【日刊サイゾーより】(2011年3月21日初出)

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 元祖フリーアイドルで声優のルンルンこと宍戸留美さんが自らカメラマンとして可愛い声優さんたちの写真を撮り、さらにアイドルライターの私(小明)がインタビューする不思議な連載の10回目なのですが、なんと今回は私! 小明がルンルンに写真を撮られてインタビューまでされてしまっています! そしてインタビュアーには、なんと津田大介さんが! 忙しいのに! もったいない!

小明 ギャー! ほんとに津田さんが来た!! 忙しいのにすみません!! 津田さんの貴重なお時間を私なんぞに使わせてしまってすみません!!

津田 いえいえ。初めまして、ですよね。

小明 本当は以前インターネットの番組でご一緒するはずだったんですが、道中でダウンしてしまって......よくあるんですよ。先日も駅のホームで白目を剥いていたら駅員さんに声をかけられてしまって。

津田 よくあるんだ(笑)。でも人生って、生きていて楽しいこともあれば、辛いこともあるわけじゃない。例えば、この1年は楽しいことと辛いことのバランスはどれくらいでした?

小明 8-2くらいで辛いような......。でも、それなりに良いこともあるからなんとかなってます。最近、あまりにも寂しくて、わびしくて、「このままじゃ死ぬかもしれない」と思ったら、Amazonでマンガを買うんです。本屋じゃなくAmazonで。なぜなら、それを待ってるときと、ポストにマンガが入ってるときと、それを読むとき、本棚に入れるとき、何回も楽しいじゃないですか。だからいっぱい買いすぎちゃって、どんどん貧しくなっていくんですよ~。

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津田 そうは言っても、小明さんはすごくいろんなメディアを使って表現しているわけじゃないですか。文章を書いて本を出したり、インタビューもするし、インターネットで生放送もすれば、ブログもTwitterもやる。自分では、どれが一番自分に向いてますか?

小明 向いている......? たぶんどれひとつ向いてないです。

津田 そのわりに、すごくいろんなことをしっかりやってるなって印象がある。

小明 他に何もできないからじゃないですかね......私、普通に働こうと思ったら絶対に使えないと思うし......。

津田 自分で営業はするんですか? 仕事を取ってくるための。

小明 営業はできないです。自分を売り込むのができないんですよ。「私はこれができます! 得意です!」っていうのがないので......。

津田 じゃ、このサイゾーなんかも含めて、いろんな表現をやってみて、それを「面白い」と思った人から声がかかるっていう。

小明 それだと一番助かります。だから、とりあえず仕事の間口だけは広げておかないと、と思って、TwitterとかUstreamとかもやってみてるんですけど、いまいち使いこなせてないような......。自分で営業に行くとなると、「私、なんでもできます!」って言わなきゃいけない気がして、なかなか行けずにいるんですよ。

津田 普通は言うんですか? 「何でもできます」って。

小明 グラビアアイドルで事務所に所属していたときに、そっちの方が可愛がられると思って、初めは「何でもやります! がんばります!」って姿勢だったんですけど、私はがんばり方を、事務所はがんばらせ方を間違えたみたいで、精神的な疲労だけがたまって、頭がハゲたり鬱になって文句と自虐しか言えなくなったりで、誰も得をしない状態に......。だから、「何でもやります!」って言わないほうがいいのかなって思ってます。不得意分野を頑張ることが力になる人と、鬱になる人がいるから。

津田 今は、インターネットを使っていろいろやってますけど、初めて自分専用のPCを持ったのはいつごろですか?

小明 それは高校、大学くらいですね。遅いほうですよ。今の子は前略プロフとかモバゲーとか、本当に幼いうちからいろんなツールがあるから、自分の恥ずかしい黒歴史を残しがちじゃないですか。恥ずかしい日記や写真をフルネームつきで晒してる人も多いし......私がひきこもってた中2のころにそれがなくて本当によかった。携帯もパソコンも持ってなくて命拾いですよ。

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津田 やっぱり、痛いことを考えたり、鬱々したポエムとか書いたりしてた?

小明 完全にひきこもりのオタクだったので......。とにかくマンガが好きで、当時は『るろうに剣心』とか『幽☆遊☆白書』とか、皆が一周して飽きてきた頃にハマりだす、みたいなのが多かったです。ひねくれてるんで、流行ってるときには手を出せずに、ちょっと過ぎてから読んで「面白いじゃん!!」みたいな。だから、3年後くらいに「今、『ワンピース』が超熱い!」とか言ってそうです。

津田 オタクをやめなきゃ、という反動があって芸能界を目指したってことなのかな。

小明 反動というか、中3のときに、ひきこもりから脱するためにも、お気に入りのマンガを全部ダンボールに入れて厳重に封印したんです。ほら、二次元にハマッて、更にひきこもりだと、現実と妄想の区別がつかなくなってくるじゃないですか?

