『まんが家総進撃』自己愛、人格破綻、電波、非常識――マンガ界が生んだ悲劇の怪獣たちを描くの画像1
まんが家総進撃第1巻(KADOKAWA[エンターブレイン]/唐沢なをき)。

『まんが極道』として連載され、タイトルがリニューアルされた『まんが家総進撃』(共にKADOKAWA[エンターブレイン])の1巻が、本日12月24日に発売となる。

 近年でも『バクマン。』(集英社)、『RiN』(講談社)、『重版出来!』(小学館)など、マンガ家やその編集部を題材にしたマンガが注目されているが、本作ではそのマンガ家(や見習い)たちのサクセスストーリーではなく、彼・彼女らが業界の荒波の中で揉まれ、壊れ、一般常識から大きく逸脱した“怪獣”となり、大暴れする様を描いている。

 息子の持ち込みに同伴する母親、年齢詐称する男、育児よりも連載マンガを取る女マンガ家などなど、マンガ界で巻き起こる悲喜交々を一部、本当にあった逸話を交えながらリアリティたっぷりで描く。ギャグタッチで描いているものの、登場するマンガ家怪獣たちは、目がイってたり、言動が電波だったり、一見まともでも感覚が大きく世間ズレしていたりと、タイプはそれぞれ違うものの「近所にもひとりぐらいいそうで、なるべく関わりたくない厄介者」を見事に体現している。

 とにかくハードで、肉体的にも精神的にもキツいことで有名なマンガのお仕事。それは、マンガ家だけでなく、アシスタントや編集者、営業マンにも言えることだろう。作品の大ヒット、単行本バカ売れ、アニメ&映画化といった大成功を収めることを目指し、終わりなきハードワークに挑むマンガ関係者。ここに登場するのは、そんな環境と人間たちの“業”が生んでしまった、悲劇の怪獣たちなのである。

 私はときどき出版社で、エナジードリンクやコーヒーの空き缶が積み重なっているデスクに、同じ服のまま3日くらい缶詰にされているマンガ家さんを見ることがある。その凄惨な姿はとても笑えないし、その度に、これからマンガを読むときは一コマもおろそかにしないようにと思ったりする。そんな直視に耐えないマンガ界の暗黒面を面白おかしく、しかしリアルに描く『まんが家総進撃』。特にマンガ家を目指している人は、ご一読あれ。
(文/高橋ダイスケ)

『まんが家総進撃』自己愛、人格破綻、電波、非常識――マンガ界が生んだ悲劇の怪獣たちを描くの画像2

まんが家総進撃1巻
作:唐沢なをき
出版社:KADOKAWA /エンターブレイン
価格:651円

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