• このエントリーをはてなブックマークに追加

■アニメと違う部分がことごとくよかった…ついに実現したハリウッド版『カイト/KITE』

1504_kiteint_2.jpg

 そんな『A KITE』は海外へと渡る――鮮血に彩られたバイオレンスシーンと、扇情的で艶めかしいエロティシズム。両極端の劇薬を内包した『A KITE』は、数多くの国で上映禁止、もしくは厳しい検閲を経た後で公開されたという。しかし、熱狂的なファンから“カルトクラシック”としての地位を得ていくことになる。それはハリウッドへも伝わり、クエンティン・タランティーノ、ロブ・コーエン、デイヴィッド・R・エリスが強く支持したという。

梅津「驚きですよね。まさかハリウッドから映画化したいというオファーが来るとは思っていなかった。(ハリウッドで実写映画化となったのは、『A KITE』が)アメリカで話題になり売れたから、というのも大きいと思う。

 ただ、例えば今後僕の想いを100%反映した作品を作ったとしても、それが決して『A KITE』のように(ヒットすると)はならないと思う。“作家の想いが反映されている”というのと“ヒットする”というのは、別問題ですからね。いろんな条件、要素があって、初めてヒットする。

 よく“原作もの”のほうが保険が利くから、出資する側も安全牌だと言うんだけれど、(日本では)ラノベやマンガを映像化しすぎて原作が飽和状態になってきていると聞きます。『原作者ともめるのが嫌で、オリジナルがいい』というクライアントもいます。だけど、オリジナルがヒットする確率はかなり少ない。製作委員会方式で紆余曲折すると、前述したように企画内容も変わったりするし、そんな作品がヒットした話はあまり聞きません。実際当たった作品にかかわった人から僕が話を聞いても、『何がヒット要因なのか俺たちにはわからん』って言う人もいます」

 しかし動き出したハリウッド版『カイト/KITE』は、制作に先立つ準備期間にディレクターもしくはプロデューサーとして映画監督のロブ・コーエンが参加して始動したが、中断。2011年には『セルラー』『デッドコースター』などで知られるデイヴィッド・R・エリスが映画監督として参加することとなったものの、13年1月7日、エリス監督は撮影準備中に急逝してしまった。

 そして『カイト/KITE』は、13年2月3日に『ギャングスターズ・パラダイス』『The Zookeeper』のラルフ・ジマン監督が引き継ぐと、主人公・サワ役に『アメリカン・ティーンエイジャー~エイミーの秘密~』『アンダーワールド 覚醒』のインディア・アイズリー、オブリ役に『アイ・アム・ナンバー4』『華麗なるギャツビー』のカラン・マッコーリフがキャスティングされた。梅津監督は自由に作ってほしいとして、『カイト/KITE』に対して具体的な要望などは出さなかったという。

梅津「企画の段階で当初から『A KITE』というタイトルは変えないでくれ』と強く言ってました。その都度シナリオが上がってきたんですけど、まったく別物になっていた時もありましたよ。でも最終的には、(『A KITE』を)リスペクトしていただいた。アクションシーンも実写で一部再現されていて、最初に試写で観たときはうれしかったですね」

1504_kiteint_3.jpg
Copyright c 2013 Videovision Entertainment, Ltd., Distant Horizon, Ltd. &Detalle Films All rights reserved

――金融危機により崩壊した近未来。少女たちは人身売買組織によって、性の奴隷として売りさばかれていた。幼くして組織に両親を殺された少女・サワは、刑事だった父親の相棒のアカイ刑事によって、暗殺者として育て上げられた。彼女は自分を不幸にした人身売買組織への復讐を果たすため、次々に組織のメンバーを暗殺していく。アカイは証拠隠滅でサワをかばい、謎の少年オブリはサワを監視し続ける。精神バランスを保つための薬“アンプ”の副作用で、削られていく自身の記憶におびえながらも、サワは組織のボス・エミールへ近づいていくが……。

