る。酒も薬もその力には及ばない。痛みを麻痺させる。心を治癒する。もはや「チャクラ学院」だった。人によってはどうでもいいことなのかも知れないが、私にとってそのツイートが掲載された“4月22日”は忘れられない日になった。当時14才の女の子にこんなにも元気をもらうなんて。情けないかも知れないが、私にとって紛れもなく重要な出来事だった。

 その少女はやがて15才になった。今年1月、超満員のさいたまスーパーアリーナのステージに立っていた。BABYMETALが日本に帰ってきた。ワンマンライブ『LEGEND“2015”〜新春キツネ祭り〜』で“メタルレジスタンス”が新たな章へ突入する。2万人のオーディエンスを前に、海外での武者修行を終えた彼女たちがまた新たな伝説を更新していく。

「幼きメタルの魂は世界中を駆け巡り、国を越え、言葉の壁を越え、感動を与え、そして世界はひとつ“THE ONE”になったのである」

 ナレーションとともにSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALが上空から舞い降りてきた棺桶から登場し、それぞれが指を差す先にメインステージとセンターステージをつなぐ巨大な橋が降りてくる。

「一寸先は闇。未知なる挑戦に道はない。道がなければ作ればいい。さあ時は来た。いざ、進まん!」

 その橋が3人の行き先を照らすように、ライブは初っ端からクライマックス。1曲目の「メギツネ」から最高潮を維持し、最後の新曲「Road of Resistance」でBABYMETALの旗を振りかざす3人の表情が凛々しく輝いている。彼女たちの“今”が記されたその歌詞は、「進め道なき道でも」「今日が明日をつくるんだ」と一見陳腐な言葉に思えるかも知れない。だが、彼女たちは実際に道なき道を進み、過去に前例のない世界的成功を収めている。ありふれた言葉を、ありえない事象で切り開いた。そこには説得力しかない。以前は「んなわけねーだろwww」で片付けられた“メタルレジスタンス”というフィクションが、次々とノンフィクションで塗り替えられていく。360度視線を注がれるセンターステージが、彼女たちの方向性を無限大に示しているように見えた。

「君が信じるなら進め、答えはここにある」

 BABYMETALは夢や希望を歌わない。だが、その存在こそが夢であり希望だ。MCで一切しゃべらない代わりに行動で示す。すべてを背中で語る。だからこそ背負うものも大きいだろう。日本人アーティストがことごとく叶えられなかった夢を実現する。希望を与えてくれる。答えはここにあった。ひょっとして世界を変えるかも知れない。そんな予感が確信に変わり、事実として目の前に飛び込んでくれる日もそう遠くはないだろう。それは、あの時の水野由結が『あまちゃん』のグッズを手にした写真についても同じことが言える。何も意図せず、無自覚に人を救ってくれる。これこそが“アイドル”と呼べるのか。

『あまちゃん』は東北の女の子・天野アキが海女として活躍する動画がインターネットで全国に広まり、東京で売れっ子のアイドルとしてデビューする経緯を描いている。同じく、BABYMETALは日本のメタルダンスユニットの動画がインターネットで世界中に広まり、レディー・ガガのサポートアクトを務めるなどビッグアーティストたちを魅了し、世界各国の音楽シーンを賑わせた。

 天野アキ=能年玲奈と、YUIMETAL=水野由結。フィクションと、ノンフィクション。2人の女優が出会うべくして出会う日も、そう遠くないだろう。インターネットを経由し、人々を魅了する物語は現代の“アイドル”を示す象徴でもある。水野由結はさくら学院のブログ「学院日誌」で、ほとばしる熱い能年愛をぶつけていた。出演作が公開されると決まってさくら学院のメンバーと一緒に観に行き、グッズまで手に入れるという。インタビューでは「最近ハマっていること」に「あまちゃんからの能年玲奈ちゃん」と答え、「最近うれしかったことは?」という質問に「能年玲奈ちゃんに会えた夢をみた時」と語っている。

 能年玲奈さんは、この幼きメタルの魂を抱えた少女の存在を知っているのだろうか。彼女がYUIMETALとして、世界中を熱狂の渦に巻き込んでいることを。伝えたいし、届けたい。その一心で私は目の色を変えて、ある“作戦”に躍り出た。

■能年玲奈さんに届く。

恩返しがしたい。

 あの時、あの笑顔で救われた気持ちの行き先がまごついていた。YUIMETALから、水野由結から、いつもどれほど元気をもらっているのだろう。15才の少女に与えられてばかりなんて、さすがに礼儀がない。誠意が問われる。どうにかお礼がしたい。
それが「能年玲奈さんに伝える。」という行動に走らせた。

 いまだに七不思議の一つとして捉えているが、BABYMETALを知る以前からなぜか私のTwitterアカウントが能年玲奈さんからフォローされている。『あまちゃん』への出演に決まる前、まだ私なんかが機会をいただけた頃にインタビューの仕事で関わったことがきっかけなのかも知れないが、「どうして私みたいな気色の悪いアカウントを」と、謎がいまだに深まるばかりだが、当時能年さんは私が書いた記事の内容を気に入ってくれて、それについてブログにも記してくれた。

 それを恩返しに全部費やしてやる。能年さんのタイムラインに「BABYMETAL」、そして「YUIMETAL」、挙げ句の果てに「水野由結」というワードを浮かび上がらせてやるのだ。そんな野望を抱いて、昨年4月から私のBABYMETALに関するツイートは加速した。能年さんはブログとTwitterが連携していて、ブログの自動更新でツイートされる。だからタイムラインを見ている可能性が極めて低いが、道なき道は作ればいい。今日が明日を作るんだ。私の中の「Road of Resistance」が始まった。いわば自動更新への抵抗だった。

