『リトバス』2期のオープニングを歌った鈴湯が、新作アルバムからオタ遍歴、Keyへの想いまでを語り尽くす!の画像1
(撮影/後藤秀二)

 昨年10月から放送されたアニメ『リトルバスターズ!~Refrain~』で、オープニングテーマ「Boys be Smile」を歌った鈴湯。その透明ながら力強い声で『リトバス』ファンに強烈な印象を残した彼女のファースト・アルバム『パラレル・ピクチャーズ』が、今月26日に発売となる。そんな彼女、実は数多くの濃ゆいオタク趣味を持った女の子だとか。

 今回は、彼女の音楽プロデューサーを務める樫原伸彦氏に同席いただき、たっぷりのオタトークから、歌手の目線から見たKey・麻枝准氏の楽曲、そしてファースト・アルバム『パラレル・ピクチャーズ』のことなど、じっくりと話を聞いた。


――鈴湯さんというと、アニメ『リトルバスターズ!~Refrain~』のOPテーマ「Boys be Smile」を歌った方として印象深い人も多いと思います。鈴湯さんご自身の経歴や「Boys be Smile」を歌う経緯は、どういったものだったのでしょうか?

鈴湯(以下、) 元々、私はアニソンバンドや同人音楽活動をメインに活動をしていました。学生時代から『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』とか『月詠 -MOON PHASE-』が好きで、アニメを見ていたんですが、『涼宮ハルヒの憂鬱』のライブシーンを見て、ボーカル活動を始めました。

 並行して、高校生の時はイラストを描くのがすごく好きだったので、好きなイラストレーターさんのサイトからリンクをたどって、ライトノベル『我が家のお稲荷さま。』の挿絵などを描いてらした放電映像さんや、大槍葦人さんのサイトにたどり着いたんです。大槍葦人さんは男性向けPCゲームのグラフィッカーさんでもあったので、そこから「Littlewitch」さんをはじめとしたPCゲームが好きになりました。コミケにひとりで行って、ビジュアルブックとか原画集を買ってたんです(笑)。

 それで、PCゲームメーカーの「Innocent Grey」さんのボーカルオーディションに合格したことから、『虚ノ少女』というPCゲームの主題歌を歌わせていただきました。アニメ『リトルバスターズ!~Refrain~』の「Boys be Smile」を歌う経緯としては、『リトルバスターズ!』のメーカー・ビジュアルアーツさんがボーカルを探していたところ、「Innocent Grey」で曲を手がけているMANYOさんが、私のサンプルを送ってくれたことをきっかけに選んでいただけたみたいです。

――かなり濃ゆい経歴ですね(笑)。では、『リトルバスターズ!』といったKey作品は元々お好きだった?

『Kanon』『AIR』『CLANNAD』はアニメで見ていましたね。『リトルバスターズ!』は、最初に全年齢版が出た時に買って、すべてやっていたぐらい好きでした。プレイをしていて、主人公の直枝理樹くんと棗鈴ちゃんの成長がわかるにつれて、どんどん好きになっていきました。

――Key作品のボーカルというと、『リトルバスターズ!』ではゲームからアニメ一期を担当したRitaさんや、『AIR』のLiaさんなど、“Key作品のボーカリスト”という印象の強い方々がいらっしゃいます。今回、「Boys be Smile」を歌うにあたって、プレッシャーを感じたりしましたか?

 今思うと、「Ritaさんよりもいい歌を歌わなきゃ」とか、「みんなを見返さなきゃ」というのは思っていませんでした。レコーディングの時は、初めてアニメの曲を歌わせてもらうということで緊張したんですけど、編曲を担当されたMANYOさんのディレクションもあって、自分対「Boys be Smile」という感じで……。なので、最初は意識しなさすぎて、「前クールのオープニングからのつながりがあるから、もうちょっと格好良く歌うことを意識して」って言われちゃったんですが(苦笑)。ほかからのプレッシャーは感じなかったです。どうしたら(Keyの曲を手がける)麻枝准さんの言いたいことが伝わるのかな、ということを考えていました。

――Keyだと、シナリオから楽曲までを手がける麻枝さんのファンは多いですが、麻枝さんの曲も、元々好きだったんですか?

