40代からのオタク入門 第2回

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「面白い! キャラのテンポがよかった」by三号(イラスト/安田三号)

「永井豪の学園モノっぽい感じだよ」

『キルラキル』第1話放映後、絶賛する声があちこちから上がる中で、そんな感想も聞こえました。永井豪と言われちゃあ、見逃せない40代です。人生の色々なことを永井豪先生に教わってしまった40代です。

 ニコニコ動画で第1話が見られるというのでさっそくチェック。

 女生徒会長・鬼龍院皐月が支配する本能字学園学園にやってきた謎の転校生・纏流子。巨大な片太刀バサミを背負った彼女は、生徒会と衝突する。強化能力を持つ制服・極制服を着たボクシング部部長に破れた流子は、自宅の地下室で言葉をしゃべるセーラー服「鮮血」と出会い、その力を手にする……。

 のっけからテンションが高い、高い。すさまじいスピードで繰り広げられるギャグとアクション。確かに永井豪テイストも濃厚ですが、『男組』【1】とか『私立極道高校』【2】とか『炎の転校生』【3】とか『覚悟のススメ』【4】とか『血まみれスケバン・チェーンソー』【5】とか、いろんなマンガの要素が頭に浮かびます。

 もうあらゆる「燃える」(not萌える)材料を手当たり次第に鍋にぶち込んで、グツグツ煮込んだようなアニメでした。ああ、こりゃあ嫌いになれるはずがありません。しっかりと毎週拝見させていただいております。

 先述した通り、僕の周りでは絶賛の声ばかりですが、若い層からの支持はイマイチなんて話も聞きました。まぁ、確かに絵柄も今どきの萌え絵とはかけ離れて、昭和の匂いがプンプンしているし、明らかにターゲットとして、おっさん狙いの作風だよなぁ、とも思ったのですが、冷静に考えてみると、それほどノスタルジックべったりな作品とは言えない気がするんですね。

 とにかく、あのスピード感は昭和のアニメではありえない。

 2009年に『真マジンガー 衝撃!Z編』【6】というアニメが放映されました。基本的には『マジンガーZ』のリメイクですが、その他の永井豪作品のテイストもふんだんに投入され、永井豪ファンの間でも大きな話題になりました。さらに2011年には『ドロロンえん魔くん』のリメイク『Dororonえん魔くん メ〜ラめら』【7】も放映され、こちらも原作をベースにして、永井豪ファンには、たまらない仕上がりになっています。

 アニメからはだいぶ離れていた僕も、『マジンガー』に『えん魔くん』とくれば無視するわけにはいかないな。しかも永井豪ファン向けな作りになってるみたいだし……と、『衝撃!Z編』『メ〜ラめら』を見始めたものの、どちらも数回でリタイアしてしまったのです。確かに原作へのリスペクトが強く感じられる作品で好感は持てたのですが、いかんせんテンポについていけなかった。30年間ほとんどアニメを見ていなかった人間には、あの情報量の多さとスピード感は、ちょっとしんどかったのです。もう浦島太郎のような気分でした。

 最近、ライターの柴那典氏が自身のBlogで「2010年代のJ-POPのテンポが『高速化』してるという話」というテキストを書いていて、話題になりました。

 以前はBPM(演奏のテンポを示す単位)が、90以下はバラードゾーンで120以上はパワーゾーンだというのが常識だったけれど、今は高速化が進んでBPM120〜130台ですら「ゆったり」「しっとり」に感じられるようになっているという話です。もはやBPM200なんて曲も珍しくなくなっていると。以前ならスラッシュメタルのスピードですよ、それ。

 これを読んだ時に、僕はアニメのテンポを連想しました。ああ、同じだ、と。

『真マジンガー 衝撃!Z編』も『Dororonえん魔くん メ〜ラめら』も、そして『キルラキル』も、昭和テイストは出しつつも、スピード感はしっかりと現在のもの。往年の名曲を現代風のダンスビートアレンジでリメイクしたチューンみたいですね。

 しかし自分でも驚いたのは、『真マジンガー 衝撃!Z編』の時は、ついていけなかったこのスピード感を今は受け入れられている、『キルラキル』をちゃんと楽しめているということです。これは、ここ数カ月の間に、最近のアニメを大量に見ていたことで、ずいぶん慣れていたんでしょうね。つくづく、慣れって大きいなぁと思いました。

 それを考えると、以前の僕のように、アニメは気になるけどテンポについていけないと敬遠しているおっさんも少なくない気がします。

 購買意欲の高い高年齢層を狙うなら、あえてテンポを落とした作品作りというのもアリなのかなぁ。

 あ、それが僕が再びアニメを見始めるきっかけとなった『謎の彼女X』【8】だったか。あれも異様に40代の支持の高かった作品だったみたいですしね。

 現代のスピード感に対応できる感覚を手に入れるか、それともゆったりしたテンポの作品を探すか。おじさんにとってアニメの道は結構厳しいです。
(安田理央)

