元・夢追い人が綴る“俳優奮闘雑記” 第5回

――“上京ドリーマー”だった元俳優が綴る、“舞台裏”で起こっていたあんな事やこんな事。

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演技がうまいだけでは役はもらえません(※写真はイメージです)

 こんにちは、SHINOBUです。

 今回は、舞台に立つ際のキャスティング(配役)がどのように決まっていくのか、私の体験した事をお話したいと思います。

 これは、とある舞台のワークショップ・オーディションでの事です。通常のオーディションは、まず簡単に自己紹介して、用意された台本を演じたりする……といった内容がほとんどです。しかしこの時に参加したワークショップ・オーディションというのは、もちろん台本も使いますが、参加者同士でグループに別れ、体を使って何かを表現したり、演劇的なゲームをやったりするものでした。選考期間も2週間あり、その間、人柄や協調性、コミュニケーション能力なども問われます。

 役の数は全部で15役。オーディション参加者は、確か全体で40人くらいだったと思います。書類選考から含めて、1役に対して何百人という応募者がいる場合もあるらしいので、倍率でいうとそんなに高いわけではありませんでした。

 グループでのワークショップでは、まず、挙手で配役を決めていきます。その後、実際に台本を読み合わせたり、組み合わせを変えたり、立ち稽古をしたりしながら、いろんなシーンを創っていきます。そうしているうちに数日が経ち、制作側からの指示で、役が絞られていきました。その中であまり演技の経験が少ない人がひとりいて、その彼はとても社交的で明るく、制作からの指示にも柔軟に対応していました。何事にも素直で、いわばスポンジのようにどんどん吸収していくのが分かりました。これは俳優として大事なことで、今思えば、学ぶべきなのは私のほうだったんです。その彼は有名な劇団の出身者や幾多のキャリアを経た人を押しのけ、見事、主役に抜擢されました。

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