2014年8月、著作権侵害の疑いによる大阪府警による出版元のスクウェア・エニックスへの家宅捜索を受けて休載中の『ハイスコアガール』。

同月、連載再開に関してのアナウンスはなされていない。そうした中、大阪府警ではスクウェア・エニックスの関係者を大阪まで出頭させて事情聴取を行っていることが、関係者への取材でわかった。

 大阪府警に近い消息筋によれば、関係者への取り調べは週一回程度、関係者を大阪まで出頭させて事情聴取を行う形で継続しているという。

しかし、捜査の中で大阪府警内部では、捜査に対する熱意は次第に失われているという。ある新聞記者は次のように語る。

「当初、大阪府警では大企業が著作権侵害を犯しているということもあり、ともすれば会社ぐるみの悪質な犯行ではないかとも想定し、かなり力を入れていたようです。ところが、実際には数人の担当者の失態に過ぎなかったということがわかってきていて、“大々的に家宅捜索までしなくてよかったのではないか”という声も出ているようです」

 今回の著作権法違反の妥当性については、起訴・不起訴処分および起訴となった場合には判決を待たねばならない。

しかし、すでに報じられているとおり、スクウェア・エニックス側は作品内で起用されたゲーム・メーカーの一部からは許諾を得ており、今回の件がトラブルに発展しかねないことを認識していたと察せられる。

結局のところ、かかる事件を防げなかった原因は担当者のミスということで事件は収束しそうな様子だ。一方、スクウェア・エニックスでも、前代未聞の失態を犯した担当者らに処分を下す動きはみられない。この理由を同社の関係者はこう話す。

「『ハイスコアガール』の担当編集者は、アニメ化もされた『咲-Saki-』の担当でもあるんです。ドル箱の作品を抱えている人物ということもあってか、人事的な懲罰はないままに終わりそうです」

 事態は「つい、うっかり」では済まされない事態に発展してしまったのに、ほかに功績があるからですまされてしまう。これでは、会社のモラルも問われることになってしまいそうだ。当時はまだ著作権についてのはっきりした線引きというものが曖昧であったこともあり、非常に戸惑い様子を見ながらの判定だったそうだが、今後も新しい溶媒が出てくるにつれて、混乱を招きかねない未来がくるであろう。