<作品メモ>
【1】『男組』
「週刊少年サンデー」(小学館)において1974〜79年まで連載された、原作・雁屋哲、作画・池上遼一の少年マンガ。戦後30年後頃の日本を舞台に、“男の生き様”を描いた。関東にある私立青雲学園は、高校生ながらに強大な権力を使い、悪の限りを尽くす神竜剛次によって無法地帯と化していた。この現状に耐えかねた校長は、関東少年刑務所からひとりの囚人を特待生として招き入れ、神竜を打ち倒すよう要求する。

【2】『私立極道高校』
「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて1979年17号に特別読切として掲載され、同年21号〜80年11号まで連載された、宮下あきらによる少年マンガ。国家権力や世論の波に押されつつある極道社会の伝統を守るため、全国各地の極道の親分が力を合わせて創設した国内唯一の極道養成機関「私立極道高校」を舞台に、教師や先輩らの“シゴキ”に耐えながら奮闘する生徒たちの姿を描く。

【3】『炎の転校生』
「週刊少年サンデー」(小学館)において1983〜85年に連載された島本和彦によるアクション&コメディマンガ。特撮ヒーローアクションドラマのパロディが多用されている。次々と問題を起こしては転校を繰り返す謎の転校生・滝沢昇。しかしその実体は、学校側の圧力や虐待、陰謀など問題のある学校に出没してはその企みを打ち砕く熱き正義の男だった……。

【4】『覚悟のススメ』
「週刊少年チャンピオン」にて1994〜96年に連載された山口貴由による作品。核戦争と環境汚染によって荒廃した近未来の東京。旧日本軍で編み出された最強の格闘技「零式防衛術」、人体実験の犠牲となった英霊の宿る鎧、強化外骨格「零」を武器に人々を守るために戦う主人公・葉隠覚悟と、人類を襲う怪物・戦術鬼、そしてその背後で人類を滅亡させようと企む覚悟の兄、現人鬼・散との戦いが始まった。

【5】『血まみれスケバン・チェーンソー』
2009年より「コミックビーム」(エンターブレイン)より連載中の三家本礼によるスプラッター&ブラックコメディ作品。うぐいす中学校3年A組に在籍するスケバン・鋸村ギーコは、襲い来るゾンビをチェーンソーで倒していた。そのゾンビたちとは、過去のクラスメイトたちで……。

【6】『真マジンガー 衝撃!Z編』
「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて1972〜73年にかけて連載されていた永井豪のマンガ『マジンガーZ』を原作とするテレビアニメ作品。2009年4月〜9月まで、毎週土曜日にテレビ東京系で放送された。アニメ版『マジンガーZ』および『グレートマジンガー』『マジン・サーガ』『Zマジンガー』などの関連作品からも設定の一部を転用し、“真のマジンガーを生み出す”というコンセプトで製作された。公式HP<http://www.shin-mazinger.com/

【7】『Dororonえん魔くん メ〜ラめら』
「週刊少年サンデー」(小学館)にて1973〜74年に連載された永井豪のマンガ『ドロロンえん魔くん』を原作とするテレビアニメ作品。連載と並行し、73年の10月〜74年3月まで、フジテレビ系列にて毎週木曜日に放送された。えん魔一行が東京の下町某所を人間界の拠点として、妖怪パトロールの仕事をこなしていく……という原作の設定をベースに、構成されている。公式HP<http://www.starchild.co.jp/special/dororon-enmakun/

【8】『謎の彼女X』
「月刊アフタヌーン」にて2004年10月号に掲載された読切作品『謎の彼女X』を第0話として、06年より同誌にて連載されている植芝理一のマンガを原作としたテレビアニメ。12年4〜6月まで独立局ほかにて放送された。唾液で感情を伝達する特殊な能力を持ち、「ハサミ」が趣味という変わった高校2年生“謎の彼女X”と主人公との恋愛模様を描く。公式HP<http://www.starchild.co.jp/special/nazokano_x/


安田理央(やすだ・りお)

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1967年、埼玉県生まれ。主にフリーライター。及びアダルトメディア研究家、ニューウェーブ歌手、など。主な著書に「日本縦断 フーゾクの旅」 (2004年 二見書房)「エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること」(2006年 翔泳社 雨宮まみと共著 )、「45歳からのアニメ入門」(2013年 Kindle 田口こくまろと共著)などがある。本連載イラスト担当、安田三号は長女。
●公式サイト<http://www.lares.dti.ne.jp/~rio/
●公式ブログ<http://rioysd.hateblo.jp/

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