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私立ブルジョワ学院女子高等部・外部生物語第1巻(秋田書店)

『私立ブルジョワ学院女子高等部・外部生物語』(秋田書店)は、一昨年に『高校球児ザワさん』(小学館)の連載を終え、「次はどんな作品を…」と期待していた、三島衛里子氏の新たな単行本である。

 まず何に驚くかといえば、前作から絵柄もガラリと変えたセミ・ドキュメンタリーのエッセイマンガということだ。表紙の、無駄なくらいサブカル的スタイリッシュさに惹かれてジャケ買いすると、中身とのギャップに驚くだろう。

 物語は、シブヤ系やコギャルが闊歩していた少し前の東京が舞台。物語の主人公・えり子は、東京多摩地域の零細飲食店の娘。そんな彼女は「田舎を出たい」と思い、“三代前から山手線の内側に住んでいる一族”と同窓になるべく一心不乱に勉学に励み、都心の一等地にある私立ブルジョワ学院女子高等部へと入学する。

 東京出身者、あるいは上京して東京に住んでいる者であれば、この独特の田舎コンプレックスは至極当然のものとして飲み込めるだろう。東京は、出身地あるいは住んでいるところをめぐって、プライドとコンプレックスとが入り乱れる土地である。“東京23区”という極めて狭い中でも、セレブ地帯とビンボー地帯が相争う関係だ。けれども、23区の人々が共通して見下す地域がある。それが三多摩だ。立川や八王子という大都市を有しながらも、23区から見て三多摩は恐るべき未開の地のイメージ。逆に三多摩の住民のほうも、自らを同じ東京都でありながら、どうしようもない田舎者であるという自己否定とコンプレックスの中に生きている。

 とはいえ、本作はそんなコンプレックスを軸にしたギャグにとどまらない。冒頭、ブルジョワ学院の制服を買うことになったえり子は、デパートと指定店での制服の値段の違い、さらに指定店での“仮縫い付き/仮縫いなし”の値段の差に驚く(仮縫い付きは完全オーダーメイドとなる)。さらに、“仮縫いなし”の存在を知らない学院の内部生たちに、自分との間に越えられない溝を感じる。

 それまで三多摩の田舎で暮らしてきたギャップは、そう簡単には埋まらない。同級生がバイオリンの練習でつけた首のアザをキスマークだと思い込む。帰国子女たちの英語の巧みさに、受験英語で培ったプライドが打ち砕かれる。渋谷での寄り道に憧れたり、コピックが全色揃っている漫研のブルジョワぶりに感激するも「学内の出世に関わる」としてバレー部に入部を決めたり……。

 こうした出来事から見えてくるのは、迷走しながらも、自分の日常を明るいものへと変貌させようという、えり子の努力を惜しまない姿である。ネットなりなんなり別のクラスターに逃避するのではない。私立ブルジョワ学院女子高等部での生活は、自らが選択し、3年間逃れられない日常であるという現実の中で懸命に生きていく。そして、部活動やクラス単位の演劇祭など、青春時代に欠かせないイベントと共に、彼女の日常は充実したものへと変貌していく。

 作品を通して見えてきたのは、「あの頃があったから、今がある」と作者自身が青春時代を昇華できているということ。青春時代は、その後の人生の中でさまざまな作用をもたらす。50歳を過ぎても青春時代が人生の頂点だったという意識が忘れられず、同じ仲間同士でつるんだり「あの頃は良かった」と繰り返す者たちも多い。逆に暗黒の青春を自虐のネタとして、永遠に恨みの中で人生を終える者もいる。

 けれども作者の三島氏は、コンプレックスを含みながらも、そこから逃避するでも「隣の芝生は青い」とばかりに振る舞うでもなく、自身と周囲を変革する意思を持っていたのだろう。ある意味、それはとてつもない才能だ。

 誰もが逃れられないコンプレックスを超えて、今、現在という時間を、どう生きるか。この作品は、そんなことを読者に問いかけている。
(文/是枝 了以)

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