 アニメ『Angel Beats!』の曲がすごく好きで、ずっと聴いていました。特に麻枝さんが作詞・作曲をやられている「Thousand enemies」(Girls Dead Monster)が好きでした。麻枝さんの詞は、人の痛いところを突いてくる言葉も使っていると個人的には思っていて……。曲はキャッチーだけど、詞について想像を膨らませていった時に、麻枝さんの曲はグサッとくるんです。

――麻枝さんの曲は独特とも言われますよね。歌手として歌いにくかったりはしないんでしょうか?

 歌ったことのないメロディーラインだったり、音のジャンプも多く、難しかったです。MANYOさんに「どういうふうに歌ったらいいですかね?」と相談しながら、歌わせていただきました。

――音楽プロデューサーの樫原さんから見て、麻枝さんの楽曲はどうですか?

樫原伸彦(以下、) いやぁ、面白い。同じ曲を作る人間として見たら、メロディーラインと(音程の)ジャンプの仕方、コードの当たり方、転調感、それと変拍子や音符の置き場所がすごく斬新で、ほかの人には書けない曲を書く個性的な作家さんだと思います。(麻枝さんの曲は)一回聴くと難解なんだけど、リピートで聴くとコード感がすごく気持ちよくなってくる。ああいう曲を書いてみたいけど、僕には書けないです(笑)。麻枝さんの狙いなのか? その難しい音程を鈴湯が歌うと、シックリはまるようにできてるんですよね。

――詞も含めて、麻枝さんの曲は世界観が前面に出てきますよね。「Boys be Smile」も登場人物のひとりである“棗恭介の歌”という感じがします。

 最初にディレクションをいただいた時も、『(「Boys be Smile」は)恭介の曲なので』ということをおっしゃっていただきました。なので、格好良く男の子っぽく歌ってみました。恭介というキャラは、お茶目なところもあって、男の子として素敵なんですよ。

『リトバス』2期のオープニングを歌った鈴湯が、新作アルバムからオタ遍歴、Keyへの想いまでを語り尽くす!の画像2
(撮影/後藤秀二)

――さらにアニメパッケージの映像特典である『リトルバスターズ!EX』でも、エンディング曲「目覚めた朝にはきみが隣に」を歌われていますね。原作の『リトルバスターズ!EX』はプレイされましたか?

 『EX』はまだプレイできていないんです。でも、キャラクターでは朱鷺戸沙耶ちゃんがすごく気になります。だから、アニメを見て沙耶ちゃんにハマっていこうかな、と思っています!

――『リトルバスターズ!EX』は成人向けソフトですから、ハードルが高い部分があるのかもしれませんね。普段、成人向けソフトをプレイされることはあるんでしょうか?

 「きゃんでぃそふと」さんの『つよきす』とか、「Littlewitch」さんの『少女魔法学リトルウィッチロマネスク』、「ニトロプラス」さんの『沙耶の唄』とかはプレイしました!

――『沙耶の唄』!! グロいことでも知られる作品ですが、グロ耐性はあるんですか?

 大丈夫でした。そういう危なげなのも好きなので、『沙耶の唄』は好きですね、うふふ(笑)。

――最初のお話といい、鈴湯さんはかなり濃いですね。普段から、お友達とオタトークをされたり、オタ活動をしているんですか?

 結構しますね。女の子の友達とBLについて話したり、PCゲームやアニメについて話せる友達もいて……。秋葉原に行って、「とらのあな」「アニメイト」「ホワイトキャンバス」やメイド喫茶、アニメの展示イベントにも足を運んだりしてます。

――あ、BLもお好きなんですね。ちなみに、BLの世界に足を踏み入れるきっかけとなった作品はなんですか?

 これを言っていいのかわからないんですけど……『ハリー・ポッター』です。ハリーのお父さん、ジェームズ・ポッター世代の生徒たち、シリウス・ブラック、リーマス・ルーピンたちが好きで……。『ハリー・ポッター』で初めてBLを知ったんです。原作にハマって、パソコンで検索してファンアートをたどっていったら、「どうやらカップリングというのがあるらしい」と。

 最初は、男女のノーマルカップリングを「少女マンガみたいで素敵!」と思って見ていたら、男の子同士がいちゃいちゃしているものがあって、「なんだこれは? ……でも、なかなかいいぞ!」と、ハマってしまったんです(笑)。それで、初めて薄い本も買ってみました(笑)。

