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ちおちゃんの通学路第1巻(KADOKAWA/メディアファクトリー)

 女子高生が「遅刻、遅刻~」と走っていたら、なにが起こるのか?

 それが、恋の始まりになる時代は20世紀で終わった(おそらく『新世紀エヴァンゲリオン』あたりで)。川崎直孝の描く『ちおちゃんの通学路』(メディアファクトリー)は、そのベタ過ぎるネタを21世紀に新たな形で蘇らせた“出落ちマンガ”である。

 主人公のキャラや境遇、さまざまなインパクトのあるネタを投下して、あとは勢いだけで引っ張るマンガはこれまでも数多生まれてきた。

 そうした中で生まれたこの作品は、ヒロインのちおちゃんが通学路で出会う出来事だけで物語を成立させているのである。すべての展開が通学路に始まり、校門で完結するのである。

 物語のヒロイン・ちおちゃんは自称“中の下”の眼鏡っ娘である。そんな平凡な彼女には隠された顔がある。毎晩、外国人と銃を手に死闘を繰り広げている……FPSゲームの中で。

 相当FPSゲームにハマっている設定のちおちゃんは、“気がついたら朝”も当たり前。そんな彼女が眠い目をこすりながら向かう通学路には、いくつもの難関が待ち構えている。工事でいつもの道が塞がれていたり、怖そうなヤンキーがいたり、メインヒロイン格のクラスメイトに「おはよ~」と声をかけられたり。

 そんな場面に出くわしたとき、ちおちゃんは考える……自らの経験から最良の解決手段を考え抜く! 結果、いつも彼女はゲームの経験に基づいて困難に対する答えを導き出すのである。

 工事を避けようと屋根に昇って歩き出したちおちゃんは自らに問う。

「ゲームの暗殺者みたいじゃない(中略)我こそは伝説の暗殺者……暗殺者(アサシン)ちお誕生!」

 例え平和な通学路の時でも、気は抜けない。友人と恋バナになったちおちゃんは自らの恋愛の目論見を語る。

「高校生活は終盤に近づくと恋愛が邪魔になる……だからイベントが充実する1年生の冬頃から……2年生の夏にかけ集中して恋愛を楽しむ……その後は気持ちを切り替えて勉強に集中! これが私の中の下的恋愛計画!」

 ……もちろん、恋愛経験なんか皆無なわけで、すべては空しい。

 ひたすら「通学路」というお題のもとにネタをひりだしている大喜利のような作品。なお、筆者としては、暴走族に「お前なにモンだ?」と問われたちおちゃんが、ゲームで使っている「血塗蝶(ブラッディ・バタフライ)」と眼鏡をクイッとしながら答えるシーンがツボだ。まだまだネタは尽きることなく続くようなので、今後いったいどんなネタが繰り出されるのか、期待している。
(文/ビーラー・ホラ)

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