津田 いいえ? 僕はそういうことはないですけど......。

小明 本当ですか!? へぇー!! そういう人もいるんですね!!

津田 ......はい。そのときは、世の中や社会はどのような物だと思っていました?

小明 そんなのは、自分の部屋から出ないから、分かるわけがないです。インターネットもなかったし。とにかくマンガだけは毎週出てくるし、夜になれば外出もできて単行本も買いに行けるから、それだけで幸せでした。もしあのころネットがあれば、ハードな2ちゃんねらーかネトゲ廃人になってたと思います。

津田 学校にはまったく行ってなかったんですか?

小明 中2はほぼ行ってないですね。3年になって、「このままじゃ二次元の世界から帰ってこられなくなる」という危機感があって、現実に帰ろう、高校に行こう、と。まずは塾に通わせてもらって、女子高に受かって、高校デビューです。

津田 高校デビューはどのような形で?

小明 ひきこもりオタク時代の私を知ってる人がいないので......いっちょまえに社交して、友達もいて、カラオケに行ったり、プリクラを撮ったり、ファーストフードでダベッたり......あれが人生の春でしたね。青春と呼べる日々でした。『あずまんが大王』みたいな、良いバカな女子高生でしたよ。

津田 部活とかは?

小明 部活、ダメ、怖い。

津田 怖い? クラスとかには仲のいい人もいたでしょ?

小明 一年先に生まれた人が絶対的な権力を持っていて、それに屈さねばならないのが理解できなくて......高校デビューでそこそこの社交性はアップしたものの、部活に励むほどの協調性はまだなかったんだと思います。仲の良い子もいましたよ!

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津田 高校のときは、オタク趣味は?

小明 マンガは好きでしたね~! 同じ巻を何冊も持ってましたね!

津田 ......ごめんなさい、ちょっと意味がよく分からない。

小明 気に入った巻を何冊も持ってたんです。

津田 例えば、『るろうに剣心』の12巻が最高だよねと思ったら、それを何冊も持っていたと。

小明 ええ、ええ。ちなみにその時は『幽☆遊☆白書』の7巻、8巻、13巻、あと確か......。

津田 (無視して)何のために? 保存用、観賞用、布教用みたいな?

小明 布教する友達もいないので、完全に自己満足ですね。あとは、弱い私を支えてくれた、漫画家さんを支えたい、とも思って。

津田 尊敬するクリエイターに恩返し! ませた子どもですね。そんな子がなぜ芸能界に......?

小明 姉がすごい美人でモデルだったんです。なので、中学に入ったあたりから、いろんな人に「あれ、妹らしいよ」「うそ、ぜんぜん似てないじゃん」「お姉ちゃんはカワイイのにね」って言われて。私はまったくかわいくなかったので、まー、ひどいもんですよ。

津田 比較の対象だったんですね。

小明 そうですね、昔、母に「集金のお金払っといて」って言われて財布を見たときに、財布に家族の写真を入れてるのを見つけて。おお、家族愛、と思ってみたら、私と姉が写ってる写真なのに、私の顔が半分切れてるんですよ。カメラに向かって笑ってるのに、フレームに入れてもらえてない。それってつまり、母が美人の姉を職場なりなんなりで自慢するときに「これが娘で......」って出す写真なわけじゃないですか。私、何? とショックで。「これは私が美しくないせいだ。でも、私だってプロに撮ってもらえばかわいく写るはず」と思って、グラビアを始めたのかなぁ......。

津田 プロに撮ってもらえば、というのは確かにそうかもしれないですね。でも、それで事務所に所属してアイドルに、っていうプロセスに飛躍があるような気が......。

小明 調子づいてましたね。女子高生って制服着てたら多少かわいいじゃないですか。それがまぁね、失敗だったんですけどね、売れませんで。

津田 結果的には、辞めようと思ってフリーになって。例えば、事務所を辞めるっていうときに、もっといい事務所があるんじゃないか、私の魅力を引き出してくれるところがあるんじゃないか、とは思わなかった?

小明 もう、そういう気力がなかったです。頭はハゲてるし、パニック発作みたいなのも持ってたし、鬱こじらせてたしで、「移籍したって、もうアダルトビデオに出るくらいしか道はないだろう」と。

津田 芸能界って、どうでした?

小明 怖かったです。

津田 どこらへんが?

小明 人と信頼関係がうまく築けない人だったみたいで......アットホームな事務所だったので、親戚みたいに思って、信頼とか信用をしてたんですけど、それがすごく独りよがりなものなんだな、と気付いたときには、もう事務所のお荷物になってた。若かったし、そういうの、難しくって......。

津田 うまくやれなかった。でも、それで完全に引退して、大学に行って普通のOLさんを目指すっていう選択肢もゼロじゃなかったでしょ。それでもフリーになって、あえて活動を続けようと思ったのは?