 梅津監督の『A KITE』の性描写は、物語とリンクしている。砂羽が復讐を遂げるためには常に赤井の傍にいる必要があったからだ。一方で、実写版の『カイト/KITE』は18禁的要素を控えめに、新たに砂羽の物語を再構築している。

梅津「むしろアニメとそっくりそのまま一緒じゃなくてよかったと思っているんですよ。実写は実写の解釈でいい。作っている人間も違うのだから、彼らが再構成する生身の役者を使った映画であるべきだ。僕としては、アニメと違う部分がことごとくよかったです。

(ハリウッドでは)『A KITE』のアクションシーンを評価の対象に挙げてくれるんですけど、実写はアクションシーンにお金をかけて作っているわけではない。ということは、アクション以外の魅力も『A KITE』にはある。作品が醸し出す空気感やキャラの魅力、ピカレスク要素かな、と推察してます。

 それと、『A KITE』は本来Hシーンだけ切り離して編集しても、作品として成立しにくい。逆に、『MEZZO FORTE』は、それができるように意図的に作ってます。アニメ『A KITE』のHシーンは実は砂羽の生き方、生き残るために必要だったというキャラの覚悟を持たせている。実写版でアニメのような砂羽と赤井の関係をやろうとしても難しいと思う。それはラストシーンも含めてだけどね。たぶん向こうのスタッフもそこをどう変えていくかが、一番苦労した部分だと思います。実写は別の意味できちんとエロティックにできていると思う。砂羽役のインディア・アイズリーの魅力と共に生かされている。この子がオーディションで最終的に砂羽役に決まったと聞いたときは、正しいキャスティングだと思いました。南アフリカのロケーションも素晴らしかった。

 アニメと違うラストシーンも含めて、『カイト/KITE』は気に入ってます。彼ら(砂羽たち)にも何かしらの明るい未来があると暗示させてくれたのがすごくうれしかった」

 最後に、次回作の構想を伺うと、梅津監督はやはり映画へのこだわりを見せた。

梅津「原点回帰じゃないけど、今のテレビじゃやれないリスキーな作品をやりたいですね(笑)。僕はやっぱり映画がやりたいんですけど、映画でオリジナル作品を成立させるためのハードルはまだまだ高い。映画もやはり原作ものが多いですよね。あと予算もそんなに出ていないし、短期間で作った、映画と呼べないアニメ作品も多いじゃないですか。ちゃんと映画の香りを持った作品は少ないと思う。映画である必然を備えた劇場作品を、いつか必ず作りたいと思います」

(取材・文/加藤千高)

実写版映画『カイト/KITE』は4月11日土曜日より全国ロードショー。
http://kite.asmik-ace.co.jp/
「A KITE / カイト Special Edition ハリウッド実写映画公開記念版」Blu-rayは4月3日発売。「MEZZO FORTE / メゾフォルテ Special Edition ハリウッド実写映画『カイト/KITE』公開記念版」Blu-rayは4月24日発売。この機会に、エッジの効いた梅津泰臣監督作品を堪能しておくのはいかがだろうか?

■梅津泰臣(うめつ・やすおみ)
アニメーターとして活躍した後、98年に『A KITE』の原作・脚本・監督を務める。その後、『MEZZO FORTE』や『KITE LIBERATOR』『ガリレイドンナ』『ウィザード・バリスターズ~弁魔士セシル』を発表。また、アニメのオープニングやエンディングの演出を数多く手がけ、好評を博している。

--

人気記事ランキング

PICK UP ギャラリー
【ソフマップ】アイドルユニット「sherbet」星優姫“Tバックに目覚める”!?「内心ヒヤヒヤ……」new
【ソフマップ】アイドルグループ「放プリユース」堀井仁菜、念願のDVDをリリース!「慣れてない感じが……」
【ソフマップ】アイドルグループ「恥じらいレスキューJPN」ブラダ、セーラー服を脱いで!?「もうギリギリ……」
【ソフマップ】アイドルグループ「KissBee」太田和さくら“アレ”が丸出しに!?「いっぱい出てます……」

ギャラリー一覧

VR×エロ最高!!!!!
おそ松もまさか舞台化されるとは…!