 私のTwitterに日々、BABYMETALのことが鬱陶しく書き綴られる。おかげでフォロワーは500人以上減った。無理もない。フォローしてくれる人たちは私が6年前から撮影を続けているバンド・神聖かまってちゃんのファンが半数を占める。匿名掲示板では「竹内、最近幼い女の子ことばっか書いてキモい」と書かれてしまった。

 やがてこの連載を始めることになった。「好きなことについて書いてください」と提案されて、真っ先に思いついたのが「YUIMETAL」だった。だが、ネット上でここの記事が取り上げられて「BABYMETALのファンはキモい」なんて書かれていた。ひどく悔しかった。何度も筆を折った。自分を責めた。恩返しのはずがまるで逆に向かっているじゃないか。私は悪影響なのだろうか。もうBABYMETALのことを書かないほうがいいのか。と、この連載の存在意義を問い、頭を抱え続けていた。しかし、好きなものを「好き」でいることの必然性を、あの一枚の写真が教えてくれた。こんなことで恩返しを止めてはいけない。

 昨年7月、そんな私に転機が訪れた。仕事関係で知り合った『あまちゃん』のスタッフに直接、BABYMETALのメンバーが能年さんのファンであることを伝えた。その際に「レディー・ガガが前座に呼んだBABYMETALの……」と大物アーティストの名前を都合よく利用して、私の必死でヤバい感じを紛らわした。もし今後会うことがあれば、と軽い気持ちで思っていながらも、能年さんにどうか知ってほしい。届いてほしい。その気持ちだけは強かった。

 それから半年の月日が流れた。BABYMETALは世界中を旅し、日本に帰ってきた。さくら学院は水野由結が卒業を迎えようとしていた。旅立ちの季節、3月。能年さんがレギュラーを務めるFMラジオ番組で“事件”は起きた。思わず耳を疑った。能年さんがついにBABYMETALの曲を紹介し、番組で流したのだ。そこで「ギミチョコ!!」をバックに、驚くべき発言を耳にした。

「水野由結さんが『あまちゃん』を観てくださったみたいで、『あまちゃん』のスタッフさんとお会いした時にそれを教えてもらって、すごいうれしくて……ありがとうございますっ」

 まさか、なんと。こんなことがあっていいものか。伝えるだけで十分だった。それがまさか、公の場で能年さんが「水野由結」という名を口にするなんて。ここで重要なのは、能年さんが自分で「調べた」ことだ。スタッフが本人に伝えてくれた時、YUIMETAL=水野由結の名は出さなかった。能年さんは直接、“能年愛”が綴られた「学院日誌」を読んだかも知れない。ただの伝聞じゃなくて、能年さんが興味を抱いたのか能動的にYUIMETALという名を飛び越え、水野由結という本名にたどり着いたことに心を震わせた。これはもう、あの時の「感涙 RT」なんかで済まされない。ラジオでその名を耳にした時、感涙が視界を遮り、胸の鼓動が高まった。

 さらに、その数日後のさくら学院の水野由結にとって最後のライブハウス公演。「最近あったご機嫌な出来事」の話題がメンバーそれぞれに振られて、本人の口から喜びの言葉が放たれた。

「大好きな能年玲奈ちゃんが、ラジオで、水野由結さんって言ってくれたんですよ〜!」

 その笑顔は、ちょうど1年前の無邪気で屈託のない笑顔と同じだった。好きなものを「好き」と言うことの必然性を示していた。実際に出会ってもいない2人が相思相愛になった。

 さらに能年さんは翌日、ラジオでシンディ・ローパーの「True Colors」を流した。この曲は水野由結がさくら学院の公開授業イベント「歌の考古学」でセレクトした曲。これは単なる偶然とは言い難い。能年さんの15才の少女への私信と受け止めるべきか、もしくは私の思い込みが激しいのか。その答えは、2人がやがて邂逅する時に明らかになるに違いない。

 フィクションがノンフィクションに変わる。この奇跡を『あまちゃん』、BABYMETAL、そして能年玲奈さんのラジオ番組で体験した。道がなければ作ればいい。今日が明日を作るんだ。これは水野由結、能年玲奈という2人が教えてくれたこと。ごくありふれた感情で、とてもありえない現象が起きるのだ。あの日、あの時、闇の中で光を差し伸べてくれた笑顔。季節が移り変わり、桜の花が芽を出した頃にまた新たな笑顔が目の前に浮かんだ。

 こんな奇跡が叶えられる世界で挫けている場合じゃない。水野由結が現実世界で与えた元気は、天野アキが『あまちゃん』の世界で与えた元気と同じなのだ。ちょっとでもその恩返しができただろうか。本人は知る由もないが、私にとっての1年越しの“メタルレジスタンス”の1章が幕を閉じた。そして、3月の終わり。YUIMETAL=水野由結の新たな展開を見届けるため、さくら学院の卒業式へと向かった。
(文/竹内道宏)

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竹内 道宏(a.k.a. たけうちんぐ)ライター/映像作家
様々な媒体で音楽系、映画系、体験系の執筆をしている。監督・脚本を務めた映画『世界の終わりのいずこねこ』がイタリアのウディネ・ファーイースト映画祭に正式出品が決定。今年度から京都造形芸術大学・映画学科の非常勤講師を務める。また、神聖かまってちゃん等の映像カメラマンとして約600本に及ぶライブ映像をYouTubeにアップロードする活動を行なっている。
2013年2月以来、BABYMETALに心を奪われてしまいました。命ある限り彼女たちの活動を追いかけます!
たけうちんぐダイアリー(ブログ)→http://takeuching.blogspot.jp
ツイッター→https://twitter.com/takeuching

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