姫乃たまの耳の痛い話 第10回

――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛~い”業界事情をレポートします。

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かわいいだけではダメみたいです。

 こんにちは、東京都は下北沢の地下アイドル、姫乃たまです。

 活動は6年目になりますが、相変わらずブレイクする気配がありません。ここまで売れずに、挫けずに、活動を続けてこられたのは、ひとえに私のプライドが低いおかげです。いや、こんなに続けているのに売れない原因でもあるのですが……。

 私がその子と出会ったのは、原稿を書くために立ち寄った冷房の壊れている喫茶店でした。暑さで全く集中できないまま、私はぼんやりと隣の席に座っている女の子ふたりの会話を聞いていました。どうやら2人ともアイドル志望らしく、いままで受けてきたオーディションの裏話などをし始めたので、面白く思ってつい話しかけてしまったのです。

 東北にある地元の高校ではいつも男の子にちやほやされていて、同性からの僻みがひどかったと彼女は笑います。透明感のあるお人形さんのような女の子でした。「だって私、見た目がいいから」と、無邪気に言い切る強さも兼ね備えていました。しかし、「夏が終わる頃、実家に帰るんです」と呟いた彼女の顔に笑顔はありませんでした。

 この2人はそれぞれ別の土地からアイドルになるために上京してきて、とあるオーディションで出会ったそうです。高校時代に同性から僻まれていたというのは共通点らしく、「広い世界を見るために東京に来たんだからさ、あんな狭い世界しか見てない地元の子の集まりなんか、絶対行かないよね」と言い合っては弾けるように笑っていました。ついさっき実家に帰るという話を聞いたせいか、私の目には彼女の笑顔が不自然だったように映りました。

 上京してすぐ試しに何社か受けた事務所のオーディションには、彼女いわく「容姿のおかげ」で、全て合格しました。好調なアイドル生活の始まりに思えましたが、肝心なのは事務所に所属してからだということを彼女は知りませんでした。知名度で選んだその事務所には女優が多く所属しており、アイドルらしい仕事はほとんどなかったのです。てっきり事務所に所属すれば仕事があるものだと思っていた彼女は、途方に暮れました。

 反対を押し切って家を飛び出した時の両親の顔が頭に浮かびます。このまま何もしないで帰るわけにはいきません。しばらくは興味もない演劇をやりながら、事務所に紹介されるオーディションを受ける日々が続きました。オーディションでは、書類選考は通って、面接で落とされるという繰り返しでした。

“私より可愛くない子たちが評価されてた”ーー売れなかったアイドルたちの容姿へのプライドと空しい最後のページです。おたぽるは、cat連載アイドルアイドル&声優メイド喫茶地下アイドル姫乃たま姫乃たまの耳の痛い話の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

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