小明 なんでだろう。たぶん、社会に出るのが怖かったんじゃないかな。あと、グラビアアイドルになろうと思って芸能界に入ったから、「辞めるんだったらひと花くらい咲かせてから辞めたいよね!」みたいに思っていたのもあって、まぁ咲かなかったんですけどね、咲かないまま、ずるずるとまだ続けているんだと思います。

津田 いつか咲くかもしれないって。

小明 なんとなく、咲かないタイプの植物っぽいな、というのは分かってきましたが。

津田 今、客観的にアイドル業界、グラビア業界、芸能界、ネット、出版、どこか分からないですけど、自分の立ち位置というか、自分の職業は何だと思いますか?

小明 今は、「アイドルライター」という微妙な肩書をいただいてるんですけれど、アイドルの仕事もたいしてやっていないので、いつまでこの肩書きが使えるのだろうか、という危機的状況です。

津田 それは客観的に見えているんですね(笑)。例えば、今26歳っていう年齢で、30歳という区切りの年齢があるときに、これくらいはできるようになろうとか、30になったときにこれができていたらいいな、という目標はありますか? 目標を立てずに漫然と生きていると、時間はバーっと過ぎるので。

小明 目標......? 「死なない」とかかな......。生きているのに、精一杯で。一応、毎年の目標が「現状の斜め上」なんですよ。それでやっと現状維持って感じで。私は本当に自虐でも、卑下でもなくクズなので、特に「これになりたい!」と思うことが、おこがましいと思ってしまう。どうすれば良いんですかね......。

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津田 とにかくTwitterやニコ生をガンガンやって、今の素のままを拡大していって、いろんな人に巻き込まれて、結果的に収入が増えていた、というのを目指すのがいいのかもしれないですね。だから、まずは自分のベーシックな活動場所を作ったうえで、広げていくという。

小明 ひとつ自分のね、しっかりとした背骨になるような活動がほしいです。

津田 でも、僕にもそういう「背骨」がないから、どうしようかなって最近思ってますよ。

小明 津田さんが? 本当に? 思ってないでしょ! そんなこと!

津田 いやいや「ジャーナリスト」って名乗ってるくせに書くのが本当に辛いので......。

小明 もうライターさんになられて10年以上なんですよね、大先輩だ! 今、Twitterから巻き起こった津田さんムーブメントがあるじゃないですか。「tsudaる」もそうですけど、自分の名前がそういう使われ方をするのはどうですか?

津田 嫌に決まってるでしょ! 本当に「tsudaる」という単語だけは廃れてほしいな......。

小明 津田さんでもお辛いんですね。津田さんくらい成功してる人が辛いんなら、もうどうやったって辛いんでしょうね。どうやって生きていけばいいんだ。

津田 見通しは......?

小明 どうやっていこうかな......。

津田 だったら「どうやって生きていこうかなぁ、と悩み続けているんです」っていうのを、そのまま1億2,000万人くらいの人に知ってもらえる活動をするべきだと思いますよ。結局、小明さん他人には答えを求めてないでしょ? ぐるぐるぐるぐる回って、最後にはバターンって倒れるかもしれないけど、話聞いた感じまだまだバターンとはいかなそう。だから、むしろそれをもっと活かして、より過激にぐるぐるすればいいんじゃないですか。ぐるぐるしている様を見せればそれが「コンテンツ」になる。今よりもっとぐるぐるする。まだぐるぐるが足りない! ニコニコ生放送とかを自分ではじめて、ぐるぐるすればいい!

小明 ニコニコ生放送かぁ、ちょっと怖いけどやってみようかなぁ......。あっ、申し訳ないです。インタビューしていただいて、アドバイスまでいただいてしまいました。

津田 いえいえ、もっともっとぐるぐるしてください。

小明 ぐるぐるします! ぐるぐる!(回りながら帰ってゆく)
(聞き手=津田大介/写真=宍戸留美/構成=編集部/2011年2月9日収録)

【日刊サイゾーより】(2011年3月21日初出)

●つだ・だいすけ
1973年、東京都生まれ。ジャーナリスト。早稲田大学在学中からライター活動を始め、コメンテーターとしても活動している。2006年~08年、文部科学省文化審議会著作権分科会専門委員。近著に『Twitter社会論』(洋泉社)『未来型サバイバル音楽論 - USTREAM、twitterは何を変えたのか』(中公新書ラクレ=共著)

●ししど・るみ
1973年、福岡県生まれ。1990年にアイドルデビュー、18歳でフリーアイドルになり現在まで様々な分野で活動。フランス、ドイツ等でもライブを行い音楽活動で高い評価を得ている。
下北沢発インターネット音楽市場【Majix】
ニューアルバム「CHERBOURG→BRIGHTON」
新曲「ミルク」1曲100円で配信中!!
公式HP http://rumi-shishido.com/

●あかり
1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中

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