――確かに『ハリー・ポッター』のBLは、一時期はやっていましたね! シリル【注:シリウス・ブラック×リーマス・ルーピンのカップリング】とか、人気があったと記憶していますが。

 私はジェームズ×スネイプで、“スネイプ先生総受け”だったと思います。その後、『鋼の錬金術師』や『ガンダムSEED』をBL的にもすごく好きになって。『鋼の錬金術師』だと、ロイ×エド、もしくはアル×エドで、“エド総受け”だったらなんでもいいかな、って(笑)。二次元に限り、ショタ好きなので。

――カップリングとしては“王道”な印象ですが、お話を聞いていると、“受け”にこだわりがあるようですね。

 女の子は、みんなそうだと思います! 女の子は“受け”に愛を注いで、好きなキャラクターを“受け”にしたがるんですよ。受けだと“強気受け”が良いと思います! 私が好きなのは“強気受け”の“お兄さん攻め”なんですよ!! だから、それがあればハマってしまいますね。『リトルバスターズ!』も、(登場人物のひとり)西園美魚がBL好きなので、恭介×理樹の妄想シーンがたびたび入っていて、萌えました。……って、何を話しているんだろう、私は(笑)。

――でも、理樹は“気弱受け”じゃないですか?

 理樹くんは、「やる時はやるぜ」っていうのがありますから。“お兄さん攻め”は恭介ですね。『リトルバスターズ!』はかわいい女の子もかっこいい男の子もいて、隅から隅まで楽しめましたね。男の子キャラも女の子キャラも好きなので!

――男の子キャラも女の子キャラも……。BLを愛好されているとのことですが、百合はいかがでしょうか?

 あまりどっぷりとハマったことはないんですが、今年4月に発売される「Innocent Grey」さんの『FLOWERS』という百合ゲーのエンディングを担当させていただきます(参照)。なので、これをきっかけに百合にもハマってみたいと思います(笑)。

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(撮影/後藤秀二)

――今、お話を聞いただけでも、万遍なく色々なものにハマってますね。オタトークを展開していただいたんですが、プロデューサーの樫原さん的に、鈴湯さんのハマり具合は大丈夫なんですかね?(笑)

 二次元にせよなんにせよ、何かに興味を持って好きになるのは大事ですよ。その中の空想や妄想がクリエイティブにつながって、オリジナルに生かしてくれれば、アーティストとしてはいいかな。何も考えないで生きていたり、決まったものしか好きになれないと、狭い了見の作品しかできてこない。だから、“なんでもあり”の中からオリジナリティを作らないとね。

――プロデューサーとして、大きな器で受け止めようということですね、どれだけオタでも(笑)。事実、「Boys be Smile」でも、元々『リトルバスターズ!』を好きだったことがプラスに働いているようですし。そんな鈴湯さんですが、今月26日にファースト・アルバム『パラレル・ピクチャーズ』を発売されるということで、アルバムについてお教えください。

 はい。ファースト・アルバムということで、樫原さんにプロデュースしていただいているんですが、まずは私がやりたいことを中心に制作させていただきました。私が1曲1曲のコンセプトからアルバムの曲順、全体のストーリーといった土台までを考えたので、そういうところを見ていただきたいです。

――アルバム全体のコンセプトは、どういったものなんですか?

 アニメやゲーム、それと最近は映画が好きなので、映画っぽい作品を作ってみたいと思ったんです。それで私は『リトルバスターズ!』や『ひぐらしのなく頃に』とか“ループもの”が好きなので、「私がループものを作るとしたら、どうなるのかな?」ということで全体のストーリーを作りました。

――具体的に1曲1曲のコンセプトというのは?

 今回、鈴湯自身が2曲、詞を書いているんですよ。

 1曲目の「ワンダーアラウンド」という曲はアップテンポの曲で、“決心をする”というコンセプトになっています。6曲目の「Garden」は“新しい道”“新しい選択”というコンセプトで書いています。詞については、一番最初から1曲ずつ「(最後に)どういう結末になるのかな?」と考えながら聴いてもらいたいですね。「新しい選択って、どういう選択なんだろう?」とか。

――“ループもの”というコンセプトは、今日お話しいただいたような作品を愛する鈴湯さんらしいコンセプトといえるかもしれません。樫原さんから見て、いかがでしょうか?

 いろんな音楽プロデューサーがいると思いますが、僕はゼロのものに何かを載せて作るというプロデュースはあまりやってきませんでした。アーティストが持っているものを、エンターテインメントとして形を作ってあげるというのが、自分のプロデュースのモットー。なので、アーティストとディスカッションして、彼女自身を理解するところから始めていって、オタク文化に詳しくないオヤジでも、今はフレーズ(単語)ならわかるくらい成長しました(笑)。

 面白いファーストアイディアは、若い人のほうがたくさん持っているはず。だから、ボーカリストとしての彼女はもちろん、彼女の考えていることを最大限詰め込んで伸ばしていったので、面白いものができているはずです。

――鈴湯さんのことを理解するには、鈴湯さんの“萌えポイント”が詰まった『リトルバスターズ!』を樫原さんがプレイすればいいと思いますよ(笑)。

 確かに(笑)。

――方や『リトルバスターズ!』ファンからしても、「Boys be Smile」を歌った鈴湯さんのことが気になっている人も多いと思います。そういう人にとっても、樫原さんがおっしゃった通り、鈴湯さんを最大限に詰め込んだ今回のアルバムは聴き応えがありそうですね。

 はい! 『パラレル・ピクチャーズ』は個人として初めてのアルバムで、詞の原案などを含め、私の曲として歌いたかったことを全曲でやらせていただきました。こんなに色々やりたいことを目いっぱいやらせていただいたのは初めてで、私を知ってもらう最初の作品としては、すごく良いアルバムになったと思っています。このアルバムを隅々まで聴いていただいて、「鈴湯ってこういう人なのか」というのを知っていただけたらな、と思います!!
(取材・構成/編集部)
(撮影/後藤秀二)

■鈴湯
2月5日生まれ。2010年よりソロシンガーとしての活動を本格的に開始。13年より、商業での歌唱提供を開始。『虚ノ少女』挿入歌「翡翠の美羽」や『PriministAr -プライミニスター-』挿入歌「My shinin' star」を歌唱。13年10月にはテレビアニメ『リトルバスターズ!~Refrain~』OP曲「Boys be Smile」を担当した。
公式サイト〈http://harinezumi-pro.com/suzuyu/
ブログ〈http://stereobunny.blog134.fc2.com/
ツイッター〈https://twitter.com/sb_szy

■樫原伸彦
1963年8月30日生まれ。幅広いフィールドでの作編曲、プロデュースワークを展開。現在は→Pia-no-jaC←のプロデュース、AKB48、SKE48等の作編曲を行っているほか、アニメでは『美少女戦士セーラームーン』の「愛の戦士」作曲や『機動武闘伝Gガンダム』の「君の中の永遠」作曲、「FLYING IN THE SKY」編曲なども手がけている。
ツイッター〈https://twitter.com/nobuchang

■『パラレル・ピクチャーズ』
アーティスト:鈴湯
発売日:2014年2月26日
【通常盤】 2100円(税込)
【限定盤】 2300円(税込)
全6曲収録。限定盤はMV入りDVDつき。

■『パラレル・ピクチャーズ』インストアイベント
・3/1(土) 15:00 タワーレコード秋葉原店 ミニライブ&握手&サイン会
※2枚ご購入のお客様はポスター・プレゼント有り
・3/9(日) 12:30 アキバ☆ソフマップ1号店 ミニライブ&握手&チェキ会
・3/13(木) 開場18:00 / 開演18:30 アニメイト池袋本店 
 ACI東京レイヤーズラジオ番組「ジョウホウMAX」※公録内でライブ有り
      20:15 握手&サイン会
※2枚ご購入のお客様はステッカープレゼント有り      
・3/22(土) 15:00 アニメイト新宿店 握手&サイン会
※2枚ご購入のお客様はミニミニカレンダープレゼント有り
・4/13(日) 15:00 アニメイト秋葉原店 ミニライブ&握手&チェキ会

■『パラレル・ピクチャーズ』 購入特典
<アニメイト>コメンタリーCD[M-1]ワンダーアラウンド
<ソフマップ>コメンタリーCD[M-2]Re;Starting
<タワー、HMV共通>コメンタリーCD[M-3]Unknown Sky
<amazon>コメンタリーCD[M-4]Through the Darkness
<TSUTAYA、アニメガ、その他店舗>コメンタリーCD[M-5]失墜のフラジャイル
<アニブロゲーマーズ>コメンタリーCD[M-6]Garden

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